工事が進む<小原のすまい>、先週は大工職が一週間ほど下小屋(作業場)で造作材の加工のため現場をあけていましたが戻ってきたので現場打合せ。
現場はダイニングの天井に本実(ほんざね)加工された杉羽目板が張られています。本実とはフローリングや羽目板などの接合に使われる加工方法のこと。
板の接合部の一方を凸(でこ)、もう一方を凹(ぼこ)の形状に加工し、その両方を組み合わせる接合方法。
凸の部分を雄実(おざね・オスザネ)、凹の部分を雌実(めざね・メスザネ)と云います。
実(さね)の加工形状によって、本実目透かし(ほんざねめすかし)貼りと本実突き付け(ほんざねつきつけ)張りがあります。
当初の設計では本実目透かし貼りでしたが本実突き付け張りに現場で変更しました。
まあ、解りやすく説明すると、目地を入れるのか、ピタッとつけるのかといったところです。
理由は現場に納入される目透かし張りと突き付け張りの材料を比べた時に、突き付け張りの材の方が木目が通った良材であることが理由でした。

後で聞いた話ですが、目透かし張りの材料は材種を問わず生産加工される数量が少なくなってきていると云うことです。
なので、そこから良材を選別すると云うのは難しいことになるわけです。
化粧梁と羽目板の取り合いは当初の設計通り、目透かし(めすかし)巾:9㎜という納まり。

本実目透かしの加工は、雄実が長くなっているため雌実とあわせた時に上の写真のような隙間(目地)ができます。
この目透かしの目地、巾9㎜を、羽目板の張り方も目透かしとして割付をしてみよう!という試みで、本実目透かし張りを選んでいたのですが、
目透かしの目地の割り付けをすると壁際や梁との取り合い部分での割り付けがとても難しいということ。そして、せっかく割り付けたとしても
9㎜くらいの目地が100㎜ごとに入るわけなので、思っていたよりも目地がうるさく感じてしまうかも?ということも変更の理由でした。
結果、面を取った本実突き付け加工された材がピタッと合って、スッキリとして印象に仕上がったかなぁ、変更して良かったと思っています。(^^
化粧梁との取り合い部に付けられているラワンベニヤの切れ端は、目透かしの取合いのため釘を打つところがないため
仮釘(固定出来ると抜いてしまう釘)を抜くのための養生材なので、出来上がると外されます。

雪模様となった宇都宮界隈、現場は着々と進行していきます。GRⅢ モノクロ 適宜トリミング
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