マジで、レビューがたまっていて、
マイッチングである。
書かずにスルーしたい気持ちがあるが、
「観たすべての作品のレビューを必ず残す」と自分に課した手前、
やるしかない。
哀れなるものたち / イギリス
2023年製作 141分 ディズニープラス
2024年32本目 ☆5.0
天才外科医によって蘇った若き女性ベラは、未知なる世界を知るため、大陸横断の冒険に出る。時代の偏見から解き放たれ、平等と解放を知ったベラは驚くべき成長を遂げる。
この世界観はさすがだと思う。
141分全く飽きさせない、圧倒的な映像美。
複雑なようで、テーマは単純である。
一人の少女が、大人になっていく過程を、
世界を巻き込んだようなスケールで描いていく。
この監督特有の不穏な空気感はそのままに、
カラフルな色使い、おとぎ話のような世界観が、
胸糞悪さをも覆ってくれている。
一体、だれが「哀れなものたち」なのだろうか。
この作品を観終わる頃には、その考えが逆転する。
エマ・ストーンが間違いなく、最高。
賞レース総なめ納得の、体当たりの演技。
生まれたての幼女から、性を知る思春期、
更に成長を遂げ、男たちから自由を勝ち取る知的な女性になるまで。
同じ体形・顔でありながらも、
その変化を見事に演じていたと思う。
自宅に閉じ込められ、色のない世界に生きていた。
そこから飛び出し、色づく世界を渡り歩く。
ベラの成長とともに、映像が変わっていくのも、
凄く面白い。
「哀れなるもの」だと思っていたベラが、
いつしか、聡明で美しく、知的でカッコイイ。
ありのままの自分として、生きていける事への羨望を感じる。
その強さを。
世の中の、圧力や同調に打ち勝つ強さを手に入れるまでの過程が、
危うくて、面白くて、爽快なのだ。
物語は単純で、最後もしっかりと収まってくれる。
そのシンプルなものを、異様な世界観が形作っているような感覚。
是非、この世界を堪能して欲しい。
まだまだ、新しいものを作り出せるのだと。
映画界の底知れぬ光を、感じる事のできる秀作である。
(エロかなり多め 観る時は、一人推奨)
ファンションも、見所の一つ。