田舎に移住して一番大きな変化はとてつもなく早起きになったことだ。

具体的には午前３時頃に目が覚める。

で、早起きして何をするかというと仕事である。ていうか、ほかにすることがないのだ。外は真っ暗だし、猿とかイノシシとか鹿とかゾンビとかドラゴンとかが跋扈しているので、外に出かけて何かする、という訳にもいかない。たまに早起きの猿なんかがギョエーーーーッ！みたいな奇声をあげるので、それにビクビクしながら半径数十メールは無人の環境でボソボソと働くことになる。

だいたいなんなのだ。あのギョエーーーーッ！とか、クケーーーーッ！みたいな野生動物の叫び声は。ビビる。ちょーーービビる。いったい何の意味があるのだろう。猿のカラオケかなんかか？それとも鹿のおとっつあんが朝帰りして、鹿のおかっつあんと喧嘩してるとかそんな感じなのだろうか。夜中に外でギョエーーーッ！て人間だったら狂人である。ノートン1世である。ともかく話し合いが通じる相手ではない。『チクショウめ！』の語源をこんな形で実感するとは驚きだが、畜生共と共存するためには、『チクショウめ！』とか言いつつも泣き寝入りしてガマンする他はないのである。

猟銃とか罠とかの資格取得も考えてみたが、どうも猿は狩猟鳥獣の対象となってはいないため、ズドーーーン！と１発ぶちかまして退治するわけにもいかないらしい。ズドーーーン！と１発ぶちかませばさぞかしスッキリするだろうな、と、良く考えるが、１発ぶちかまされた可哀想なおサルの遺体を見てしまったら、激しく後悔してオロオロしてしまうことも同時に想像できるため、結局は泣き寝入りなのだ・・・チクショウめ！

***

話を戻そう。朝の３時から起き出して、ゴソゴソ仕事しているのだ。

当然ながら生産効率は著しく向上し、週に３～４個だった新作の数が、倍の週６個とかになりつつある。ぶっちゃけ週に２個とか売れれば生きていけるので、それ以上は余剰生産という形になるのだが、さきほども書いた通り、冬場の南伊豆というものは、なにもすることがないので、おのずと働くハメになる。

この状況を考えた場合、何かに似ていることに気が付きませんか。

山奥で・・・

誰もおらず・・・

ひたすら労働する・・・

***

そう、タコ部屋である。

借金で首が回らなくなった人が、それをカタに突っ込まれる山奥の作業現場とか、遠洋漁業のマグロ漁船とかそんな感じのアレである。カイジとかによくある感じの閉塞的かつ過酷な労働環境。そういったテイのアレだ(カイジ読んだことないから想像です)。それを自ら進んで行っているのである。

よく芸術家とか陶芸家みたいなひとが、人里離れた静かな環境でインスピレーションを高め、作品に活かします。みたいなことを宣ったりしているが、わたしもそれに類する環境を手に入れたと思っていた。静かな場所で・・・都会の喧騒から離れ・・・誰にも邪魔されず・・・創造性を高める・・・とか書くとクリエイティブに聞こえるだろうが、違う！違うのである。

自ら進んで行う、タコ部屋労働環境。セルフ・タコ部屋である。うっひょー

まぁ、なんでもいいんですけどね。ボヤボヤ生きていければ。

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