兵庫ダービーこぼれ話 | 大恵陽子の地方競馬遠征記

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兵庫ダービーが昨日、行われました。


レースレポートは地方競馬全国協会の「ウェブ・ハロン」に書きましたので
そちらをお読みいただければと思います。


ウェブハロン 兵庫ダービー





ここではレポートに書ききれなかったこぼれ話や
直接レースとは関係ないエピソードを。



スマイルサルファーは今年3月の重賞・兵庫ユースカップの前、
兵庫県の淡路島にあるフォレストヒルという育成牧場の坂路で乗り込まれていました。


「坂路で乗ってもらって帰ってくると
トモの入りが良くなって、体の使い方が良くなりました」

と渡瀬寛彰調教師は目を輝かせ
ワクワクした表情で兵庫ユースCを迎えました。


JRA認定戦も勝っている馬。
坂路でパワーアップして、どんなレースを見せてくれるのだろう
と期待は高まりましたが、結果は4着。


「キャリアの浅さもあったかもしれません・・・」と敗戦を受け止めました。


しかし、続く菊水賞も4着だったものの
直線でしっかりと脚を伸ばし、勝ち馬との差も兵庫ユースCよりも詰めると
その次の3歳A特別では菊水賞馬シェナキングにクビ差まで迫る2着。

徐々にレース内容が良くなり
迎えた昨日の兵庫ダービーで
これまでのライバルたちを差し切って初タイトルを手にしたのでした。


レース前の調教師室は
普段の重賞レースなら調教師同士がレースや騎手について話している声が聞こえてく
るのですが
さすがダービーともなるとシーンと静まり返り
緊張感が漂います。


張り詰めた空気の中、スーツ姿の調教師に混じって
ポロシャツを着た厩務員たちが数名。

その背中には「WATASE STABLE」と書かれていました。


「ダービーはお祭りやから、みんなで雰囲気を味わうぞ!」
と、約1時間離れた西脇の厩舎から
スタッフ総出で応援に駆け付けていたのでした。


最年少は19歳の女性、最年長でも26歳というスタッフで
渡瀬調教師自身も40歳という若い厩舎です。




「Amazonで買ったんです」

というスマイルサルファーのオーナー勝負服の柄に合わせたネクタイを着け
熱い声援を送ったのが、あの3頭横一線のゴールでした。


周囲から一度は「スマイルサルファーは3着やろ?」と言われたのですが
スローモーションを確認すると、どうやら差しているっぽいぞ・・・
と判明。

その瞬間、渡瀬調教師はライバル馬の調教師たちから
「おめでとう」の言葉とハイタッチで祝福をされたのでした。








担当するのは渡瀬調教師の息子さん。

先述の通り、渡瀬調教師ご自身は若いのですが
実は21歳になる息子さんがいて
「厩務員になって3~4年」とのこと。


先週、netkeibaやYahooで
タントタントと小山裕也 元騎手、トランセンデンスについてコラムを書いたのですが
小山 元騎手を盛本信春調教師に紹介したのがこの息子さんでした。

そうして小山 元騎手は盛本厩舎からジョッキーデビューしたのですが
阪神競馬場の乗馬センターで同期という仲。

さらにはJRAで活躍中の西村淳也騎手ともいいライバル関係で
今でも仲がいいそうです。


「年齢のわりに一生懸命やってくれるんでね」

とダービー厩務員になった息子さんのことを誇らしく話す渡瀬調教師。



師ご自身も元は厩務員で
兵庫の名門・橋本忠男厩舎(解散)で厩務員時代にはエーシンクリアーを担当してい
ました。

兵庫若駒賞や兵庫ジュニアカップなど重賞を勝ち
3歳夏には大井の黒潮盃に挑戦。


厩務員時代に遠征した思い出の黒潮盃に
今度はスマイルサルファーで挑むといいます。

あの時は14頭立て8着でした。
調教師としてダービー馬とともに挑む今年は、もっと夢を見たくなりますね。





〜余談〜

兵庫ダービーの本馬場入場を撮影しようと
馬道で待っていると


「グラシーナ、今日はプラス2kgですっ!」


と馬体重取材(?)を終えた記者さんたちから
速報が入りました。笑

最終レース、628kgで4連勝を目指したグラシーナは
残念ながら出遅れて7着でしたが
また無事に走ってくれればと思います。