お客さんとの接待で、最高級のレストランや有名日本料理店を利用し尽くして40年にならんとする会社の上司。おいしいものをよく知るそのひとの口癖は、「世の中でイワシが一番おいしいんだ」、「日本人はイワシを食っとけばいいんだ」。

美食を極めたひとだからこその名言ゆえか、真偽はともかく、聞くと思わず口の中に、あったか~いごはんとコリっとしたイワシの風味が広がり、喉がゴックンと鳴ります。でも、イワシって小さくてヌルっとしているので、取り扱いが難しく、料理するのは案外手間がかかります。

素朴な素材に少しの手間をかけること。

縄文以来の食生活が、健康な体をつくるのだと教えてくれています。

牧田善二「医者が教える食事術」より引用
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現代を生きる私たちは、縄文人が生き抜くために備えていたDNAをそのまま受け継いでいます。消化・吸収のシステムも、それをコントロールする脳のシステムもなんら変わっていません。だから、本来であれば、縄文時代にはなかった食べ物は口にするべきではないのです。

縄文時代にも、自然に生育しているそばなどの穀類も食べていたようです。だから、米や麦などの穀類自体は、私たちの消化・吸収システムにマッチしています。

ただし、精製したものはありませんでしたし、穀類を大量に食べるという習慣もなかったはずです。

ましてや白い砂糖は存在していません。白い砂糖を溶かした液体を飲むことなど、縄文人にはあり得ないことです。そして、そのDNAを受け継いでいる現代の私たちにとっても、ありえないことなのです。

(中略)

「時間のないビジネスパーソンのために」とすすめられる、栄養ドリンクもスポーツ飲料も、縄文人のDNAを受け継いでいる私たちの体にとって、あり得ないものなのです。

プロテインやアミノ酸のパウダーなども同様です。あり得ないものが体に入ってきたとき、あなたの体に何が起きるでしょうか。

「これ1本で1日分の野菜がとれる」というジュースには、肝心な食物繊維が不足しています。しかも、味を調えるために野菜以外の果物など、余計な糖分も入っています。1日分の野菜は、1日かけてちゃんと食べればいいではありませんか。

「手軽に食事」を求めて、手軽に不健康を手にしているビジネスパーソンのみなさん、どうか気づいてください。

本当の健康が、手軽に自分のものになると思いますか。仕事だって、そんなに簡単ではないでしょう。人生においてもビジネスを成し遂げる上でも最も重要な健康は、食事をしっかりマネジメントしていく人だけが手にできるのです。

健康格差社会を生きる上で、食事は「最強の教養」です。