価値ある住まいをデザインする

石川県の建築会社「中部ジェイ・シィ」のブログ

輪島へ

先日、能登半島地震の被災地である輪島へ行ってきました。田んぼを埋め立てて造成している真最中。石川県木造住宅協会による仮設住宅プロジェクトに参加しており、この造成が完了次第工事を始めていきます。

弊社の担当する予定の場所は、これから埋め立てを開始します。川沿いにある桜並木がとてもきれいに見える場所です。

その後、輪島の街へ行って来ました。震災の爪痕がいまだに残っている状態です。

 

建築という仕事に携わっている我々だからこそのできることを活かして、能登の復興に少しでも貢献できればと思っております。移動や宿泊のことがまだクリアになっていない状態ですが、協力業者さんを集めた会議では皆さん全面協力してくれるとのことで、とても心強い思いです。

仮設住宅のボリュームも大きく、まだまだ完成まで長い道のりですが、一歩ずつ一歩ずつ。我々のふるさとのために着実にやっていきます。

 

 



 

光と影

以前訪れた民家園にて。手前の板の間は暗く、奥の座敷は明るく。光と影があることで奥行が感じられます。手前の部屋の黒い床と壁に比べ、奥の座敷は畳とふすまによって光が広がっています。このように素材が違うことで、光の広がり方が異なり、それが奥行感にも。

こちらは弊社入江モデルの玄関。格子から入る夕方の光はこんな感じになります。天井の和紙に格子状の光が広がっていきます。この時間のこの場所がけっこう好きです。

リビングでは奥の階段の上にある開口部(窓のことを最近カッコつけてこう呼ぶ)からの光が珪藻土の壁面を伝って、ほんのりと1階に降りてきます。特に午前中が良い感じ。普段の暮らしでは昼間照明をつけることはあまりないと思われるので、普段からこのように光を感じながら暮らすことになります。

窓から入ってくる光は窓の付け方はもとより素材によっても大きく変わります。暮らしの中の陰影が豊かな空間を生むのではないでしょうか?

 

今度、雑誌の取材で入江モデルの撮影があるのですが、是非午前中に撮影してくださいと言いました。できるなら照明も消して撮影して欲しいと思っています。出来上がりがどうなるかは神のみぞ知る。

 



 

2024.2.26リノベーション現場にて

現在、工事中の金沢市内の現場。昔ながらのお住まいの耐震性と断熱性を向上させるリノベーション。床下や壁をほとんど外してスケルトン状態にし、改修を行っています。先日はこんなスケルトン状態でしたが

今は柱を取替えたり追加したりし耐力壁を入れています。もともとは筋交いが一か所しか入っていませんでしたが、この工事によって現行の基準を満たす耐震性になります。防湿シートを敷いてコンクリートを打設する準備。

柱を入れ替える際のジャッキアップの様子。建物をジャッキで持ち上げながら柱を入れ替えていきます。

 

新築ではまずお目にかかることのない特殊な金物も使っています。既存の基礎は鉄筋が入っていないので、基礎の横に鉄筋入りの基礎を作り金物を埋め込み、既存の土台の引き抜きを防止する金物です。

 

このような耐震改修になると手間とコストがそれなりにかかります。また、1棟1棟それぞれ構造や寸法が違うので、その家に合わせカスタマイズした改修方法を模索するため検討する時間も必要になります。その分、大工さんをはじめ職人さんとあれこれ試行錯誤しながら答えを出していく作業は楽しくもある。

 

ただ、途中途中で昔の大工さんの仕事を見て「なんでこんなことやってあるんやろ?」と度々職人さんたちが手を止めて試行錯誤するので、さらに時間がかかっているのかもしれません。

 

 

帰るところ

かつて学生の時に、建築家でもある教授に質問しました。「先生にとって家とは何ですか?」と。それに対して「家とは帰るところだよ」との言葉がずっと残っています。世の中には様々な建築がありますが、帰るための建築は家になるのかもしれません。

 長く帰り続ける場所であるためには家はどうあるべきか。そう自問しながら仕事に携わっています。

 能登では多くの帰る場所が失われ、今もなお避難所での生活を余儀なくされている方々が大勢います。

 仕事を通じて今我々ができることは、安心で安全な帰り続けることができる場所を作ることだと考えています。

 

 

