雰囲気のよい本格的イサーン料理レストラン
チェンマイはタイ北部に位置しているが、食文化的には主食をカーオニヨウ(もち米)とするなどイサーン(東北タイ)と共通するところも多い。
そんなことも理由のひとつなのかイサーン人もかなりいるからなのかわからないが、コンムアン(チェンマイ人)もイサーン料理には特に親しみがあるようで街のいたるところにレストランがある。
しかしながら、多くの店は飲み屋を兼ねたローカル色たっぷりでメニューもタイ語だけだったりして外国人には敷居が高い。
そんな中で、オシャレで清潔感あふれる店内で本格的な料理を楽しめるレストランがある。
それが今回紹介する「ウィーララープペット」だ。
店名の通りウリはラープペット(ลาบเป็ด=アヒルのラープ)だが、イサーン料理を幅広くそろえておりどれも本格的な味で満足度が高く手作りタイスイーツのデザートもあったりで、自分は日本などからお客さんが来チェンした時にお連れすることも多い。
北部やや郊外。通りから店はまったく見えない
店は、チェンマイの北部やや郊外にある。
住所:182/22 Moo3 Soi3 Thanon Nong Ho A.Mueang
TEL:092-5096956
営業時間:11時~14時半、17時~21時
チェンマイ市内からだとチャーンプアック門からチョータナ―通り(国道107号線)を北上、スパーハイウェイとの交差点を越して500~600m行ったところにある最初の信号を左折する。
この通りはノーンホー通り(国道1366号線)で官庁街になっており、道の運河に近い一部のエリアはそこに勤める役人や役所に来た人などをターゲットにした飲食店が並んでいる。
店は信号から500mほど先だが、通りには面していない。
車がすれ違えるかどうかというような細いソイ(路地)を入った先にあり、通りには小さな看板が出ているだけだ。


ソイ(路地)は行き止まりで、進んでいくと店の敷地に自動的に入る感じになる。
店の建物は大きな一軒家で、その前と路地をはさんだ反対側に駐車スペースが用意されている。

どのように使うために建てられたのかわからないがかなり大きな一部2階建ての一軒家で、平屋建ての部分をキッチン、2階建ての棟の1階部分を客席にしている。
入口周辺はセンスよくまとめられていて、カーオニヨウ(もち米)を手で食べる人用の手洗い場も何かオシャレに見える。

1976年創業と書いてあるが、店主の女性の話によれば元々は旧市街のお濠沿いにあったらしい。

広い店内。メニューは英語付きでわかりやすい
店内は結構な広さがある。
パッと見ではカフェビストロとかイタリアンレストランとか言われてもわからないだろう。

全体的に非常にゆったりとテーブルが配置されている。
また、これとは別に少し区切られた大人数用のスペースも用意されている。
メニューは料理の写真こそないものの、英語完備でわかりやすい作りだ。


英語ができる店員が多いので、わからないことなどがあれば遠慮なく質問しよう。
料理は何も言わないと普通に辛いので、苦手な人は注文時に伝えたほうがよい。
気の利いた店員なら、向こうから聞いてくるはずだ。
また、メニューブック以外に入口近くの黒板に本日のおすすめ料理が書かれているので店内に入る前に見ておくとよい(こちらはタイ語のみ)。

ボードのすぐ脇にはお店手作りのタイスイーツ(後述)が置かれた小さなテーブルもあり、こちらも絶対におすすめなのでチェックしておこう。
店名のラープペットは必食だが何を食べても間違いない
店名が「ラープペット(アヒルのラープ)」なので、まずはこれを絶対に試してみよう。

何を食べても間違いはないレベルだが、ここに来ていつも感じるのは「圧倒的な素材のよさと手抜きのないていねいな仕事」だ。
おそらく食材のひとつひとつにかなりのこだわりを持って用意し、昔ながら(お店は1976年創業だ)の作り方を守っているのだと思う。
肉や野菜の質、使っているハーブなど一口食べればその辺の店との違いはすぐにわかるし、それらひとつひとつの味がしっかり立っているのに、ひとつの料理として出来上がった時にはそれらが混然一体となって風味を完成させている。
以下に個人的におすすめと思う料理を紹介するが、ぜひメニューを見て興味が沸いたら頼んでみてほしい。
ただし、一品の量は比較的多めなので頼み過ぎには注意しよう。
ガイトートカミン(鶏肉のクミン揚げ)

