きょうのフクオさん 認知症の父観察日記 

頑固で偏屈な父が認知症になりました。仲の悪かった親子の関係はさらに悪化。言い争いが続く毎日です。

さようなら。

2015-02-06 23:18:19 | 日記
フクオさんの葬儀が終わりました。
ご近所と知人にはお知らせせず、
親しい友人には来ないでほしいと伝えました。
40人弱の小さなお式でした。
でもほとんどが親戚でしたので、
気心が知れていて安心感がありました。

フクオさんの遺影は最近の写真に決めていましたが、
若い時の写真でもいいというので、
古いアルバムからも候補を探そうと見てみました。

そこには、母の兄弟会でよく旅行して、
楽しそうに笑い、おいしそうに食べて、
大声で歌うフクオさんの姿がありました。
私はそんなフクオさんを見たことがありません。





通夜が終わった後、我が家に下宿していた従兄弟たちと話しました。
従兄弟たちはフクオさんのことが好きでした。
フクオさんと人生のことなんかも語り合ったというのです。

オレはさ、フクおじちゃんを目標にやって来たさ。
あんなに一生懸命やっているのを見て、オレもがんばった。


えっ、そうなの。
私とは話もしなかったけど。


○○ちゃん、親子ってそんなもんだよ。
うちだってそうさ。
お父ちゃんは、お母ちゃんに店をやらせて、
自分は毎日飲んでばかりいたさ。
それで兄貴が怒ってお父ちゃんに、
いい加減ちゃんと働けって怒鳴ったんだ。


そうなんだ。

フクおじちゃんは人生は刹那だと思っていたよ。
オレもさ、その気持ちはよく分かる。


従兄弟たちとはいろんなことを話していたんだ・・・。
その話の中にも、アルバムの中にも、
私は知らないフクオさんの別の人生がありました。

私はフクオさんを嫌悪するあまり、
フクオさんの笑顔を心の中でもみ消していたのかもしれない。
フクオさんには豊かで明るい人生があったのだ、
そう気づかされました。
目からウロコが落ちていきました。

昨日の雪と打って変わって今日は晴れ。
最後は歩くことができなかったフクオさんが、
その辛さを忘れてこの大空を歩き回っている気がしました。

60年かかってやっとの親孝行。
やさしい穏かな気持ちでフクオさんを送ることができました。
これから古いアルバムを見ながら、フクオさんを思い出すことにします。
さようなら、お父さん。





『今日のフクオさん 認知症の父観察日記』は、
今日で終わらせていただきます。
たくさん応援していただき、本当にありがとうございました。





困ったこと。

2015-02-03 18:42:57 | 日記
フクオさん、2月1日、21時25分、亡くなりました。
呼吸と血圧がおかしいと、看護師さんから呼び出しの電話をもらい、
急いで病院へ向かいました。
この日の昼間も会いに行きました。
だいぶ呼吸が弱くなったと感じていましたが、
病院へ着いた19時半ごろは、
昼間の呼吸よりさらに弱くなっていました。

今日は尿が出にくくなりました。

そう言われて見ると、色も濃く量は少なくなっていました。

○○さん! 息して! 息して!

看護師さんが、フクオさんの肩を少し揺すりながら、
声をかけてくれましたが反応はありません。
それから2時間ほどたって、呼吸が止まり、
5分後に心臓も停止しました。

このまま、少し置いていただけるのでしょうか。

申し訳ないのですが、できるだけ早く退出をお願いしたいのです。

はい、分かりました。





とりあえず家に帰り、親戚に電話をしました。
そして、葬儀社に連絡して、フクオさんの引取りをお願いしました。

今からお打合せはできますでしょうか。

えっ、今からですか。

それとも明日の朝にいたしますか。

いえ、今から伺います。

時計を見たら23時、タクシーで向かい打ち合わせをしました。
できるだけお金を掛けずにと思っていましたが、
少しずつ料金が上がっていきます。

それでも、商売上のこことはいえ、
丁寧で、親切で、分かりやすい対応に、感心させられました。
担当の方のお母さんも認知症、介護3。
認知症介護の話も聞いていただきました。

打ち合わせが終わり家に着いたのが、夜中の2時でした。
眠っていたジークが起きてきて大騒ぎ。
明朝7時には、菩提寺のご住職に葬儀の都合を伺います。
ジークと遊んでないで早く寝ることにしました。
翌日、ご住職と打ち合わせして、日程を取っていただきました。