2024.2.6 建築現場から

本日は能美市で建築中のお住まいの社内検査に。完成物件は全員でチェックを行っています。

不具合や傷、動作確認などを行ったのち天井の高さや勾配の具合。素材の使い方などにもチェックが。来週の内見会に合わせて家具も搬入されていました。さりげなく置かれているソファはkitoki。ソファとしてもデイベッドとしても使えます。ご興味のある方は2月17日、18日の内見会にお越しください。

その後は金沢市のリノベーションの現場に。築50年を越えるお住まいの耐震・断熱改修を行っています。既存の基礎を新たに造る基礎によって補強するため、既存の基礎廻りを掘り下げています。

 

ショベルカーが家の中に入っている、あり得ない光景。

このような年代の古い建物は増築箇所ごとで現在とは違う寸法だったりするので、どうまとめていくかが難しい。この後はいつもの新築工事とは逆の流れで一部の大工工事を先行してから基礎工事に入っていきます。

古くからある建物を次の世代へバトンタッチするための改修工事。スタッフや職人さんはベテランのテクニックを次々と繰り出してくるので、見ていてとても頼もしいです。

 

 

 

2024年が始まりました。

1月1日に起こった能登半島地震。犠牲になられた方やいまだ安否不明の方々が大勢おられ心よりお悔やみを申し上げるとともに、一日も早い救助をお祈り申し上げます。

石川県のホームページには被災した場合の対応が載っていたので、こちらでご紹介いたします。

被害状況を記録すること

 

緊急修理制度について

 

現在、各市町村においてこのような対応をホームページに掲載しておりますので、ぜひご確認ください。

 弊社でも地震被害に対するお問い合わせをいただいており順次ご対応しております。今回の震災にあたり一日も早い復興を願うとともに、弊社としましてもできる限りの支援をしてまいります。

 

 

2023.12.28 猫の手も借りたい時に・・・

金沢市内で建築中の現場。外構工事を残しほぼ完成の状態となりました。年の瀬のこの時期は猫の手も借りたい忙しさ。それを知ってか知らずか・・・。

駐車場にコンクリートを入れた次の日の朝、現場に来てみると謎のアーティストの作品が。

 

メッセージ性が弱かったので、左官屋さんに立ち寄ってもらい元通りにしてもらいました。

 

事件は現場で起こると昔の人が言ったように、予想外の出来事が起こることも。それを乗り越えながら現場は完成に向かって進んでいきます。

 

こちらでは1月6日(土)~8(月祝)10:00~17:00に内見会を開催いたします。コンクリ―トのその後に興味がある方はぜひご来場ください。

詳細はこちらから

[予約制]金沢市御影町『自然素材と手仕事に包まれたおおらかな平屋の住まい』内見会(1/6~8) | 株式会社 中部ジェイ・シィ|石川県金沢市の住宅建築会社 (chubu-jc.com)

 

また12月29日~1月4日まで年始休業とさせていただきます。来年もよろしくお願いいたします。

 

 

2023.12.12 職人の手仕事

先日は現在建築中のお住まいのアレの製作を見に工場に行ってきました。細い木材から作られるアレです。もちろんアポなしなので迷惑極まりない。

木材同士を溝にはめて形にしていきます。

ここまで来るとなんだかわかるような、わからないような。

天井までの高さで使うので、職人さんは台に登っての作業。

手作業で形ができあがるとさらに機械でしっかりと圧着。

こんな感じでフレームができました。あとは最後の仕上げに紙を貼って完成です。今回は木材から桟を削りだす作業を見ることができなかったので、ちょっと残念。

このように工場生産(既製品)ではない手仕事の建具。家具や建具など工場ではなく職人さんがつくるものを造作(ぞうさく)といってサイズやデザイン、素材を住まいに合わせオリジナルで作ることで、質感のまとまりある空間となります。ただし、お値段は既製品に比べそれなりに。

 建築は大勢の職人さんとの協働作業。今回のようにアポなし現場まわりは続きます。

 

 

中能登町能登部にて完成内見会開催!

