百貨店で「おせちバブル」再来 10万円以上も完売続出。 | ★マエちゃん噴泉記★【大阪DE農業】

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各百貨店で正月のおせち料理商戦が早くも過熱している。新型コロナウイルス禍の巣ごもり需要で好調だった昨年以上の勢いで予約が入り、受注ベースで前年同期比140%以上の売り上げを記録する百貨店も。10万円以上の高級品でも売り切れが続出する中、各店は新たな客層を開拓しようと、工夫を凝らしたアイデアおせちを展開している。

 

「昨年も最後は陳列する商品がなくなるくらいの〝おせちバブル〟だったが、今年はそれ以上の伸びを見せている」。高島屋大阪店(大阪市中央区)の担当者は声を弾ませる。

 

同店によると、日本の伝統文化を見直す動きの後押しもあり、近年、おせち市場は拡大傾向にある。高島屋全店のおせちの売り上げは平成28年からの5年間で約48%増加。特に昨年はコロナ禍の外出自粛で、家族だけで自宅で食べたり、帰省を見合わせる代わりに遠方の実家に送ったりする人が多く、高島屋全店の売り上げは前年から約20%増えたという。

 

大阪店の場合、9月22日の販売開始以来、売り上げは今月10日時点で前年同期比約30%増を記録。他の百貨店も同様の傾向がみられ、大丸松坂屋百貨店は同6日時点で前年同期比43・6%増となっている。

 

有名料亭などが手掛ける5万円以上の高価格帯商品が売れているのが今年の特徴だ。高島屋大阪店では「京都吉兆」の三段重(25万9200円)が、販売数が少ないこともあるが販売開始当日に売り切れた。同店の特設売り場では、5万円以上の商品を中心に売り切れの表示が目立つ。

同店担当者は「昨年、早く売り切れてしまったので、確実に買いたいお客さんが例年以上に早く予約しているようだ。お正月くらい贅沢(ぜいたく)をしたいというハレの日需要もある」と話す。

 

料亭のおせちに注力し、3万~4万円の商品の売れ行きがいいというあべのハルカス近鉄本店(同市阿倍野区)の担当者は「外出を控えても自宅で本格的な味が楽しめる。各料亭にはそれぞれ顧客もついている」と手応えを口にする。

「おせちは一度購入した客のリピート率が高い」と各百貨店。成長を続ける市場で好機を逃すまいと、和食中心のオーソドックスなおせちにこだわらずユニークな商品も投入している。

 

阪神百貨店は来年の干支の寅にちなみ、金色の重箱に詰めたプロ野球・阪神タイガースおせち(3万5千円)を用意。「新年のお祝いも猛虎魂で威勢よく!」とうたう。

 

高島屋は全都道府県にちなむ料理の重箱に、県庁所在地や人口などが学べる知育かるたを付けたおせち(2万9160円)を発売し、「おせちは家族のコミュニケーションツールでもある」と強調。モンブランやマカロンなどの菓子だけを詰めた「京のスイーツおせち」(1万800円)も新商品だ。

 

「近大マグロ」を取り入れた近鉄百貨店の「近大味めぐり」(2万7千円)のような大学との連携商品や、SDGs(持続可能な開発目標)をテーマに重箱の素材を改めた高島屋の「サステナブルおせち」シリーズなどもそろう。

 

コロナ対策で、他人との取り分けを気にしないでいい一人用おせちも昨年に続き好調。在庫が気がかりだが、大丸松坂屋百貨店の担当者は「特設売り場などで年末までに買えなかった人のため、営業最終日もおせちを販売している。ただ、お気に入りの商品は早めの購入を」とアピールしている。(井上浩平)