「私たちは発展するために生まれてきているわけではありません。
幸せになるためにこの地球にやってきたのです」
「発展は幸福を阻害するものであってはいけないのです。
発展は人類に幸福をもたらすものでなくてはなりません」
「世界で最も貧しい大統領」と言われた、ウルグアイの元大統領、ムヒカ氏の言葉です。
人は苦しくなると、思い道りにいかないと、この言葉のような別の言葉に縋ります。「お金も生活の豊かさも大切だけど、心の豊かさはもっと大切」と言い換えて生きていきます。
どれだけ豊かさを目指しても、誰もが大きな家に住み、別荘を持ち、高級車に乗れるわけではありません。これが現実です。
でも、豊かさの象徴が、家や車、高級料理や別荘、宝石なんて、思えば数え限れる限りだと思いませんか。それでも欲しいものは欲しい。誰かと比べて私は持ってないから、と頑張り続けていました。
本当はこころの豊かさが必要、などと高いところから説くつもりはありません。「心の豊かさ」と「お金、物欲への執着」、両方の中で揺れ動いています。
それでも、「心豊かな人になれ」と言います。
「豊かさ」の指標は、常に比較と同居します。
豊かであることの証明に、豊かでない人や豊かでない自分を持ち出します。100万の車しか買えない自分と1000万の車を買える人がいると、必ず価格で比較します。収入300万の自分と1000万収入の人は確実に生活が違います。その中で、妬みや嫉妬、優越感が蠢いています。
有る人も無い人もいつも相手を探して比較します。
無いモノは無いのです。
すべての人が有る側に立つことはないでしょう。
そこそこでいいんです。
あとは、心の豊かさで埋めてください。
「心の豊かさ」の指標は、比較ではありません。
自己満足です。
1カ月前、観葉植物のポトスを近くのホームセンターで買いました。ちょっとした思いつきです。見渡せば部屋に緑色が無く、なんとなく緑色が欲しくなったからです。寒さに強いとはいえ、昼間は出来るだけ日の当たる窓の近くに、夜は冷えないように置き場所を変えています。水は週に1回、毎日の葉水、たまに栄養肥料も与えています。毎朝、葉の固さも手で確かめています。柔らかなのは水が足らないのか心配し、葉っぱの埃もテッシュで拭いています。そして伸びた茎が葉を起こし、若葉が背中を丸めるように動き始め、命が続いています。
このポトスは此処では私無しに生き続けられないだろう、と勝手に思っています。植物なのに可愛くもあります。何だかポトスの声も聞きとれそうです。
「星の王子さま」(サンテグジュペリ著)の一文を思い出します。
とても簡単なことだ。ものごとはね、心で見なくてはよく見えない。いちばんたいせつなことは、目に見えない(108ページより)
一度は聞いたことがあるかもしれません。キツネが王子さまに言った言葉です。費やした時間や心が王子のバラを特別なものにしたんです。
ホームセンターで買った500円のポトスでここまで文章を書くことが出来ました。
500円のポトスでは豊かさの比較にもなりません。でも、「あの人のように高級車が欲しい」と悩んで嫉妬してる時間と、ポトスを世話する時間は同じ人生の中で流れています。何だかとても得した気分です。
自己満足ですね。
だから自己満足をお勧めします。
自己満足に逃げてください。
どうせ他人はあなたの自己満足に興味はありません。
ちょっと妬んで、「それでも・・・」と否定の言葉を探すだけです。他人の心模様に責任をもつ必要もありません。
心豊かになるために自己満足をお勧めします。
そうすると、不思議と自分が求めていた人たちが集まってきます。
「頑張って、それでも頑張って」他人と同じ豊かさを求める、そんなことも忘れてしまいます。
(「豊かさ」を求めて頑張る人生を否定するものではありません)
パンダは生き残るために高地に逃げ、他の動物が食べない笹を食べるようになりました。
そうして生き残ることを選択しました。
生きることが大切です。理由はありません。
誰かに役に立たなくてもいい。何も残さなくてもいい。
「生まれたからには何かしなければ」と自分を追い詰めなくてもいい。
人を傷つけなければ自由です。
自己満足をエネルギーにして心豊かに生きればいい。
そんな思いでいます。