マインド・ワンダリング(心理学における概念)

現在行っている課題や活動から注意が逸れて

無関係な事柄についての思考が生起する現象の事を指す

 

マインド・ワンダリングは意識的なものと無意識的なものに大別される

 

その内容や広がりも時間(未来・現在・過去)、自己との関連性、モダリティ(言葉・映像)などに分類され多様なものが含まれる

マインド・ワンダリングは外界への注意や警告の低下に繋がり、交通事故のリスクを高めてしまうマイナス面も持ち合わせている

当初は否定的に捉えれていたが最近になってポジティブな側面が注目を集めている

 

マインド・ワンダリングと創造性の関連である

 

拡散的思考とは新しいアイディアを多く生み出していく思考方法である

(既知の情報を元にしながら様々な方向に考えを巡らせて

 

全く新しいアイディアを膨らませていく創造力が必要で誰もが可能というわけではない)

 

思考の流動性(発想の数の多さ)、柔軟性(発想の多様さや柔軟さ)、独自性(発想の非凡さや稀さ)など

創造性に繋がる要因が関連している事が明らかになっている

 

拡散的思考の対極にあるのが「収束的思考」である

これは既知の情報から論理的に思考や推論を進めていき正解に到達しようとする方法である

(この場合、正解に辿り着くには多くの情報を集める事が必要となるが必ずしも特別な能力を必要としない)

 

発達障害の才能を活かせる仕事

一般にADHDもASDも総合的な仕事は苦手である事が多い

昭和大学付属病院における発達障害の通院患者を対象にして仕事内容を調査した結果

ASDの人々は定型的な事務職が多く

(黙々と定型的な作業を継続する事は得意なことが多いが、途中で周囲から話しかけられたり新しく指示されたりすると混乱しやすい為

比較的変化の少ない事務的な業務が向いている)

 

ADHDの人々は専門職が多数を占めていた

(静かなディスクワークは苦手であり特にマルチタスク状況になると混乱しやすい、

自分の裁量で仕事を企画し自分のペースで作業を行う事が向いている)

イラストレーター、作家、コピーライター、プログラマーなどの分野で成功している人が多い

 

ADHDなどの発達障害を伴う子供は学校の中で浮いてしまいやすい存在であり

しばしばイジメの対象となる。本人も疎外感を持ちやすい

 

集中と熱中、そしてマインド・ワンダリング

創造にはまず何よりも集中と熱中が必要となる

その際、卑近な現実から離れている事も重要となる

この解放状態において創造者は「別の現実」に入り込んでいる

ある種の意識変容の状態にいる感じ

このような状態で何かを生み出した時

それを意識して行っているわけではなく

「言葉がどこからきたのかわからない」「まるで詩の神が肩に止まっているようだ」という

自分の中に生じた思考や感情の断片を、その流れのままに発展させてゆく

自分の中で形の整っていない断片化した思考を生み出し続けるうちに

新しい何かが生じてくるのである

まさに心は無限の空間を彷徨っているのである

これがマインド・ワンダリングの拡散的思考である

 

創造性と統合失調症の関係性

精神医学の歴史は統合失調症とともに歩んできたと云っても過言ではない

周囲の世界に対する独特の「風変り」な認知の仕方は芸術的な感性に繋がるものがあるようにも見える

 

初期の統合失調症では「妄想気分」という症状がみられる

これは周囲の世界がどこか恐ろし気で不気味な雰囲気が感じられる現象である

このような発病前の症状を最近では「アットリスク精神状態」という

 

イジメや不登校の裏にある「発達障害」

創造性を抹消する社会が日本である

安定した対人関係が持てない子供や突飛な行動を繰り返す子供は

「変わった子」とレッテルを貼られ、教師からも周囲からも排除の対象となりやすい

この為、発達障害の特性を持つ子供は優秀な能力を持っていても

イジメの被害者となりやすく不登校の比率が高い

その結果、自己肯定感が低くなり、更にその後の不適応につながりやすいのである。

 

不寛容を招く「多様性のなさ」

周囲の多くの人々との異なった個性を持つ人が排除されやすい状況は

大人の世界においても同様である

 

現在の日本社会は学校におけるイジメや不登校、中高年まで含む「ひきこもり」

更に企業社会においては従業員のメンタルヘルスの問題

 

天才は子供時代に不当なレッテルを貼られてメンタルダウンをしてしまい

本来持っている能力を発揮できないまま

その後の人生を過ごしている事が

稀ではない。