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ニセコのダチョウ牧場(第2有島だちょう牧場)

ダチョウの孵化から解体まで行い、命を頂く事、牧場を営む事で得た、学びや気づきを記録しています。

明日から学生さんが修学旅行などで研修に来てくれます。私の伝えられる限りのことを伝えたいと思います。

2021年07月05日 | 日記
この厳しいコロナ禍の中、子どもたちが研修や修学旅行先として牧場に訪れてくれます。
子どもたちの安全を守りながら、学生たちにこういった機会を与えたいと懸命に考え、数々の問題を解決しながら、行動に移されている先生方をはじめとしたたくさんの方々のお蔭です。
私はたくさんの方々の想いのバトンを受け取り、今伝えられる限りのことを学生さんたちに伝えたいと思います。

皆さんにとってそうであるように、私にとっても修学旅行は忘れられない思い出です。
特に忘れられないのは沖縄での思い出です。「ガマ」という防空壕として使われた自然の洞窟に入ったり、平和祈念公園に行ったり、沖縄の地上戦について学びました。
その中で最も印象に残っているのは、ひめゆり学徒隊の方のお話です。
「君たちは死なないで」と青年将校が学徒隊の女学生たちに話し、「この人は何と変なことを言うのだ」と思ったというエピソードは深く感銘を受け、印象的でした。
ただ、その当時の同級生にはこういう話を聞かなくてはならないことが苦痛であった人もいました。
私は当時同級生の反応にショックを受けました。
そして、伝えるべきことを広く長く伝えるためには、伝える方法も大切なのだと痛感させられました。

私が牧場で学生さんたちに常に聞くことは「楽しかった」かどうかです。
新しいことを体験する喜び、不思議を体感する喜び。
未知を知る喜びを体験してもらうことが大切だと思うからです。

センスオブワンダーというレイチェルカーソンさんの本が好きです。
自然界の美しさ、語りつくせない雄大な風景が本を読んでいるだけで目の前に現われる素敵な本だと思います。
その中の一説に「知ることは、感じることの半分も重要ではない」というものがあります。
私たちはとかく調べることで何かを知ったような気になってしまいます。
インターネットを使えば、本当に膨大な情報があっという間に手に入ります。
コンピューターの普及に伴い、子どもたちは私が子供の頃よりも瞬間的な情報の処理能力が上がっているようです。しかし、その反面、映画や一曲の音楽から本来得られるはずの余韻や余剰の部分からの情報をシャットアウトすることが著しく早くなっているように思います。
たとえば世界的にみると短い動画などを好む傾向が高まっています。
テレビを見ながら音楽を聴き、映画をはやい速度で流し見する世代向けにTictokやYoutubeの切り抜き動画などのメディアの台頭が著しいです。
私たちの世代以上に、文章を読むだけ、映像を見るだけで社会の仕組みを知ったようになってしまう人が増えてしまうと思います。

こうした子供たちに、この牧場に訪れてもらい、実際に生きているだちょうさんの生き生きとした姿、雄大な自然、虫や草花、風、臭い、音、卵を温めているダチョウさんの様子、エサを食べる様子、そのほか語りつくせない様々な情報を彼らに感じてもらうことが何よりの学びになるのだと思っています。

そしてそのうえで、命や環境について考える種を蒔きたいと思っています。
この写真は卵の生育状況を今日確認した様子です。
光を当てて、成長している卵や死んでしまった卵を確認しています。
子どもたちには細胞分裂をして、育っている様子を見てもらいます。
暖かい卵、死んでしまった卵の感触を伝えたいです。
そして、隣にあるを見せて、屠畜方法を伝えます。
ゆりかごのように卵を温め、育て、命を頂く牧場の営みを肌で感じてもらい、しっかりと子供たちに私が伝えられる限りのことを伝えたいと思います。

私のできることは本当にちっぽけなことしかないですし、知識もまだまだ足りず、これから伝えられる時間も限られていると感じています。
このコロナ禍の中で、こうして訪れてくれる子どもたちに、どうしたら最大限伝えられるのかを考え、力を尽くさなくてはならないですね。

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