本日は中能登町能登部の建築現場に。12月9日(土)10日(日)にこちらで内見会を開催いたします。久々にお天気が良く外構工事の最終段階。

室内には家具が搬入されました。ソリッドさん製作の家具です。この時期冷え込むことが多いですが、断熱性が高いのでほんわか温かい室内環境。床の無垢フローリング珪藻土などの自然素材の柔らかい雰囲気のLDK。

今週の土日の二日間、ぜひご体感いただければと思います。

 

詳細はこちらから

中能登町能登部にて完成内見会開催(12/9~10) | 株式会社 中部ジェイ・シィ|石川県金沢市の住宅建築会社 (chubu-jc.com)

 

2023.11.25 建築現場から

先日は中能登町の現場まで。ウッドデッキとカーポートがつき外構工事に入っています。外壁の焼杉が良い感じに。12月に内見会を予定しているお住まいです。

内装の珪藻土仕上げがほぼ終わっていました。勾配天井の梁や羽目板と相まって柔らかな感じに仕上がっています。

 

玄関の地窓から入ってくる光が粗く仕上げた壁面に映って陰影が。職人さんの手仕事が壁の表情になっています。

 

さらに金沢市の現場ではカウンターの取り付けが終りました。カウンターの上にはアイアン手すりに木の笠木を載せています。手に触れる部分は温かみのある素材をチョイスしました。

 

寝室から廊下、その向こうのLDKを見ると。明るい場所、暗い場所が重なり合うような風景。単純に明るいよりも明暗差があると、より奥行感を感じます。

 

和室の天井にはヨシベニヤ。光の入ってくる方向に対してヨシを直行させることで、陰影が出てより素材感が強調されます。


建築は耐震性や断熱性といった性能面の重要さは言うまでもありませんが、このようなちょっとした部分の積み重ねによってより豊かな空間になると考えて、日々勉強しております。

 

 

 

 

2023.11.19 建築現場から

先日行った金沢市内の現場。特徴的な屋根がチャームポイント。階高を抑えて重心を低く低く。天候の良い日を選んで塗装工事に入っていきます。

 

 外から見るのとは対照的にリビングは広々と開放的な空間に。こちらは建て替えのお住まいですが、以前からあった庭を残しリビングから眺められるようにしています。思い出や記憶が新しいお住まいにも受け継がれるように。

 大工さんは最終段階で、この後からキッチンや家具の取り付け工事、内装の左官やクロス工事と続いていきます。

 

こちらは防音室。天井と壁の一面は吸音パネルとなっています。パネルを貼る前は遮音した壁に音が反響し、ここで会話するととてもうるさい部屋になっていましたが、これらのパネルを貼るとピタッと反響が止まりました。体感するとけっこう感動します。

これから完成に向けて仕上げの工事に入っていきます。当分は天気予報とのにらめっこが続きそうです。

 

 

たてもの探訪【黒部の建物達】

ここは富山県黒部市。昨年オープンした道の駅「KOKOくろべ」に。立山連峰が見渡せる絶景スポット。真ん中の白い部分はトランポリンになっている様子。

 

高低差のある中に池があったりと黒部の名水アピールも怠りなくやっています。道の駅の中には新鮮な海の幸や野菜があったりで、平日にもかかわらず多くの人が来ていました。

 

すぐ隣には温泉施設「FUROBAKKA(フロバッカ)」。砦のような外観です。中は木が沢山使われていてお洒落。

 

さらに道の駅の対岸にある総合公園にはこんな建物。ボリュームは控えめで良い感じ。

 

ベンチのある休憩所のようです。直線ラインが素敵。

 

上にもベンチがあって立山連峰が見渡せるように。天井は低めで、座ると天井が風景を切り取ってくれる丁度良い高さです。

その後、黒部宇奈月温泉駅の近くにある「松桜閣(しょうおうかく)」に。初代富山県知事の住まいとして建てられた住宅です。あいにくの休館日でしたが、戸が全部閉まっている状態を見ることができました。

 

こちらは以前訪問した際の開館時の風景。戸の開閉によって建物の雰囲気が変わります。自然に溶け込むようなこのサイズ感が最近お気に入りです。

建物の前にある池は透明度が高く、池の鯉が浮いているように見えるくらい。心なしか泳ぎも颯爽としています。さすが黒部の名水。

 

黒部市はYKKのお膝元で街の中にYKK関連の先進的な建物も数多く建てられており、街中にはカッコ良い建物がちらほら。また日をあらためて訪れたいと思います。

 

ひととおり建物を見てから先ほどの「FUROBAKKA」に。サウナの水風呂がまたしても黒部の名水。松桜閣の池の鯉の気持ちがちょっとわかったようなわからなかったような。