今日はコラムの日。

前回の続きです。

 

 

1.旧民法典と民法典論争

2.現行民法典 

3.民法典の特徴 (←今回はここ)

4.改正の経緯

 3.民法典の特徴

 

パンデクテン方式

 現行民法典の特徴のひとつは、編纂方式として、パンデクテン方式(Pandekten)を採用したことが挙げられる。当該方式は、6世紀に編纂されたローマ法大全の「学説彙纂」(がくせついさん)に由来し、ドイツの継受されたものである。日本の現行民法典は、旧民法典が準拠したフランス法学から、ドイツ法学へと転換した。

 なお、フランス民法典の編纂方式は、インスティトゥーツィオーネン方式(Institutionen)と呼ばれ、同じくローマ法大全の「法学提要」に由来している。人・財産・財産の取得方式という三分法を採るところに、特徴がある。

 パンデクテン方式を採用した日本の現行民法典は、母法であるドイツ民法典と同じく、全5編で構成を採る。パンデクテン方式は、大原則を定めて演繹的に思考する特徴を持つ。そのため、第1編に「総則」規定を置き、それぞれの編の最初にも「総則」規定を置く。

 

 

    

第1編 総則 民法全体に共通のルール

第2編 物権 物に対する支配権に関するルール

第3編 債権 人に対する請求権に関するルール

第4編 親族 身分関係に関するルール

第5編 相続 相続に関するルール

 

 

条文数の少なさ

 現在、民法は1050条ある。改正によって、各所に枝番号が付されているので、実際の条文数はもっと多い。受験生にとっては、「民法は条文数が多い」という認識だと思う。しかし、世界全体で見てみると、日本の民法典の条文数は、かなり少ない方である。例えば、フランス民法典(Code civil des Français)は、2534条(一部改正により削除あり)、ドイツ民法典(BGB)は、2385条(同、削除あり)まである。参考までに、下記に、各国政府が公開している資料のリンクを記載した。

 

Federal Ministry of Justice

 

 

 République française

https://www.legifrance.gouv.fr/codes/texte_lc/LEGITEXT000006070721?fonds=CODE&page=1&pageSize=10&query=civil+des+Fran%C3%A7ais&searchField=ALL&searchType=ALL&tab_selection=all&typePagination=DEFAULT

 

※いずれも英語で読むことができます。

 

日本の民法典が、これらのおよそ半分であることには、いくつかの理由がある。

一つ目に、詳細な定義・原則規定により、教科書的なものになってしまうという旧民法に対する批判を解消したこと、二つ目に起草にかけられる時間が十分でなく、細部までの立法を断念したこと、と言われている。

 

こうして出来上がった民法典は、「当たり前のことは書かない」という考え方の下、定義・原則規定を省略した、かなり少ない条文数で完成したのである。

これにより、その後、条文からは明らかにならない点につき、判例法理が形成され、学説上の議論が活発化されるという現象が生じた。しかし、その一方で、一般市民にはわかりにくいという弊害ももたらした。

 

こうした背景は、先般の大きな財産法改正の議論へと繋がっていく。

 

ひとこと

 

学習の際、なぜ「条文」→「判例」の順で学習するのか、その理由が納得できたのではないでしょうか。日本の法律(特に民法)は、そういう風に作られているからなのですね。

 

 

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