行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

昔総会屋、今投資ファンド

2023-06-06 22:43:47 | 企業

株主総会のシーズンとなり、この数年目立つのは外資系ファンドの企業価値向上への介入だ。ファンドの目的は所有している株の値段がとにかく上がらないと出資者からみはなされるということから、ひたすら利益追求に走る。典型例は東芝でほぼ解体されてしまった。最近の例ではセブン&アイ・ホールディングスだろう。かつては総会屋が株主総会を仕切り、企業価値を求めるのでなくなにがしかの金を懐に入れるために暗躍した。企業側は総会対策に頭を痛めたが、社会的な圧力が強まり、総会屋とは手を切ったが現在の株主であるファンドは企業価値向上を振りかざしもっと手強い。
セブン&アイは、日本の小売業で初めて年間の売り上げが10兆円を超え、利益の大半をコンビニ事業が占める一方、イトーヨーカ堂は、3年連続の最終赤字となるなど、引き続き、グループ運営の効率化とスーパー事業のてこ入れが大きな経営課題となっている。投資ファンドの米バリューアクト・キャピタルは主力のコンビニ事業セブン―イレブンのスピンオフ(独立)を実行して集中的に投資すべきだと主張していた。これに対して井阪社長は、食品を中心とした商品開発でイトーヨーカ堂などスーパー事業と連携する必要があると訴え、傘下にとどめるとしてファンドとは真っ向から対立していた。

セブン&アイ・ホールディングスは25日に開いた定時株主総会で、バリューアクト・キャピタルが株主提案していた井阪隆一社長ら4人の退任を実質的に求める取締役選任案を否決した。一方で、セブン&アイが会社提案していた井阪氏ら5人の取締役選任案が可決された。

一連の動きで欠けているものは顧客への視点だ。いつも買い物に行くヨーカー堂、補助的に買い物に行く近所のセブン、両方があってこそ便利だ。大量販売のスーパー、その中から売れ筋を置く小さなコンビニ、当然コンビニの方が利益は大きいだろう。だからといってファンドの提案するようにコンビニだけを離してしまったら何が売れ筋なのか見当もつかなくなり、セブンは困るだろう。スーパーとコンビニが連携してシナジー効果を発揮してこそセブン&アイ・ホールディングスが存在している。

大企業では事業部をたくさん持ち、機動的な経営が出来ないために全体が成長しないというコングロマリット効果という否定的な説があり、分社化を進めて改善した日立のような企業もあるが、総合商社のように相乗効果を発揮しているケースもある。それぞれ各企業で、顧客、株主、従業員のことを考えて企業価値を向上させてもらいたい。


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