「板倉は時子に会いに来たのか?来なかったのか?」


アナと雪の女王では世界も絶賛する歌声で
私達の心を魅了した松たかこ。


私はその前に、もう1作松さん主演の映画を観ていました。
「小さいおうち」です。


原作は中島京子


地味ながら、映画の質も興行収入も良かったんですよ。
松たかこは小さなおうちでは歌いませんが


小さくまとめた黒髪と和服がよく似あう昭和の美人妻の役で
むちゃくちゃ色気があって女の私でもクラクラとしました。




こんな美人とお手伝いさんが登場するってことは
家政婦は見た!の昭和初期版をイメージするでしょうか。


予告編でも、もう分かってしまいますが
松たかこ演じる時子は夫の会社の部下と不倫しちゃうんですよね。


まあ今じゃどこにでもある話ですが
なにせ、昭和初期の話ですから


それはもう一大事だったんですよ。
懐かしくて美しい昭和モダンと小さいおうちに封印された
小さな秘密が60年経って紐解かれる そんな物語です。



小さなおうち あらすじ


物語の始まりは、建史(妻夫木聡)の大叔母のタキ(賠償美津子:老年期)
の葬儀で思い出話、そしてひとり暮らしだったタキの
遺品整理のシーンから始まる。


遺品の中から封を切らずに残された1通の手紙、
宛名は無く裏には「平井時子」と書かれている。


なぜこの手紙をずっと封も切らずに
とってあるんだろうか?


ここから自叙伝を書きながらタキの生前の回想シーンになる。


建史は昭和初期の日本の社会や、タキの生い立ちに
興味をもち、自叙伝を書いてみないかと話を持ちかけ
読むのを楽しみにタキの家に通っていた。


タキによると昭和時代の女中奉公は
花嫁修業の場でもあり、かなり一般的であったという。


田舎から東京へ出てきたタキ(黒木華)は1年ほど小説家の
女中を経て、次に来たのが郊外の家で、

モダンな赤い屋根の小さなおうちだった。
そこで待っていたのは若くて美しい社長夫人の時子だった。


気さくで、優しく、おしゃれな時子は
タキにとって憧れであり、一緒に過ごすことに
喜びを感じていた。


ある年、家で開かれた新年会で
風代わりなの若者板倉(吉岡秀隆)と出会う。


時子は一瞬にして板倉に興味を持ち、
コンサートで偶然に一緒になってからは
二人は度々会うようになり


やがて時子と板倉の密会は知人に目撃され
噂は少しずつ広がっていく。



純粋無垢で、なにより時子とこの家のことを思う
タキは、時子の変化に気づき、毎日思い悩む日々が続く。



体が弱く徴兵の心配がなかったはずの板倉にのもとに
召集令状が届き、最後にひと目板倉に会いに行こうとする時子を
タキは、行かせまいと説得し、かわりに



板倉が家に訪問してくれるよう願う手紙を書かせ、
タキは時この書いた手紙を持って出かけていくが、
その日、とうとう板倉は現れなかった。


「そして丘の上の小さなおうちの恋愛事件は幕を閉じました」
ここまで書いてタキ(賠償美津子)は号泣する。


戦争が激しくなり、「贅沢は敵だ」という風潮が高まり
タキは田舎へ帰ることになったが、これが時子との永遠の別れとなる。



終戦を迎え、タキは時子の消息を訪ねて東京へ赴くが
時子と過ごした赤い屋根の小さなおうちはそこにはなかった。


時子夫婦は抱き合ったまま防空壕の中で、
亡くなっていたと聞かされる。


あの時板倉と会わせなかった・・
自分のやってしまったことは本当に良かったのだろうか?


それから60年もの間 タキの心の奥深くに
"後悔と罪悪"となって残っていた。


タキは生涯結婚はしておらず
ずっとあの時板倉に渡すはずだった手紙を
封を切らずに持っていた。


また戦争が終わった後、板倉は画家となり成功を修めるが
板倉もまた独身のまま亡くなっている。


板倉の個展で偶然に時子の息子恭一が生きていることを
知った建史は、タキが封印していた手紙を手渡しに恭一のもとへ。


その中に書かれていたのは
あの日、時子が板倉に会うために書いたものだった。



タキは板倉に手紙を渡さずにいたのだった。


ここまでなんですが、
上に書いたのは映画用のストーリーなんですが
原作と1点大きく異なるところがあります。


この物語の一番の謎なんです。
なんで省いたんでしょうね?


原作では、時子が手紙を出した日板倉は来なかったけど
タキの自叙伝によると次の日に
板倉は時子の元を訪れたと書かれいており

「そして丘の上の小さなおうちの恋愛事件は幕を閉じました」
その後、時子とタキの関係が少し悪くなった。と書かれているんだそうです。


私は原作読んでないんですけど、
ネットでいろんな人の感想文を読んでいると
そうなっているのです。


ものすごく気になります!


本当は板倉は来てなくて
タキが付け加えたものだった可能性もあるし
真実は分らないのですが、映画での解釈は
板倉は来なかったのです。


だからタキはずっとそのことを罪の意識を
感じていたのであろうという予測ができます。



また映画ではタキちゃんも、もしかして板倉のことが気になっていたのでは?
と思わせるようなニュアンスもあり、あの手紙の一件については


あれこれと憶測してしまいますね。