Berra-Boi/Quinteto Violado | BLACK CHERRY

BLACK CHERRY

JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

 Nordesteと呼ばれるBrasil北東部にあるPernambuco州Recife70年代初頭に結成されたQuinteto Violado。Nordesteから生まれてきた豊饒で魅力に満ち溢れた音楽の奥深さについては、これまで何度も取り上げてきたように思うけれど、彼らの音楽を聴くたびに、あらためて音楽の神秘と探求の面白さを感じることができる。Alagoas州出身のHermeto PascoalやRecife出身のNaná VasconcelosらNordeste出身の独創的で偉大な音楽家の精神を、Quinteto Violadoも引き継ぎ、活動を続けてきたのだろう。多様性に満ち伝統を受け継ぎながらも革新性と実験精神を併せ持ち、日々生み出されていく音楽、そこには時代や国境、人種、ありとあらゆる枠組みを越えた、Hermeto Pascoalが言うところのMúsica Universalの理想が息づいている。そういった音楽には必ず高揚感祝祭感に満ち、思わず踊り出したくなってしまうような要素が含まれていることも興味深い。72年にデビュー・アルバム『Quinteto Violado』をPhillipsからリリースしたQuinteto Violadoは長きに渡ってそういった音楽活動を地道に続けてきた。30周年を記念するLive Album『Visão Futurística Do Passado, Ao Vivo』や40周年記念のDVD『40 Anos Quinteto Violado』には彼らの歴史が刻まれていると同時に、日々Experimentalな探求心を持って新たな地平を切り開こうとしてきた彼らの姿勢が記録されている。創始者でありメインのSongwriterでもあったToinhoことAntônio Alvesは残念ながら2008年にこの世を去ってしまったが、ViolãoMarceloことMarcelo de Vasconcelos Cavalcante Meloが中心となってまだ活動を続けてくれていることは嬉しい。本作ではToinhoとMarceloに加えて、PercussionのLucianoことLuciano Lira Pimentel、FluteのSandoことAlexandre Johnson dos Anjos、ViolaのFernandoことFernando Filizola5人体制で今でも輝きを失わない、生命感に満ち溢れた歌と演奏を聴かせてくれる。

 

 『Berra-Boi』はQuinteto Violado73年にリリースしたアルバム。

アルバム1発目は“Vaquejada”。心地良く躍動するViolãoとFluteの響きに導かれて彼らの世界へ惹きこまれていく。

Duda No Frevo”は疾走感と生命感溢れるFrevoのリズムにのってFluteが軽やかに舞い、優美な旋律を奏でていく。最高。

Três Três”も祝祭感漂うリズムにのってVocalとChorusが気持ち良さそう。Fernando Lonaの作品。

疾走するリズムとGentleに歌うVocalのContrastが面白い“Ladainha”も生命感溢れるナンバー。

メンバーのFernando Filizola作の“Engenho Novo”は土着的で力強さに満ちたナンバー。

鍵盤奏者/ArrangerのAntonio PernaAntonio Perna作の“Minha Ciranda”。仄かに漂う哀感が何ともイイ感じ。

Nordesteの伝統音楽を演奏するBanda De Pífanos De CaruaruのFlute奏者Sebastião C. Biano作の“Pipoquinha”。Sandoの見事なFluteの独壇場。

LucianoとToinho]曲作の“Beira De Estrada”はアルバムで一番親しみやすい歌メロを持つナンバー。でもバッキングは凝っている

Baião Do Quinjí”は軽やかなリズムFluteとVocalの旋律が心地良い。

神秘的なイントロから惹きこまれてしまう“Abraço Ao Hermeto”は彼らにとってHermetoの存在がどれだけ大きいかわかる。名曲

Forró Do Dominguinhos”は親交の深いDominguinhosのナンバー。ScatとFluteのUnisonが激カッコイイっす。

De Uma Noite De Festa”はPeacefulなVocalChorusFluteがイイ感じ。

アルバム最後をシメるのは幻想的なイントロが素晴らしい“Cavalo Marinho”。歌メロに入ると一緒に口ずさみたくなるようなMelodyが飛び出す。

(Hit-C Fiore)