Safari With Sabu/Louis "Sabu" Martinez | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

 Louis "Sabu" Martinezは米国New York生まれのCongueroPercussion奏者。一般的にはSimpleにSabuという名前で知られており、Jazzファンにもご存知の方がたくさんいらっしゃるだろう。いわゆるAfro-Cuban Jazz/Latin Jazzに魅了されたことのある方なら、その打ち鳴らされる生命感に満ち溢れたExoticなPercussionに心を奪われ、思わず身体が動き出してしまうのをご理解いただけるはずだ。昔ながらの正統派のCoreなJazzファンの中にはチャカポコPercussionなんてと思われる方々も勿論いらっしゃるだろう。でも身体で音楽を聴いてしまう自分のような人間には、そういった多様性もあるJazzが実に魅力的なのである。50年代Cubop/Afro-Cuban Jazzが一世を風靡した時、Horace SilverやArt Blakey、Johnny Richards、Jay Jay Johnsonらのアルバムで一躍人気者となったSabu。個人的には60年代のKenny Clarke/Francy Boland Big Bandの『Latin Kaleidoscope』や70年代のPeter Herbolzheimer Rhythm Combination & BrassのアルバムでSabuのPercussionを聴いてのめり込んだクチだ。Sabuは41年に11歳でプロ・デビューして、48年にはLatin Jazzの創始者ともいわれるChano Pozoに代わってDizzy GillespieのOrchestraに参加している。翌49年にはBenny GoodmanのBebop Orchestraと共演している。そして上述のSilver、Blakeyらに加えてCharlie ParkerやCount BasieやThelonious Monk、Charles Mingus、Mary Lou Williams、Lionel Hamptonらと共演してきたのである。67年Swedenに移住してからは上述にあげた欧州Jazzの輝かしい名盤に参加している。本作は、そんなSabuが残したLeader Albumである。一般的には57年のBlue Noteからの『Palo Congo』や『Sabu's Jazz Espagnole』が名盤として知られているが、思わずジャケ買いしてしまった本作が、これまた素晴らしい。

 

 『Safari With Sabu』はLouis "Sabu" Martinezが58年にVikからリリースしたアルバム。Baritone SaxophoneのCecil PayneにGene AllenのOboe、Tenor Saxophone、Jack HitchcockのTromboneにVibraphone、ベースにはOscar Pettiford、CongasにEvelio Quintero、Ray Baretto、 Ray Romero、TimbalesにはSteve Berrios、SabuはBongoとTimpaniを担当。

アルバム1曲目は“Jeanette”。淡々とPercissionが打ち鳴らされていく中、Gene Allenが異国情緒漂う旋律を奏でれば女性たちなんとも表現しがたい掛け声というか、PrimitiveなVoiceで魅了する。これはDopeっすなあ。

銅鑼の音で始まる“Dawn”。Timpaniが厳かに鳴らされると、そこからはPercussion乱れ打ちのHipnoticでTribalな世界が展開されていく。またもや女性たちのかけ声が鳴り響き、Jack HitchcockTromboneソロイイ味を出している。一体いつまで続くんだと追っているとSabuがTimpaniを叩いてアッサリと終わる。

Ubas”は、まるでKecakが始まるのかというイントロからPercussionの連打、そしてJack HitchcockのVibrahoneがCoolに鳴り響く。対照的に呪術的な人々のかけ声が響くと、一体ここはどこなんだというような魔境の世界にズブズブと入りこんでいってしまう。後半の男女のかけ声が交差していく中をVibraphoneが鳴り響きPercussionが乱れ打ちされていきCecil PayneのBaritone Saxも加わっていくところは最高。

B面は長尺曲2曲のみ。まずは“Nadenga”。銅鑼が鳴らされて、淡々とMinimalなPercussionが鳴り響き、桃源郷

アルバム最後をシメるのは、これまた12分越えの“Safari”。もう、同じや、みんな!そういいなさんな、Percussionをバックに朗々と鳴り響くSaxophoneが最高に気持ち良い。

 

(Hit-C Fiore)