爪の先まで神経細やか

物語の連鎖
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ジーンズを買いに

2022年08月19日 | Weblog
もう学校に通っていない。

劣等感もないが、それを補うように無数に本を読む。

17歳。1986年。

町屋で乗り換え、表参道で降りる。

古着屋とアンティークショップ(値打ちのある骨董品ではなくアメリカの大衆雑貨)を巡り、渋谷から帰ってくる。

ハウスマヌカンという名称があり、彼女らの眉は太かった。

アンニュイという言葉が健康的な女性というのを凌駕する。

しかし、そんなことはない。

表参道で地下から地上に出る。

森英恵ビルがあった。

一生、入らないお店だが、その存在は知っている。

あの頃の、勢いのあった日本ももうない。

サイズの合う、良い感じに色落ちしたジーンズを買う。

その頃の、ぼくの制服。

コカ・コーラとリーバイス。

会社名であり、若さの特権的ななにかでもある。

タワーレコードの黄色い袋と輸入盤の匂い。あの長細い箱。あれは、翌年以降か。

空は、なぜか晴れている。

取り戻せないなにかでもあり、本のなかに書かれていたような過去の記憶でもある。それをパッケージしたものが青春と呼べそうなものかもしれない。

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