Get Loose/Evelyn King | BLACK CHERRY

BLACK CHERRY

JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

 

 いやあ、シビれましたなあ、最後に大谷選手とトラウト選手の同僚対決で、USAコールが鳴り響く中、日本が米国を力でねじ伏せるという仕込んでもここまでできないだろうという位、完璧なストーリーで幕を閉じたWBC。漫画を遥かに越えた劇的、激熱、刺激的な戦いは、スケールの大きい、野球愛に満ちた感動巨編の映画のようであった。千両役者のMVP大谷選手は勿論、ダルビッシュ選手の優れたリーダーシップのもと、苦境から劇的復活を遂げた村上選手、粋な助っ人ヌートバー選手、勝負強い吉田選手、スピードスター周東選手、いぶし銀の源田選手とキャラが立った個性豊かな選手たちそれぞれが生き生きと輝き、躍動し活躍したのも実に印象深かった。日本中が幸せな気分になれた魔法のような時間を与えてくれた素晴らしい野球選手たちに乾杯!

 

 Evelyn "Champagne" Kingという名前は、人それぞれによって好きな時代があったり思い出があるSingerかもしれない。77年にリリースされて大ヒットとなったDisco SingleShame”で人気が出た Disco  Singerとして認識している方もいらっしゃるかもしれない。確かに鮮やかなDebut Hit Singleとなった同曲の印象は強烈で、17歳にして堂々としたハリのあるキレ味抜群の歌いっぷりは素晴らしいものがあるが、個人的にはどうしてもKashifPaul Laurence Jones IIIといったProducer/Musician/Sound Creatorの手による80年代前半に全盛を誇った所謂New York SoundとかHush系と呼ばれたサウンドと共に、その歌声が思い浮かぶ大好きなR&B/Soul Funk Singerである。New YorkBronxで生まれたEvelyn "Champagne" KingはPhiladelphia International Recordsで働いていたところ、洗面所で歌っていたのを偶然聞いたProducer Theodore T. Lifeに見いだされてRCA Recordsと契約を結んでいる。そしてInstant FunkのメンバーやDexter Wanselら豪華な演奏陣がバックをつとめるDebut AlbumSmooth Talk』をリリースしている。こうして上述のDisco Hitが生まれ、Evelynは一躍全国区の人気者となったわけだが、どうしても、そのイメージが強く、以降の彼女を悩ませることになった。数年前にリリースされた素晴らしいCompilation盤The RCA Albums 1977-1985』を聴くと、鮮烈なDebutを飾り、抜群の歌唱力を持ち、そこそこの楽曲と演奏に恵まれていながら商業的には伸び悩んでいたKingが、81年のアルバム『I'm In Love』から一気に吹っ切れていくのがわかる。続く本作は、Billboard Black Singles and Hot Dance/Disco Charts#1 Hitとなった“Love Come Down”を生み、、上述の都会的で洗練されたNew Yorkの摩天楼を行き来する大人の夜の香りが漂う作品は頂点を迎えるのだった。

 

 『Get Loose』はEvelyn King82年にリリースしたアルバム。81年リリースの前作I'm In Love』からKashifPaul Laurence Jones IIIがProduceやSongwriting、演奏に加わり、Hush Productions的な音作りがよりPopな展開をみせた本作。前作同様ProducerのMorrie Brownと共にKashifらの煌びやかなSynthesizerの打ち込み生音が絶妙のバランス心地良く腰を動かすサウンドがご機嫌だ。

アルバム1曲目は上述の大ヒット“Love Come Down”。Kashifの手によりProgramされたFunkyなSynthesizerをバックに思わず口ずさみたくなるCatchyで魅力的なサビを歌うEvelynのVocalが生き生きとしている。

I Can't Stand It”はWayne BrathwaiteSlap Bassで始まりPaul Laurence Jones IIIのSynthesizerエレピにIra Siegelのキレの良いカッティング・ギターが絡んで気持ち良すぎ。

イナタいノリで始まる“Betcha She Don't Love You”はサビは一転してPopでCatchyにキメている。

タイトル曲“Get Loose”はMoog BassとProgramされたSynthesizerが当時を思い起こさせてくれる如何にもなNew York Soundが今聴くと新鮮で面白い。Evelynは、なんとRapを披露

個人的に大好きなKashif作“Back To Love”も煌くエレピギターのカッテイング重心の低いWayne Brathwaiteのベース心地良く腰を動かす摩天楼で繰り広げられる大人の夜のさまざまな光景が拡がる。

Paul Laurence Jones III作の“Stop That”もCuteなChorusとEvelynのVocalがご機嫌なお気に入りのCoolなFunk

Get Up Off Your Love”もBarry EastmondによるFunkyにウネるMoog BassにEvelynとChorusの掛け合いが最高。

アルバム最後をシメるのは、Barbara Wyrick作の必殺のBalladI'm Just Warmin' Up”。大好きなTawatha AgeeのChorusが最高。Andy NewmarkNeil Jasonのリズム隊も気持良すぎしっとり歌い上げながら官能的なEvelynのVocalも文句なしの極楽気分。

 

Love Come Down/Evelyn King

(Hit-C Fiore)