Michael Dinnerは米国のTVのDirector、Pproducer、そして脚本家として現在は活躍している人物であるが、かつてSnger-Songwriterとして2枚のアルバムと7枚のシングルを残していた。Oxfordの大学院に留学していた時に、弾き語りをしていたところを見いだされてFantasy Recordsと契約したDinnerではあったが、結局音楽の道を進まずに勉学に励んで、上述のTV業界で活躍する人生を選択している。これもまた人生であろう。いかにもNorman Seef撮影といったジャケットからも知的で思慮深そうな感じが伝わってくる。Linda RonstadtのProducerとして知られるJohn BoylanがProduceを手がけたこともあって、70年代半ばの古き良きWest Coast Rockど真ん中といったサウンドで、ManassasのAl PerkinやEd BlackのPedal Steel GuitarがFeatureされていて正にLA産Country Rockといった感じもツボだ。約半世紀近く前の作品だが、今聴くと、これが結構新鮮だったりするのである。思えば昨年はBluegrassやCountry Rockが個人的に盛り上がって、その手の音盤を聴き漁っていたのであった。Linda RonstadtがChorusで参加しているだけでなく、Lindaの73年作『Don't Cry Now』に参加していたベースのMike Bowden、ドラムスのMickey McGee、74年のアルバム『Heart Like A Wheel』でギターを弾いているBob Warfordも参加している。また、Andrew GoldやDavid Lindley、EaglesのDon Felder、Russ Kunkel、Ed BlackといったLinda関係の人物が多数参加し、Michael Utley、Nick DeCaro、Larry Knechtelら名手たちと共にDinnerのVocalを盛り立て、カラッと乾いた後味の良いCountry Rockに仕上げているのが良い。Dinnerは、その後、最後のアルバムとなる『Tom Thumb The Dreamer』を76年にリリースしている。
『The Great Pretender』はMichael Dinnerが74年にリリースしたアルバム。
アルバム1曲目はタイトル曲“The Great Pretender”。Linda Ronstadtの73年のアルバム『Don't Cry Now』でも弾いていたEd BlackのPedal Steel Guitarがご機嫌である。
“Jamaica”はMajor Seventh Chordの甘美な響きに加えて、後にTaj MahalのアルバムやTourでも活躍するRobert GreenidgeのSteel Panがイイ感じ。DinnerののびやかなVocalも心地良い。
アコギ弾き語り風に始まる“Yellow Rose Express”もEd BlackのPedal Steel Guitarが冴えまくりの爽やかなWest Coast Rock。
Andrew Goldがピアノを弾く切ないBallad“Sunday Morning Fool”。Dinnerの優しく語りかけるようなVocalが沁みる。ここでもPedal Steelが大活躍。
“Last Dance In Salinas”はDavid LindleyのFiddleとのManassasのAl PerkinのPedal Steelがイイ感じ。
“Tattooed Man From Chelsea”はDon FelderのSlideが吼えるノリの良いナンバー。
“Woman Of Aran”はMichael UtleyのHammondが絶品のBallad。これまた淡々と歌うDinnerのVocalが沁みますなあ。
“Pentacott Lane”はアルバムで一番お気に入りの甘美で切ないWaltz。Nick DeCaroのAccordionが最高。
アコギ弾き語り風で始まる“Icarus”はJohn Boylanが弾くMellotronが登場してじわじわ盛り上げていく。
アルバム最後をシメるのはLarry Knechtelが弾くOrganで始まる“Texas Knight”。Mickey McGeeと共にRuss Kunkelがドラムスを担当している。この曲もJohn Boylanが弾くMellotronとLarry Knechtelが弾くピアノがイイ味を出している。
(Hit-C Fiore)