先日取材を受けた際のコメントが
昨日の東京新聞朝刊に掲載されました
※取材くださった記者さん、とても真摯なご丁寧な方でした
子どもの自殺が過去最多…
もうこれは
ひとりで活動していた頃から
ずっとずっと１０年近く
社会に訴え続けてきたこと。
「日本には今
これだけ苦しんでる子がいるんですよ！！」
「家にもどこにも居場所がなくて
自分を殺してしまいたいと思うほど
苦しんでる子がたくさんいるんですよ！！」
こうした言葉を
何年もずっとずっと
言い続けてきましたが
今もなお
「どうして子どもの自殺は増えてるんですかね？」
と聞かれます。
毎回声を大にして
「死にたいと言ってる子はほぼ１００％
家庭環境が原因です」
「死にたいと言ってる子で
親から１００％無条件の愛を受けてる子に
未だに会ったことがありません」
と言っています。
中には
「私は子どもをちゃんと愛してます！！！」
という親御さんももちろん居ると思うのですが
それは一方的な気持ちの話で
お子さんが実際に
無条件の愛を感じているか？は
また別問題です。
無条件の愛とは何ぞや？
という方に解説すると…
「条件付きではない愛」ということ。
たとえば
「あなたが学校行かないから
お母さん悩みが絶えないわよ」
「もう少し勉強頑張ってくれないと
大学のお金出せないわよ」
「他の子はできてるのに
なんであなたはできないの？」
のような
キツイ言葉達はもちろん
「勉強頑張ってて良い子ね」
「学校ちゃんと行けないなんて
ダメな人間になるわよ」
「もっとお手伝いしてくれたら良い子なんだけど」
のような
一見キツくなさそうな言葉も
条件付きの愛です。
なぜなら
勉強頑張ってない子は良い子じゃない
という意味だから。
学校ちゃんと行けないあなたはダメ人間
という意味だから。
お手伝いしてくれないあなたは良い子じゃない
と言う意味だから。
もちろん虐待やネグレクトや
言葉の暴力なんてものは
もってのほかです。
でも、一般的なご家庭でも
お子さんに対して
何かしらの条件をつけて
愛情を表現してる親御さんが
本当に多いのです。
その代表格が
「あなたのためを思って…」
というものだと私は思ってます。
「あなたのためを思って
良い学校に行ったほうがいいって言ってるのよ」
「あなたのためを思って
あんな友達（彼氏）はやめなさいって言ってるのよ」
「あなたのためを思って
学校は休まず行きなさいって言ってるのよ」
などなど…
カウンセラー養成講座でも言ってますが
「あなたのためを思って」は
「自分のため」
です！
お子さんが良い学校に行ったほうが良い！というのは
（そもそも良い学校って何を基準にしてるんだ？という話ですが）
お子さんのためを思って言ってるのではなくて
自分の価値観
自分がそうして欲しいという願望。
お子さんが悪そうな友達（彼氏）と付き合うのは良くない！というのは
お子さんのためを思って言ってるんではなくて
自分の価値観
自分がそうすべきと思う願望。
お子さんが学校を休まず行く方が良い！というのも
お子さんのためではなく自分の価値観
自分が行って欲しいと思ってる願望です。
そもそも
良い学校とは
親や世間が良いと思う学校ではなくて
その子にとって良い学校かどうか？
が何よりも大事なこと。
悪い友達（彼氏）と親が思っても
その子にとっては好きな友達（彼氏）で
付き合ってるのにもちゃんと意味があるから。
学校に休まず行くべきというのは
親の価値観であって
その子にとっては行きたくない何か理由があるのです。
親や一般的な意見からしたら
「こうした方が良いのに…」
と思うこともよーくわかります。
でも
たとえ誰が見ても
こっちの方が良いのに…と思う選択肢でも
その価値観を押し付けたり
ましてや
それを選ばない（それをしない）子は
良い子じゃない！みたいな
言葉をかけてしまうは
ちっとも無条件の愛ではありません。
無条件の愛とは
その子がどんな選択をしようが
何をしようが
受け止めること
否定せず
その子の価値観を受け止めることだと
私は思ってます。
何か意見を言いたくなったら
否定からではなく
「お母さんはこう思うよ」
と、あくまで自分の意見だけどね
という形で伝えることが何よりも大切です。
だけど今の世の中
親である大人が心に余裕がなく
何かあると
「あなたのせいでお母さんこんなに悩んでるのよ」
「あなたのためを思って言ってるのに全然わからないんだから」
「あなたが良い子でいてくれたら安心なんだけど」
と、子どもたちに自分の価値観や感情を押し付けてしまう親御さんが
本当に多いのです。
うちの団体には今
月に３〜４万通のLINE相談が
１０代の子たちから寄せられます。
そのうち殴る蹴るのような虐待は２〜３割。
その他は
言葉の暴力などの心理的な虐待や
両親の不仲
いつも怒られてばかり
兄弟との差別
ヤングケアラー等々
多岐に渡りますが
私は上に書いたような
親の価値観を押し付けた言葉たちも
心理的な言葉の暴力だと思ってます。
私も子どもの頃
散々親から
「あんたなんか産まなきゃよかった」
「あんたは橋の下で拾ってきたのよ」
とか
中にはこんな
「本当は６つ子だったんだけど他の５人は死んじゃって
あんただけ生き残ったのよ、他の子が生きてれば良かった」
なんてのもあってw
本当に否定の言葉は色々言われてきましたが
言った本人は覚えてなかったり
大したことではないと思ってるようなのですが
子どもは一生忘れてませんw
私自身は今となっては
その言葉たちを
自分と向き合って癒したり
何なら宝物と思っているけれど
そうなるまでに
本当にたくさんの時間がかかりました。
たとえ殴る蹴るの暴力をしていなくても
自分の価値観を押し付けて
その子の気持ちや行動を否定したり
何かにつけて条件付きで接することは
その子のその先の人生の自己肯定感に大きく影響することを
どうか親御さんたちは忘れずにいて欲しいと思います。
「勉強してくれたら嬉しいけど
学校行けたら嬉しいけど
でもね、お母さんは
勉強しようがしまいが
学校行っても行かなくても
あなたを心から大切に想ってるのよ
愛してるのよ」
常にこの無条件の愛から発した言葉とこの気持ちを
どうかお子さんに向けて欲しいとい思います。
親からのたったその一言が
たったその気持ちが
子どもたちの自殺を減らすと
私は確信しています。
コロナ禍で
本当なら安心できるはずの場所である家庭が
安心できない場所となり
どこにも居場所がない子たちが
激増しているということ。
その負の連鎖が
子どもたちの自殺を増加させてると
親である大人たちは
しっかり受け止めて欲しいと
心から思います。
NPO法人若者メンタルサポート協会
理事長 岡田沙織
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