少し前に書店でこんな本を見かけました。その時は本屋で平積みされていたので、そこそこ売れていたのでしょう。 正直いって、この手のタイトルの本は見飽きているので、その時には見向きもしなかったのですが、その後に介護関連の本を検索すると、頻繁に見かけるので内容をある程度把握する破目になりました。

著書はアダルト関係のノンフィクションライターで、自身がデイサービスを立ち上げた経験をベースにして本書を書いています。

目次を見ると、なかなか衝撃的なサブタイトルが並んでいます。

序章 壊れかけの介護業界
第一章 介護労働者、五〇人に一人がサイコパス?! 
第二章 売春する介護職員
第三章 介護労働は社会から外れた人の受け皿
第四章 夢喰いが牛耳る介護業界の闇

なんかネット上でわりかし評判がいいのだけれど…私はタイトルだけでお腹いっぱいです。「サイコバス」とか「売春」とか、世間が食いつきのいい言葉を狙って使っているなあと。

著者自身の経歴も引っかかるし。彼はかなり売れ線のノンフィクションライターです。過去の著作は『 名前のない女たち企画AV女優20人の人生』『アタシは生きる!』『"恋愛"できないカラダ』『売春未満 新・名前のない女たち 素人女性編』『デフレ化するセックス』(以上、宝島社)、『職業としてのAV女優』(幻冬舎)。ひとつくらいは聞いたことあるのじゃないでしょうか。

で、そんな人がどうしてデイサービスを立ち上げるんですか?これが正直な気持ちですわ。

まったく専門外のライターが、いきなり介護業界で「優秀な人材」が確保できると思ってたら、お笑いです。

歴史とか伝統がある施設だって、「優秀な人材」の育成・確保には苦労しているのに、ポッと事業を立ち上げた著者にふってわいたように「優秀な人材」が来るわけないでしょう。

実際著者に言うとおり、おかしな人は多いですけどね。著者はサイコパス介護職員の被害にあったそうですが、私も似たような経験あります。

しかしこの著書の、「介護職員の50人に1人がサイコパス」という数字の根拠は一体何???

「良心をもたない人たち」のマーサ・スタウト氏によると、サイコパスの割合は、アメリカでは25人に1人だそうですが、日本では1000人に1人だそうです。
そのことを考えると、「50人に1人」という数字は桁違いに多いですね。アメリカ人並みということか。

しかし、サイコパスに一番多い職業って「経営者」なんですよ。著者自身はこんなこと言われたらかなり心外かもしれないですが、この著者自身がサイコパスである可能性も大アリだということを忘れてほしくないですね。介護職員の50人に1人がサイコパスとレッテルを貼るならなおさら。

「第二章 売春する介護職員」、これもお腹いっぱいです。

アベノミクスでウハウハする人たちのいる一方で、「職にあぶれた若い女性が売春に走っている」大変だあとメディアが騒いでいるけど、この著書も「女性の貧困」というテーマを食い物にする既存のメディアと同じ。

たしかにバブルの頃に比べれば貧困女性多いでしょう。まして介護職員なんて、かなりスイトックな生活を自分に課さなければ貯金なんてできない。

だけど、それでも売春してそうな女性介護職員なんて見たことなかったけどね。

この業種に来て、かなりの不思議ちゃんにも出会ったけど、本当にその手の人間にはお目にかからなかったなあ。

そもそも、「お金がない。そうだ私の体を売ろう」という人は、介護なんて面倒な職業につくか?

 …と、ここまで散々文句を書いてきたが、

「第三章 介護労働は社会から外れた人の受け皿」

う~ん、これだけは遺憾ながら、同意せざるを得ない…前置きが長くなったが、本題はこれです。施設側はほぼ「無作為抽出したんですか」という勢いで職員を採用するので、中にはトンデモちゃんもいるわけですよ。

サリン事件の逃走犯、菊地直子が捕まった時の職種は介護ヘルパーでしたよね、たしか…

あとビッグダディの元嫁、美奈子さんもダディと知り合った当時は介護ヘルパーであった。彼女の壮絶な経歴はいちいちここで取り上げるまでもないでしょう。

彼女は…自分の子供にすごくヒステリックで攻撃的ですよね。ダディも別れた原因は「子供に母として接していない」ということが原因だと言っています。

実際問題、介護施設にこういう「攻撃的で気の強いオバちゃん」は必ずいるもんだと思う。

人格的に問題があっても、仕事さえある程度できれば、施設側はスルーします。なにしろ人材不足だから。

そしてこの手の人達は、日夜その攻撃的言動で周囲を悩ませるわけです。

それとどう付き合っていくかが、「介護施設における人間関係問題 初級編」なのだと思う。

次回はそのことについて書いていこうと思います。



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