【カラコルムの山々】音楽性は好きじゃない、でも力になりたい●『からり』EP感想&レビュー | とかげ日記

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石田想太朗さんという方から長文のDMをいただいた。彼からDMをいただくのはこれで3度目だ。自分の作品を僕のブログで取り上げてほしいという。

1度目にDMをいただいた時は他のアーティストとあわせて以下の記事にしたためた。
【石田想太朗と川辺歩】素人が新人2組の音楽を論評する

上記の記事で紹介した、石田さん名義の曲である「熱帯夜(feat.しらぽん)」は切ない曲想と切実な歌メロが絡みあう素晴らしい曲なのでぜひ聴いてほしい。



そして、2度目と3度目の彼からのDMは、彼が主宰するバンド「カラコルムの山々」の音源を取り上げてほしいというものだった。

早速『からり』という彼らのEPを聴いてみると、この音楽は天才の発露だと思うが、その天才性ゆえに僕はついていけなかった。より多くのリスナーを獲得するには、大衆に合わせ、窓口を広げるポップの才能が必要なのだなとしみじみした。





しかし、中毒になる人も多そうだと思う。それくらい、クセとアクのある音楽だ。新しい音楽ゆえの奇抜さで満ち満ちている。少しおどろおどろしく珍奇でダイレクトな芸術性が炸裂している。

音楽性はSuiseiNoboAzのポエトリーリーディング曲と共通するものを感じる。しかし、SuiseiNoboAzは伝えたい音楽性とメッセージ性がラディカルで明確であったのに対し、"カラコルムの山々"の音楽性とメッセージ性は抽象的にすぎるし、複雑怪奇で曖昧模糊としていて、何を伝えたいのかが分からない。(このあたりは僕の解読力が浅いことにも原因がありそうだが…。)

石田さんには、ブログで取り上げるが、内容は批判が多いから本当に取り上げてよいのか事前に聞いた。すると、「どの音楽も、批判を含めた評論されるべきと僕は思っています。(中略)ぜひ、公開していただきたいです」との返答を得た。

石田さんはとても誠実なミュージシャンだと思う。彼からの長文のDMには深慮の跡が見えるし、批判を許すところも懐の深さを感じる。これからも頑張ってほしい。