言いたいことやまやまです

2022年2月に出産した1985年生まれの主婦です。資料作成が好き。

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母乳バンクのドナー登録が完了しました

母乳バンクのドナー登録をしてきました

  「母乳バンク」のドナー登録に行ってきました。

  早産もしくは極低出生体重(1,500g未満)の赤ちゃんに対し、母乳が多く出ている他のお母さんたちからその一部を預かり、母乳を低温殺菌処理、細菌検査した上で冷凍管理し、小さい赤ちゃんたちに与える役割を担ってくれているのが「母乳バンク」です。

 ところで私は信じがたいほどの貧乳です。妊娠・出産のおかげで胸が大きくなったといってもAカップ程度。それでも助産師さん曰く、乳が「かなり」出る方だそうで……不思議なもんですね。一時期は3時間ほどで胸が母乳でいっぱいになり、痛みを感じるほどでした。

 当初は余剰分をフリーザーバッグに入れて保存しましたが、増えるばかりで使う機会がない。捨てるのももったいないなと思っていたところで、2022年4月に母乳バンクの新施設ができる、というニュースを目にしたのです。

milkbank.or.jp

 粉ミルクは栄養満点で、赤ちゃんの食料としてとてもよいもの。母乳ではとれないビタミンKもばっちりとれます。それでもパーフェクトなものというのはこの世にないもんで、消化の悪さが弱点です。

 健康な赤ちゃんであればミルクを与える時間間隔を空けるなどで十分対処できることですが、小さすぎる赤ちゃんの腸にはかなり負担がかかるはず。

 母乳には、そんな赤ちゃんたちの腸を早く成熟させる成分が含まれているのだそうです。

 

 母乳バンクが気になったきっかけは「余った母乳を捨てるのはもったいない気がするなあ」「引き取ってくれるならありがたい」くらいの想い。それでも母乳バンクのサイトを見ているうちに、小さすぎる赤ちゃんをお助けできるのは今しかないのだという使命感が湧いてきました。

 私の人生のなかで、母乳が出る期間はいましかありません。第2子は年齢&体力的にも経済的にも心理的にも無理! ゆえに、本当にいまだけ!

 友人や先輩ママたちの話を聞いていると、そもそも母乳がスムーズに出ることが奇跡のようです。泣く泣く粉ミルクで育てているという人も少なくありません。余るほどたっぷり出るだなんて、とても恵まれた体質です。お金を積んで解決できることではありません。こういうのを本当のラッキーというんだと思います。

 そんな期間限定のラッキーは、ひとりで抱えていたって仕方がない。こんな私でも人の役に立てる、ましてや「新たな生命」というあまりに尊い存在の力になれるだなんて、すごくないか? そこでひとまず、母乳バンクのサイトでドナー希望の旨を登録しました。2022年4月のことです。

 

 そこからドナー登録までが、意外にも長かったのでした。

 専用フォームから応募するとすぐにメールで連絡をいただきました。応募の際にいくつかの設問に答えるのですが、そこで「母乳と粉ミルクの混合で育てている」という回答をしていたため、この部分を確認したいとのこと。

 私は混合といっても「ほぼ母乳」が正解で、外出中や夫に留守番を頼むときなど、母乳が間に合わないときに粉ミルクをたまに使っていた程度です。私が外出などしなければ粉ミルクは不要なくらい。

 そんな事情をメールでご説明して、次のステップに進むことができました。つまり「本当に余剰分があるくらい母乳が出ているのか」の確認だったのです。あくまでもご自身の赤ちゃんを最優先してください、ということでした。このスタンスは最初から最後まで一貫していて、ドナーとなるお母さん方に絶対に無理をさせない、ドナーのお子さん方を犠牲にしない、という姿勢をとても強く感じました。

 さて、次のステップというのは病院での問診と採血です。これをクリアしてはじめてドナーになることができます。

 しかしその予約をとれたのが2ヶ月後! 正直なところ、これはかなりガックリきました。だっていままさに、母乳がたくさん作られ、夜な夜な起きては捨てているのです。これがもったいなくて登録したくなったのに!

 とはいえ母乳バンクとして活動している病院や施設はまだまだ少なく、ドナー登録のための検査を行なっている病院は全国にたった8箇所しかありません。都内ですら2箇所のみ(2022年6月現在)。

 しかも、どんなに母乳が出てドナーになりたいと思っても、これら8箇所のいずれかに赴いて検査を受けられる人でなければ、ドナー登録はできません。在住都道府県内に対応病院があるだけで御の字というところです。

 そんな事情を踏まえれば、2ヶ月待ちも致し方なし。ただでさえコロナ等々の対応でてんやわんやだと思いますが、対応してくれる病院が少しでも増えてくれるとよいなと思います。言うは易しですけれどね……。

 

 とはいえ子育て中の2か月なんてまばたきの如し。あっという間に検査日になりました。

 平日の日中だったので、子どもをどこかに預けるか連れて行くかしかありません。「母乳バンク」という性格上、子どもを連れて行って嫌な顔をされる可能性はゼロどころかマイナスだと思ったものの、念のため病院に確認の電話をしました。もちろん大丈夫、ベビーカーもどうぞ! と快諾いただけてよかった。畳みにくいベビーカーを買ってしまった身としては大変ありがたいことです。

