「7つの習慣」×「アクティブラーニング」というカツカレーばりに大好物な2つの掛け合わせ。
一体どんな感じで繋がっているんだろうと思い手に取りました。
著者は高校教員として、物理の授業をアクティブラーニング化して成果を上げてこられた小林昭文先生です。

「ビジネス社会が変化しているのだから学校社会も変化しないといけない」 
正にその通り。
学校と社会の断絶という個人的にとても課題感を感じているところから書籍はスタートします。

「みんなで力を合わせて」と言われるのは文化祭や体育祭のみ。
社会では協力することが求められるのに、なぜか授業ではそれが推奨されない。
つまり、これまでの授業のパラダイムを変える、「パラダイムシフト」が多くの学校に求められているのです。

ちなみに本書、アクティブラーニングの背景に多くの学術的な概念が散りばめられています。
カウンセリング、エンカウンターグループ、アクションラーニング、経験学習モデル、システム思考、リフレクション、一皮むけた経験(金井先生)等々、
やはり良い授業ができる先生は、しっかりと理論を学ばれた上で現場で実践を重ねて来られているんだなと感じました。

第5章では、実践例として授業の流れや生徒への介入の仕方など詳しく書かれています。
多くの科目に適用できるアクティブラーニングのモデルだと思いますので、是非一読をお勧めします。
個人的には、叱ったり、怒鳴ったりしても変わらない生徒へのカウンセリングを活かした対応が特に印象に残っています。
そして、7つの習慣を早い段階で学習することの意義も大きいなと思いました。


最後に、7つの習慣とアクティブラーニングの掛け合わせのメモを残しておきます。

第1の習慣:主体的である 
 ・積極性や率先、自ら選択できること、選択したことには責任があること
 ・選択する力は、「自覚」「想像」「良心」「意志」の4つの能力によってもたらされる 
 ・リーダーシップを発揮する(私的成功から公的成功へ)
  ・セルフリーダーシップから他者へのリーダーシップの発揮へ
第2の習慣:終わりを思い描くことから始める
 ・目的地を決めてから始める
第3の習慣:最優先事項を優先する
 ・限られた時間配分を考える
 ・説明は最小限にし、生徒に任せるところは思い切って任せる
 ・教科書を読めばわかる部分は端折る
第4の習慣:Win-Winを考える
 ・人よりよい点をとることが目的ではない
 ・欠乏マインドではなく豊かさマインドを
第5の習慣:まず理解に徹し、そして理解される
 ・コミュニケーションの鍵は、相手の話を聴き、心から理解しようと努めること
第6の習慣:シナジーを創り出す
 ・自分のできることだけでない、他者と協力することで力を発揮させる
第7の習慣:刃を研ぐ:「肉体」「知性」「社会・情緒」「精神」の4つの側面を磨く
 ・肉体:体育
 ・知性:様々な科目の授業
 ・社会・情緒:コミュニケーションを通じて良好な人間関係を築く
 ・精神:内省