ストレスの身体への影響は、とても広範囲に及びます。
慢性的なストレスがたまることで、私たちは動けなくなり、弱り、あわただしい毎日を乗り切るためのエネルギーがほとんど、あるいは全く残らなくなってしまいます。
目標を達成できない時、周囲の人が自分の思い通りに動かない時、他人と比べて劣っている自分を責める時、今の生活に不満がある時、など多くの場面で人は、不安、悲しみ、怒りなその感情が起きてストレスを感じます。
このストレスは幻想である個人の固定観念に縛られているのが原因ですが、その説明は別の機会にして、今回は身体への影響について解説します。
ストレスは私たちを攻撃し、基本的な機能の多くに悪影響を与えます。
まず心に留めておかなければならない事実の一つとして、ストレスが私たちの脳を変えてしまうということがあります。
私たちの生活の中でストレスが慢性的になってしまうと、記憶力が減退し、特定の構造が退化し、認知機能が低下します。また、うつが重なるとさらなるリスクが増えます。
これは脳に爪痕を残し、活力やエネルギー、そしてもちろん健康を私たちから奪ってしまう現実なのです。
ストレスの身体への影響は、脳の視床下部という場所でコントロールされています。
ここは心配事や恐怖や不安でいっぱいの悩みの種に敏感です。全てのメッセージを脅威と解釈し、すぐに身体に警告を発し、逃げなければと伝えるのです。
この情報に直面すると、身体の中でとても複雑な反応が引き起こされます。
まず、脳下垂体と副腎皮質がストレスホルモンを放出します。
このホルモンはコルチゾールととても似通った要素を含んでいます。
これは糖質コルチコイドと呼ばれており、コルチゾールの中で最も重要なものです。
糖質コルチコイドはポジティブな面とネガティブな面を持っています。
特定の瞬間に限られた時間放出されるなら、私たちがより柔軟に動くために役立ちます。
与えられた状況で自分のベストを尽くす手助けをしてくれるのです。
しかし、これが放出され続けたり毎日それが起こったりすると、ストレスの身体への影響はものすごいものになります。
ストレスホルモンは呼吸機能と循環器系の両方へ直接影響します。
脅威に対してできるだけ素早く反応できるように、脳が身体全体へ酸素の豊富な血液をすばやく巡らせようとすることで、私たちの呼吸は速くなります。
これが頻脈や高血圧につながる大きなリスクになるのです。
他にも起こる現象があります。
それは、想定している脅威から「逃れる」ために、血管が狭まり筋肉により酸素が行き届くようにするということです。
これはつまり、私たちの心臓と脳に送られる酸素や栄養が少なくなるということです。
他にも消化器系への影響があります。
- 胃痛、胃潰瘍、消化の問題、胃逆流、下痢や便秘、吐き気や嘔吐、大腸や小腸炎
ストレスは肝臓に血糖(グルコース)を多く作らせ、エネルギーを得ようとします。
それが糖尿病のリスクを引き上げます。
ストレスのかかる状況に直面した時、感情の求めるものを満たすために高カロリーの食べ物の摂取が増える人もいれば、一方で食欲が完全になくなってしい、肥満や体重減少になる人もいます。
また、ストレスによる抜け毛はよくあることです。
血中のコルチゾールの増加により、毛包が弱まり、だんだんと毛が抜けてしまうことがあるのです。
一部が部分的に禿げる円形脱毛症に悩まされることもあります。
慢性的なストレスはホルモン系に深刻な影響を与えます。
女性において最もわかりやすい症状として、月経周期がとても不規則になることがあります。
生理が遅れたり、来なかったり、血液の量が普段より少なかったりします。
ストレスの身体への影響で、免疫力が著しく低下する恐れがあります。
気持ちの上でのストレスが私たちの防御機能を破壊してしまうのです。
それにきちんと対処せず長い間ストレスを抱えたままでいると、身体の免疫反応が低下し、色々な病気にかかりやすくなります。
また、免疫疾患のアトピーなどになることもあります。
このように、単にストレスと言っても、身体に多くの影響を与えます。
ストレスだからと、向精神薬に頼っていては根本は治りません。
自分の拘っている観念に気づくことが大切です。
これは別の機会にお話しします。
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