 病院の受付で名乗るとすぐご案内くださり、待ち時間もなく問診へ。ドナー応募時に確認したことも、改めて丁寧に口頭で説明してくださいます。再度チェック事項を見直すと、本当に限られた人しかドナーになれないことがわかりました。

 確認されるのは手術歴、病歴、渡航歴、近親者の病歴、趣味嗜好品の摂取状況などなど。そして現在服用している薬やサプリの状況チェックも丁寧に行われます。漢方薬を服用しているのですが、そのメーカーと内服量、服用頻度もお伝えする必要がありました。

 ちなみにアルコールとコーヒーは、意外にも「完全NG」ではないようです。もちろん摂取せずにいられるならそれがベストではあるものの、アルコールは飲んでから規定時間を経たのちの母乳なら提供OK。コーヒーは1日1~2杯ならよいとのことでした。このあたりも、ドナーにストレスが溜まらないための妥協点として決めておいてくださったのだろうなと思います。

 搾乳に際しての諸注意も説明していただきました。提供する母乳は自宅でフリーザーバッグに入れて保管し、合計1~2リットル分になったら、母乳バンク宛に着払い発送することになっています。冷蔵庫がまだ「家族」仕様のサイズでないご家庭や、離乳食がはじまって冷凍保存している世帯は、冷凍庫のスペース確保の工夫が必要です。

 搾乳時はとにかく衛生管理が大切。自分の子どもには多少の汗汚れなど気にせず「ダイレクトおっぱい」スタイルで授乳しているものの、ドナーミルクを搾乳する際は注意が要ります。濡らしたコットンで乳を拭き、テーブルも拭き、もちろん搾乳機一式は消毒をして、これではじめて搾乳できるのです。どんなにズボラであっても、ひとつもサボってはなりません。

 でもドナーはみんな「子を産んだことがある母親」。小さすぎる赤ちゃんを想えば、この程度の煩雑さなんておおいに受け入れられるはずです。

 問診と各種書面への署名はあわせて20分ほどでしたが、あっという間に感じられました。なんでも聞きやすい空気をつくっていただいたおかげで、些細な、初歩的な質問も、遠慮なく質問できたのが嬉しかったです。子どもがぐずっても朗らかに接していただいたので、焦燥感を抱くこともありませんでした。

 最後に採血をして終了、全部合わせても30分くらいです。私は港区の日野原記念病院に伺いましたが、受付の方や看護師さんがみんなお優しく、帰り道はとても穏やかな気持ちになりました。

 

 採血の結果が各種条件をパスすれば、晴れてドナーになることができます。その連絡には1週間前後かかると聞いていましたが、訪問の翌々日ごろにはメールでご連絡をいただきました。ありがたいことに問題なしとのことで、ドナーになれたのです。ヨカッタ!

 でははりきって搾乳、がんばってまいりましょう! という気合いは十分でしたが、私の場合は少し「待て」状態に入っております。というのも、服用している漢方薬の種類が増えてしまったためです。当初1種類を服用していたのが、2種類に。事務局の方から「明確な規定はないのですが、リスクを回避するため、念のため」ということで、服用漢方が1種類に戻った段階でドナーミルクを搾乳することになったのです。

 もちろんがっかりした側面もありますが、これは私にとって、よい機会であるとも思いました。

 漢方は心療内科で処方されたものです。産後3か月ごろから育児生活にいくぶん慣れたこともあり、緊張の糸が切れて一気に心身にダメージが出てきました。その治療に使っているものなのです。

 母乳バンクさんはお母さんたちの健康をなにより配慮してくださっています。母体が元気でなければ元も子もない。「服用している漢方薬の種類が減ったら、母乳を送ってくださいね」という方針も納得です。

 これを機に母乳が出ている期間のうちに、少しでも早く、自分の心身の調子を改善させたいと思うようになりました。「漢方薬で治す」のではなく、「漢方薬の力を借りて、自力で治す」のです。

 そのためにも、私のなかではなかなか許しがたい「家事のおサボり」だったり、「早寝遅起き」だったり、「日中だらだら」も受け入れていきましょう。がんばるための目的をもらったような気分です。

 

 登録過程を体験したことで、「母乳が出る」だけではドナーになれないのだと、よーーくわかりました。自分や家族の病歴なども影響するし、ドナー登録ができる病院が近くにないかもしれません。お仕事が忙しかったり、複数名の子どもを育てていて手が回らなかったりすれば、衛生管理に気をつけながらの搾乳は困難でしょう。

 だからそのぶん、ドナーになるための各種条件に当てはまるお母さんに、母乳バンクの存在を知ってもらえたらうれしいです。お金もかからず痛くもないのに、小さな生命を救う手助けができるなんて、すごいではありませんか! 政治、宗教、スピリチュアル、金儲けのいずれにも当てはまらない話題ですので、気軽に会話の中に取り入れてもらえたらと思います。

 私も、短期間であってもご協力したい。自分の心身をいたわる努力をして、漢方薬に力を借りない日々を取り戻したいと思います。

 母乳バンクにご興味をお持ちいただいた方は、ぜひ公式サイトをご覧ください。

milkbank.or.jp