心理学では人の情報処理には大きく分けて二つのタイプがある
(自動的処理と制御的処理)
●自動的処理(色々考える前にさっさと行われる効率的な情報処理)
・非意図的、無意識的、制御不可能、効率的、速い
●制御的処理(じっくり考えて行われるが効率的には劣った情報処理)
・意図的、意識的、制御可能、非効率的、遅い
人間の情報処理のデフォルト(基本設定)は自動的処理である
つまり普通は考える事なしに自動的に処理が行われている
通常は自動的処理の結果をそのまま受け入れており
不都合が起こった時だけ
制御的処理のシステムが積極的に介入して認知の修正を行うと考えられている
●プライミング(無意識に関連する現象)
・文章、単語などの刺激を前もって示すと
それによって後の刺激の処理が促進される
●確証バイアス(先入観に支配される)
・人が種々の情報から判断する場合、歪みが生じる事がある
その歪みの原因として重要なもの「仮説検証バイアス」
・自分があらかじめ持っている予想(仮説)に当てはまるような事例ばかりに目を向けて記憶し
また事例を仮説に合わせて解釈してしまう事
●人々が説得を受け入れる際、二つの情報処理過程を仮説する考え方がある
1、ヒューリスティック処理(発見的)
・中身を吟味せず表面的な手がかりで説得を受け入れるかどうかを決める
表面的手がかりの例として話し手が専門家だとか魅力的だとか話し声が明瞭とか
難しい言葉を使ってもっともらしいとか、皆がそう言っているから等である
2、システマティック処理(体系的)
・説得に用いられた議論の内容について妥当か妥当でないかを熟慮した上で
それを受け入れるかどうかを判断する。
●一面呈示と両面呈示
1、一面呈示(受け入れて欲しい方向の考え方だけを主張するやり方)
2、両面呈示(逆方向の考え方もある程度認めるように見せかけるやり方)
●防御動機理論(脅威評価と対処評価)
1、脅威評価(脅威をどう評価するのか)
・このまま不適応行動をしている時にもたらされる結果の深刻さ
及び、「その結果の起こる確率(生起確率)」と
「不適応な行動を続ける事による内的外的報酬」の差から見積もられる
2、対処評価(説得されたように対処する事をどう評価するか)
・(反射効果性):説得されたやり方に従う事で達成できる効果
・(自己効力) :それが自分で実行できるという感覚
・自分が実行するのにかかる負担の程度
差によって見積もられる
●量・必要十分な情報量にする
1、過剰回避(情報は過剰にならないようにする)
・このルールにより受け手は言明内容から常識的に推測可能な事は
内容を補足して推測する
関連性が明示されていなくともそれらを補って推測する。
2、不足回避(情報は不足しないようにして、確定できる事は確定的に云う
・ただし、過剰にならない範囲に限るし、常識的に推測可能な情報は云う必要はない
このルールにより受け手は言明内容(から推測できる程度)を超える事は生じていないと推測する。
●信じ込んでいく過程(動機づけ推論のメカニズム)
1、情報選択のバイアス
・身の回りの情報や自分の記憶の中で自分の予期に合致する情報に目が行く
予期と一致しない情報は無視しようとする。
2、情報吟味の歪曲
・目標に合致しない情報は問題点を色々細かく詮索してそれを否定、却下する一方
目標に合う情報につては無批判にそのまま受け入れてしまう事である
3、対象に対する感情
●特殊詐欺(オレオレ詐欺等)と悪質な詐欺的商法は社会的認知や説得の原理が悪用応用されている
1、認知バイアスの介在
①正常性バイアス
何かリスクに直面した時に他人はともかく自分は大丈夫であろうと過度に安心してしまう事を指す(過信)
②真実バイアス
相手の言う事に疑いを持たず、嘘ではないと判断しやすい傾向の事(性善説の日本人は民族性かもしれない)
③確証バイアス
つまり出来事を自分の予見に合うように解釈してしまう
✩認知的負担がかかった状態は様々な角度からの制御的な情報処理が阻害される
客観的な視点、広い見地から物事を考える事ができなくなってしまう
そうなると、認知の諸バイアスはより顕著になる恐れがある。
免疫がない出来事(めったにない出来事)自体が疑いを弱めるという面もありうる
抗う思考が起きなくなるほど逃避不可能の経験により
抵抗しても無駄だと云う感覚、何もしないのが一番であるという感覚(経験)を身につけてしまったら
学習性無力感に陥り、第三者の相談しないまま詐欺に遭う認知症までは行かないが判断力が鈍くなった高齢者が騙される
これは催眠商法やキャッチセールスにも該当する