走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

痒いところへ手が届く

2023年02月01日 | 仕事

専門医から電話がくる。相談があると。


?????


よく聞く相談。でも専門医から聞くのは初めて。驚いた。


私が新患者として受け入れるのはかかりつけ医もしくはNPがいない人だけ。かかりつけ医が気に入らない、思い通りの治療をしてくれない、は理由にならない。510人に1人はかかりつけがいなくて困っているBC人がいるのに、なんとも贅沢な不満。と、言ってしまえばお終い。患者にとっては切実な問題。


そしてその原因は慢性疼痛の管理の場合が殆ど。慢性疼痛は急性疼痛と異なる。お薬あげて終わりではない。糖尿病や高血圧のように二人三脚的なアプローチ、患者教育、現実的なゴールの設定、計画などが必要。


で、トラブっている患者を受け入れるわけにはいかない。だって根本的な問題はそのトラブっている医療者のプラクティス(仕事のやり方)の問題の可能性が非常に高い(もちろんその逆もあり)。人間知らない事を知らない。もしかしたらその医師もそんなつもりは全くないかもしれない。慢性疼痛について学び直す必要があるかもしれない。ベッドサイドマナーを振り返る必要があるかもしれない。


だから、医療者とはオープンに話し合って、うまくいかない時には免許を管理する団体(カレッジ)に報告する事で解決できますよ、と私は話し、受け入れを断る。


しかし今回の相手は同じカレッジの専門医。そんなことは百も承知の人。その上で私に電話をかけてきた。相談と言いつつも私にその患者を受け入れて欲しい、と言う願いだった。専門医だからプライマリーのことには手を出すべきでないから、と。


丁寧に断った。理由もいつもの解決方法も伝えた。


そうよね正直に答えてくれてありがとう、と彼女は言った。患者とかかりつけ医の間で板挟みになっている彼女は救えない。でもそれも理由にはならない。ごめんなさい。


蛇足と言われるかもしれないけど、この専門医は元看護師。看護師から医師、そして専門医へ転向した方。この専門医が患者にそのように頼られる理由は、、、、書かなくてもお察しがつくと思います。痒いところに手が届くようなケアは時に医学知識より重要になる。そう思う今日この頃、、、


冒頭写真季節外れですが長女の家にクリスマスの朝に御呼ばれ。これ可愛いクッキー。もちろん手作り。素敵な朝でした。



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