ご戒名のことがありますので、フクオ様のことをお聞かせ願いますか。
いい所はどんな所でしたか。


えっ??? いい所ですか。
えっー、うーん・・・。


・・・。

うーん、うーん・・・。

お仕事はどんなでしたか。

食堂をやっていました。
そうだ。朝から晩まで、一生懸命働いていました。
私には真似できないぐらい、一生懸命働いていました。


ああ、そうですか。
では、厨房の厨の字を入れたらいかがでしょうか。


はい! とてもいいと思います!

では、5日と6日お伺いします。
何かご不明なことがあれば、いつでもご連絡ください。


ありがとうございます。

イヤハヤ困りました。
突然ということもあって、
フクオさんのいい所をひとつも言えませんでした。
悪い所ならすぐに100個は思い浮かぶのに・・・。
戒名のこともきちんと考えておくべきでした。

今日は湯灌の儀、体を洗い、旅立ちの身支度を整え、
ハンサムに仕上げていただきました。
明日は通夜、明後日は告別式、次々に行事が過ぎていきます。
のどがちょっとイガイガします。
でも、もうひと頑張りです。





昨日からペットホテルでお泊りのジーク。
ちょっとさみしい私です。





今、思うこと。

2015-01-31 23:50:22 | 日記
今日もフクオさん、反応はなしです。
でもスマホでフクオさんを撮りました。
チューブがいっぱいで、ハンサムには撮れませんでした。
薄い唇、大きな耳、大きな耳たぶ、広いおでこ。
今までフクオさんの顔をまじまじと見たことはなかったのです。

母にそっくりだと言われる私の顔。
フクオさんとは似ている所がありません。
きつい性格はよく似ていますが・・・。

フクオさんの死に対して、感傷的な気分にはなることはありません。
もうフクオさんへの感情は使い果たしたような気がします。

でも、できるなら、もう少しグループホームの生活を楽しんでほしかった。
私にはしてあげられなかったゆったりと温かな暮らしを、
人生の最後に味わってもらいたかった。

私もいつかひとりで死んでいく。
それまでは私なりの、
豊かで、楽しく、明るい毎日を過ごしたいと思います。
フクオさんの弱い息づかいを感じながら、そう強く感じている私です。







近づいている。

2015-01-30 23:27:06 | 日記
今日のフクオさん、昨日とは大違いでした。
声をかけても反応はなく、
呼吸は浅く苦しいという感じさえなかったです。
じっと見ていると、すぐにでも呼吸が止まりそうでした。
私が部屋を出た瞬間に呼吸が止まったらどうしよう・・・。
そう思うとなかなかベッドから離れることができませんでした。

昨日はあんなに動かしていた手も、布団の下で動きません。
別れが近づいている、そう感じました。
ジークをそろそろペットホテルに預けようか、いやまだ早い、
どうしようと迷っていたら夜になってしまいました。

今、フクオさんは眠っているのでしょうか。
明日は病院で写真を撮っておきましょう。
ハンサムに撮れますように・・・。(^^♪







どーしてなの?

2015-01-29 22:10:20 | 日記
私は、その時のために準備をしようと思っています。
フクオさんの口座から引出を始めました。
知らせておくべき人数人にも連絡しました。
写真は5月に撮ったスナップ写真。
葬儀社にもいろいろ聞いておこう。
そんなこと考えながら、フクオさんの病院へ向かいました。





昨晩は連絡がなかったので、
フクオさんは持ち直したのでしょうか。
でも、そぉーと病室へ入ると、な・な・なんとフクオさん、
目をパッチリ開けていました。
どーしてなの?

お父さん、大丈夫?

と言うとゆっくり頷いたのです。
昨日はあんなに悪い状態だったのに・・・。
チューブを外そうと大きな手袋をモゾモゾ動かしています。

ダメ、じっとしてなきゃ。

そう言って手の動きを止めると、キッとした目つきで私を睨みました。
親が元気になって、どーして?もないでしょうが、
ホント、どーしてなの???
明日はもっと元気になってるのかなー。
親不孝娘の心は複雑に揺らぐのでした。(?_?)





春が待ち遠しい・・・。