この店はガイヤーン(タイ式ローストチキン)レストランではないので、そういったものが食べたい場合はこれになる。
下味のつけ方、揚げ方などどれひとつ文句のつけようのない出来だ。
コームーヤーン(豚ののど肉=豚トロ焼き)

日本のタイ料理レストランでも人気が高いもののひとつらしい。
元々やわらかな豚ののど肉だが、それを上手に焼き上げている。
ムーナムトック(豚肉の唐辛子スパイス和え)

豚肉なら個人的にはこれがおすすめ。
特にカーオニヨウ(もち米)と一緒に食べるのが最高だ。
ただし辛さは容赦ないので、苦手な人にはおすすめしない。
ソムタムコラート(コラート式青パパイヤのサラダ)

コラート(ナコンラーチャシーマー)式のソムタム。
コラート式というのがどんなものか知らなかったのだが、タイ国政府観光庁のサイトによれば、「トウガラシの代わりに乾燥トウガラシを使っています」とのことだ。
が、この店のは粉唐辛子がそんなに入っているわけでもなく普通のソムタムタイに近い。
全体的に味が薄めでクセが少ないので、ソムタムを食べるなら一番無難かも。
ソムタムプープラーラー(淡水カニと小魚の塩辛の上澄み液入り青パパイヤのサラダ)

上記ソムタムコラートと対照的なのが、こちらのソムタムだ。
プラーラー(小魚の塩辛の上澄み液)が入っているのでかなり生臭さがあり、タイ人でも食べられないという人が結構いるソムタム。
自分は大好物なのだが、クセが強いのであまりタイ料理に慣れていない人がいる場合は頼まないようにしている。
クアフワプリー(バナナのつぼみの炒め煮)

バナナのつぼみはタイ北部でも広く食べられており、普通はスープにすることが多いのだが、ここでは和え物にしている。
クア(คั่ว)は「煎る」という意味でこの名前のつく多くの料理は汁気がないのだが、バナナのつぼみは水分が多いため炒め煮のようになっている。
ゲーンノーマイ(タケノコのスープ)

チェンマイでもタケノコのスープは一般的なおかずのひとつで、普通のものと発酵したタケノコを使ったものがあるが、この店のは前者だ。
ひとつひとつの素材のよさが伝わって来る料理で、その味が出ているスープは非常に深みがあってやはりほかの店とは一味ふた味違う気がする。
独特の臭みがあるので苦手な人もいるかもしれないが、ぜひトライしてみてほしい一品。
ゲーンオムヌア(牛の肉と内臓の唐辛子ハーブスープ)

自分はチェンマイに住んでいるので地元料理のように思っていたゲーンオムだが、お店の人の話ではイサーン(東北タイ)でも食べられるらしい。
メニューでも英語表記は「Northeastern」だ。
チェンマイでは普通豚を使うのだが、ここでは牛になっている。
牛の肉や内臓と各種ハーブ野菜の複雑な味わいに加え、プラーラー(小魚の塩漬けの上澄み液)も入るので独特のやみつきになる風味が加わる。
しっかりと作られた非常に深みのある味で、全体的なバランスが絶妙。
食べ始めると止まらなくなるスープだ。
主食はもちろんカーオニヨウ(もち米)

完全手作りのスイートもぜひ味わってみよう
自分とカミさんがここの店の大ファンのもう一つの理由は、デザートのタイスイーツだ。
ココナツを削るところから始める完全手作りとのことで、それゆえたくさん作れないので店の入口近くのテーブルに置きなくなったら売り切れという形にしているのだそう。
どれも非常にやさしい味で、甘さもくどくなくすっきりしていてイサーン(東北タイ)料理を食べた後にピッタリだ。
作るものは日によって異なるので、もし店に行ったらスタッフに何があるかたずねるか入口の外まで見に行ってオーダーしてもよい。
お願いすれば盛り合わせにもしてくれる。



ちょっとした会食とかでもおすすめ
今回紹介したイサーン(東北タイ)料理レストランの「ウィーララープペット」。
やや郊外といってもスーパーハイウェイから車で5分くらいで、アクセスは比較的容易で駐車場完備なので自分のように自動車で乗り付けるのにも都合がよい。
自分は昼に食事をすることが多いのだが、たいてい店主の女性が客席を回って挨拶をしながら会話をしている。
店内も落ち着いた雰囲気でサービスもしっかりしているので、ちょっとした会食などで使うのにもおすすめだ。
ただし、辛いものが苦手な人は料理のチョイスに工夫が必要かも。
コメント