美津島明編集「直言の宴」

政治・経済・思想・文化全般をカヴァーした言論を展開します。

大瀧詠一・ペパーミントブルー祭り

2021年05月05日 01時02分33秒 | 音楽


もしも大瀧詠一さんのすべての曲のなかで一曲選べと言われたら、あなたは何を選びますか。私は迷わず1984年『EACH TIME』所収の「ペパーミント・ブルー」を選びます。とにかく好きなんです、この曲が。前から好きだったのですが、年月を経るほどに、好きな度合いが増してくるのです。端的にいえば、大瀧さんの「ウェット系」の究極の姿がここにあると思っています。

前からずっと、当楽曲を紹介したいと思っていたのですが、このたび大瀧全楽曲のサブスクが解禁されたことに伴い、大瀧楽曲が洪水のようにyoutubeに流れ込んだので、その願いが叶う条件が整いました。

「ペパーミント・ブルー」を聴いていただく前に、私なりに当楽曲についての「歴史的な理解」をしたいと思います。「ペパーミントブルー元ネタ集」と申しましょうか。なんと申しましょうか。

The CASCADES-Rhythm Of the Rain


「ペパーミント・ブルー」の原型は、このあたりに求めることができるような気がします。哀愁を帯びた鼻歌風のヴォーカルといい、美しい男性コーラスといい、ザ・カスケーズの「悲しき雨音」(原題 Rhythm of the Rain)は、「ペパーミント・ブルー」の原型と呼ぶにふさわしいと思います(「いや、こちらこそが原型だ」というご意見がおありの方、ぜひお寄せください😊)「悲しき雨音」は、1962年11月に発売され大ヒットしました。曲の中身は、いとしい恋人と不本意にも別れてしまった男が雨に濡れながら「ボクはどこで道を踏み外してしまったのか、別れた今でも彼女のことがいとおしくて仕方ないよ。雨よ、もう降らないでおくれ」と切なく歌うバラードです。

次に紹介するのは、フォー・シーズンズの「Silence is Gold」(1964年)です。

Silence Is Golden (2007 Remaster)


前曲よりもこちらのほうが、「ペパーミント・ブルー」原型説の支持を得られそうな気がします。

次にトレメローズ(言いにくいし、覚えにくい名前です)の1967年の同曲のカバーバージョンです。

Silence Is Golden


トレメローズ・ヴァージョンの方が、「ペパーミント・ブルー」の原型としてのイメージをさらに鮮明にしている印象です。「Silence is Gold」の美質をオリジナルよりもずっと深く掴んでいますね。フィル・スペクターのウォール・オブ・サウンドを意識しているようにも感じられますし。

前置きがいささか長すぎたでしょうか。では、大瀧詠一さんの「ペパーミント・ブルー」をお聴きください。

ペパーミント・ブルー


文句なしの名曲ですね。特に「斜め横の椅子を選ぶのは この角度からの君が とても綺麗だから」の歌詞が印象に残ります。後、最後の「空も海も遠のいてゆくよ 君のはにかんだ笑顔だけを残して」も鮮烈です。当楽曲を名曲として決定づける「ダメ押し」のラストフレーズといったところでしょうか。

次は、大瀧詠一のヴォーカル抜きのインストメンタル・ヴァージョンの「ペパーミント・ブルー」です。大瀧詠一のいわゆるカラオケバージョンというやつでしょうか。男性コーラス(といっても大瀧詠一のボイスの多重録音ですが)の美しさが際立っています。

ペパーミント・ブルー (Instrumental)


最後に、『B-EACH TIME LONG』ヴァージョンの「ペパーミント・ブルー」です。贅沢でゴージャスで遊び心満載の一曲です。

ペパーミント・ブルー(B-EACH TIME L-ONG Version)


どうでしょう。ご満足いただけましたでしょうか。

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