Homesick JamesはTennessee州はSomerville生まれのSlide Guitarの名手。30年代から活動を開始してChicago Bluesを支えた重鎮である。Elmore Jamesの従弟とのことで、本人の弁によれば、Elmore Jamesに最初のギターを買ってやり、Slide Guitarを教えたとの事だが、真偽のほどは定かではない。農業に従事していた母親がギターを弾いており、ナイフをBottleneckの代わりにしてSlideを弾いていたのを見よう見まねで覚えたのだという。また本人曰く、10代の頃にYank RachellやSleepy John Estes、Blind Boy Fuller、Sonny Boy Williamson II、Big Joe Williamsらと共演し、Robert Johnsonとも知り合いになったいうことである。30年代になるとChicagoに進出して、Big Band Jazzの名Arranger/Composer Pianistとして知られるFletcher Hendersonの弟であるHorace Hendersonのバンドに参加している。40年代から50年代にかけてSonny Boy Williamson IIと活動を共にして、Baby Face Leroy FosterやSnooky Pryor、Floyd Jones、Lazy Bill Lucasらとも仕事をしている。そして“Dust My Broom”は“The Sky Is Crying”のヒットで一世を風靡したElmore Jamesのバンドに在籍していた。Homesick JamesはElmoreのバンドに在籍していた50年代前半にChance Recordsに録音を残しており、この辺が一番おいしいところであろう。Elmoreの影響を受けたとはいえ、Homesick Jamesの魅力はEdgeのきいたWildで豪快に攻めまくるElmoreの対極にある。それはLazyで朴訥として鄙びた味わいである。60年代にRobert Johnsonの“Crossroads”をCoverしているが、このイナタくもマッタリしたRareな魅力がたまらない。65年にPrestigeからリリースした『Blues On The South Side』も悪くないが、73年にBlueswayからリリースされた本作にこそ、Homesick Jamesらしさが出ていて大のお気に入り盤となっている。
『Ain't Sick No More』はHomesick Jamesが73年にリリースしたアルバム。ギターにEddie Taylor、ベースにThe AcesのDave Myers、ドラムスにMuddy Watersのバンドで叩いている Willie Smith、Harmonicaに大好きなSnooky Pryorのときたもんだ。バックの演奏陣も文句なし。
アルバム1発目は“13 Highway”。良くも悪くもこのマッタリ感がクセになる。SlideもSnooky PryorのHarmonicaもLazyな魅力に満ち溢れている。
Elmore Jamesの持ち歌“12 Year Old Boy”を、これまた鄙びた味わいでご機嫌にキメている。このユル~イSlideとSnookyの鄙びたHarmonicaが絶妙の味わいを生みだしている。最高。
これまたイントロのギターからたまらない“Buddy Brown”。このユッタリマッタリ感でこういう深い味わいは中々出せない。
一転してノリノリの“Fayette County Blues”。Homesick JamesのVocalも元気いっぱいで、コレは楽しい。
Homesick JamesのVocalも絶好調の語り口の“Little Girl”。
イナタいSlideとVocalに懐の深いリズム隊がご機嫌な“In Love”。
再びElmore Jamesの持ち歌“My Baby's Gone”。切実でテンション高めのElmoreに比較するとあくまでもマッタリ朴訥な脱力ぶりが魅力のHomesick Jamesの味が出まくりである。
Slow Bluesの“Little And Low”もVocalと脱力したSlideが最高。
気分良さそうに歌うHomesickのVocalがご機嫌な“I Need Love (Money Getter)”。
LazyかつRoughなノリが気持ち良すぎる“I Ain't Doin' No Good”。
後の再演も素晴らしいSlow Balaadの名曲“Sugar Mama”。
最後をシメるのはHomesick Jamesが無骨ながら切々と歌いあげる“Woman I Love”。
(Hit-C Fiore)