1 Epilepsy
2 Stories
3 A Moment of Clarity
4 Jude the Obscene
5 Bowels of Love
6 Misery
7 Bad Mother
8 Me Vs. You
9 Loose
10 Diane
11 30 Second
先週アイルランドに触れたので、やっぱりまたアイルランドの音楽について書きたくなった。しかしこれまでロックも伝統音楽も散々書いているので、今回はちょっと毛色の違うものにしようと思う。
ということで、今日取り上げるのはTherapy?。北アイルランドのベルファスト出身のバンドである。ベルファストと言えば、一昨年映画にもなったアイルランド紛争の激戦地である。そんな土地柄を反映してか、このバンドは非常にひねくれた音楽性だった。
1992年に「Nurse」でデビューした頃は、かなりダークでドロドロしたハードコアバンドだった。しかし94年の2nd「Troublegum」で秀逸なギターリフとともに、隠し持っていたメロディセンスが開花する。時代的に太平洋の向こう側で旋風を巻き起こしていたグランジともシンクロしていたかもしれない。
その路線をさらに推し進めたのが、この3rd「Infernal Love」である。冒頭M1にだけはハードコア時代の名残りがあるが、以降は口ずさみたくなる歌メロが随所にあり捨て曲がない。今作ではバラードと呼んでも差し支えないようなスローからミドルの泣きの歌い上げ曲が特徴的で、チェロ奏者も参加するなど音楽性が格段に広がっている。そんな中で好きだったのはやっぱり疾走感のあるナンバーで、特にM7とM11の2曲は文句なくカッコ良い名曲だった。
コンポーズは全てギター&ボーカルのアンディ・ケアンズによるものだが、前作まではひねくれた歌詞も納得するような、かなりむさ苦しい風貌だった。それが髪を切り体型もスッキリした事に気を良くしたのか、今作のジャケットに嬉しそうに大映りしている。そんなところに愛嬌もあった。
次作の4th「Semi-Detached」も傑作で、2ndから4thの3枚はどれも愛聴していた。しかし5thでは原点回帰してまたドロドロのハードコアに戻ってしまったので、それ以降は追っていない。
イギリスでは絶大な人気を誇ったらしいが、ここ日本ではほとんど話題にならなかったのが惜しいバンドだった。