

・・・ナニカが居て頭からくわえられたりして・・・
続き
ここは、何もいない?えらいしずかなところだなぁ~、ここは、うわーっ!クサも、草もあんまりないわ!き、木もないわっ、何か向こうまで見通しがいいわっ、うわーっ、ここはいいところだなぁー、さ、さっきのところとは違う」
「そこはなぁ、怨霊の棲む林の、ずーっと上の方だ。だからそこには何もいないのだ」
「さ、さようでございますか。わたし、どうしてこんなところに来たのですか?」
「どうしてこんなところ?ではない、お前の人間界の母親の依頼でお前を地獄から引き上げたのだ」
「わわ、わたし、ジゴクから引き上げられた?ジゴクから。またわたし、ジゴクに落とされるのじゃないでしょうか?」
「そうじゃ、今後、人間界のオマエが母親に逆らったり親不孝をした時には、また地獄に落とされる事になるかも分からないぞ。だから、親孝行をするように人間界のオマエに云うのじゃ。おい、ところで下にさがるなよ、下がるとまた地獄に落ちるぞ、いいな」
「ああっ、わかりました、分かりました・・・うわーっ、ここは、ここは・・・ちょっと休憩してもいいでしょうか?」
「おう、休憩でもするがいい。そこで横にでもなっていろ」
「は、はい、横になって暫く体を、カラダを・・・キツカッター!・・・キツカッタ・・・アアッ~・・ああっ!ありがとうございます。ありがとうございます・・・」
やはり霊のいないところに引き上げる事が出来た。
もう、これで安心だ。
しかし、地獄の淵で色々な化け物に交互にいたぶられていたのが良く分かった。
後日、無事試験に合格しました、とお礼の電話が入る。
これからが本当の人生の始まり。
誰に邪魔される事もなく、自分の意思の赴くまま元気いっぱいに活動出来るのだ。
持つべきもの、頼りになるのは、やはり母親に勝るものはなし、と言うところか。
今回も最終章までお付き合いくださりありがとうございました。