新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

ポンペイオ長官の演説に思う

2020-08-03 09:21:47 | コラム
アメリカ対チャイナの関係:

私は7月23日(だったか?)のポンペイオ国務長官の中国と共産党の全体主義(“totalitarianism”という言葉を久し振りに聞いた)を真っ向から斬って捨てた演説を聴いて「トランプ大統領とアメリカの中国と対峙する決意は本当に固いのだな。もうトランプ大統領は揺るがないのだと解釈して良いのだな」と単純に受けとめていた。そこまでの姿勢を明確にされた以上、例の外国人記者の「日本はアメリカと中国の何れに与するのか」という質問が益々重みを増してきたなとも痛感していた。いや、選択肢は一つしかないのだなと思っていた。

ところが、その後のマスコミ論調や、所謂専門家の方々や、アメリカ通の先生方や、中国寄りの姿勢を堅持(「捨てられない」と言う方が正確か?)しようとする政治家等々の方々が言われることを聞いていると「あれはトランプ大統領の選挙キャンペーン以外の何物でもない」という説が堂々と現れているのだ。これには恐れ入っている。如何に何でもアメリカ大統領たるお方が、一国の外交と政治の最重要課題である「対チャイナの姿勢」を選挙キャンペーンにされるとは、とても考えられなかった。

中には「同盟国であるアメリカ側に付くのは当然であるが、その一方ではチャイナとのサプライチェーンを切りきれない以上、両方を上手く使っていけば良いのだ」という説まで現れた。彼等が「そうですか、等距離外交ですか。喜んでお付き合いしましょう」とでも言うと思っているのかと、その信念の凄さに驚かされた。最近のチャイナの尖閣諸島に対する振る舞いを見ていれば、政府と共産党がそれほど甘い訳がないのだろうと、3歳の童子でも読めることではないのか。

昨2日の夜にテレ朝の田原総一朗の「激論」に登場された、予てからチャイナ寄りだと感じていたキャノングローバル研究所の瀬口清之氏は「政府と共産党と軍部はそれぞれ別個に動いているのだから、政府は軍が尖閣に何をしているかは特に関知していないし、習近平主席にどのような報告が上がっているかも確かではない。故に、彼等が尖閣に対して起こしている活動にはそれほど案じていない」と平然として言われた。このお方は確か一帯一路への参加すら勧めておられたような記憶もある。なるほど、外国人の記者があの質問をする訳だとあらためて痛感させられた。

アメリカがここまで踏み込まれたときに、経済再生担当大臣が武漢ウイルス対策で右往左往していたり、自民党の議員連盟が習近平主席の国賓での招待の中止を言い出したり、チャイナ寄りの二階幹事長の留任(「続投」なんてアホな言葉は採らない)が云々されたりしていて良い時期かと、私は大いに憂いている。認知症だの何のと色々と否定的な噂が流されている民主党のバイデン氏が、本当に当選してしまったらどうするかの心配もしていて然るべき時ではないのか。言うまでもあるまいが、バイデン氏はかのオバマ大統領の副大統領だった人物だ。

国会を開いて「特措法」の改正を議論する必要は勿論あると思う。だが、アメリカ対チャイナの対立というか外交と政治と軍事の全ての面における対立ではない「対峙」の姿勢があれほど明確になった以上、国会議員たちは真剣にこの問題を総理と全閣僚を相手に議論して欲しいのだと期待したいところだ。だが、そういう気配は毛ほどにも感じられないのだ。現行憲法では尖閣諸島にチャイナが伝えられているような形で押し寄せたらどのように対応するかを議員たちは考えているのだろうか心配になる。国家的重大案件は、ウイルスへの制圧だけではないのだ。

岸田文雄氏には外務大臣の経験があるが、トランプ大統領が再選された場合にどのようにして安倍総理並みの関係を維持するかの腹案があるのだろうか。もしも、民主党政権が再現されたら、彼の我が国に冷たい政権に対応する策があるのかと不安になる。アメリカの国会は対チャイナへの強硬姿勢で固まっているようだが、我が国の議員さん方にそこまでの腹が決まっているのだろうか。私には非常に気懸かりな案件だとしか思えない。対チャイナにしたところで、今から「あの国賓での習近平への招待は取り消しです」とでも言いに行くのだろうか。



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