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総裁選の報道比較

2020-09-17 08:31:06 | 日記

  安倍政権から菅政権になって、いつものように、新聞をチェックしてみた。総裁選での勝利翌日の15日(火)の朝刊と今回はオマケに夕方にでるタブロイド紙も大人買いして、比較してみた。まずは、朝刊6紙の比較から。すると、正直なところ、写真で見るとおり、意外にも?当然ながら? 菅氏の疑いようのない圧勝であったことから、見出しには差異は全くなかった。

      

    見出しは基本「自民総裁に菅氏」と事実が述べられていて、落ち着いた印象だ。さあ、では中身も同じように書かれているか、1つずつ覗いてみよう。

     東京新聞では、ただサブタイトルに「安倍政治 異論なき継承 自民の選択」とあり、紙面のあちこち菅氏が安倍氏を賞賛し、自分がその政策にすべて関与し、当事者であったことを訴え続けてきたことが書かれていた。一方で、過去のモリカケ、桜問題になど反省点や改善すべき点は口にせず、安倍政治の「異論なき継承者」であったと説明されている。

     中面でも、「路線の『振り子』動かず 党内の多様性失われ」として、<これまで「保守系(岸)の次はリベラル(池田)、金権イメージ(田中)の後は清廉な人物(三木)というように、自民党の長い歴史をみると、振り子が左右に振れるように、総裁のタイプが変えられてきた>。と非常に面白い説明がされていた。

     そのように、印象が変化することで、あたかも政権が交代したように自民党のイメージが一新されたことで、長期にわたって自民党が政権を握ってこれたのだ~と説明している。ところが、今回は例外のようなのだ。つまり、この振り子が働かず、リセットをかけるだろう石破候補を押さえる動きが、党中央に強く、石破氏に影響力を残さぬよう、国会議員票でも地方票でも菅氏が1位をえるだけでなく、総数で岸田氏が石破氏より票数を得ることが目指されたと指摘している。

   <余談>地方票については、47都道府県に、党員数のばらつきがあるにもかかわらず、与えられたのは一律に3票。しかも決め方もバラバラで各県に任せる不思議。誰かの力を発揮させない意図を感じるような・・・。「総取り方式」は、6都道府県が採用。菅(神奈川),二階(和歌山)の地盤県と、東京、埼玉、千葉、沖縄だ。「総取り方式」では、東京都では、菅・44,579、石破・18,808岸田6,161票で、千葉県は菅・10998,石破・7059,岸田834票,「ドント方式」なら菅2,石破1となるところを3票すべてが菅へいった。 石破氏がテレビで言っていたが、「党員になると、自民党の総裁を決める総裁選挙に票を投じることができます」と、年会費4000円を払って頂いているのに・・・」とここでも嘘を平気でつくのに平気でいる党中央に苦言を呈していた。結局7割以上の県の自民党議員が石破氏と同様に考えて、党員の意志を聞ける予備選挙を行い「ドント方式」を採用した。

      毎日新聞では、ベテラン議員や、麻生氏から「いろいろたたかれるのは目に見えている。だったら(ご祝儀相場で内閣支持率が上がっている早めに解散・総選挙をするのがいい)」という声が聞かれたことが書いてある。毎日新聞には、上の(余談)で伝えた地方票の内訳が、非公表も4県あるものの、菅32.9万、石破20.2万、岸田9万票だったと分かる詳細な表が作成され掲載になっていた。それを見ると、予想以上に石破が地方票がとれず、配分先の隔たりのしわ寄せは、得票率14%の岸田だったと分析されていた。このような分析は他の新聞にはなかったので、とても分かりやすく納得がいった。

     また、毎日では、立憲民主党の合流後のポスト配分についての掲載があった。枝野代表が代表戦を争った泉氏を高く評価している話を「自分の見ている報道を疑え/続」で”Choose Life Project"での2人の素敵なエールについて書いたが、しっかり泉氏を適材の政調会長に起用したことが書かれていた。お~っ、やっぱりあのエールは本物だったんだ!(枝野+泉)が、素敵な化学反応を起こして、野党を動かしていってくれる期待に胸がふくらんだ*。さらに、<「スガノミックス」手腕は?>とタイトルで、民放で消費税を将来引き上げることに言及してしまったことを、さっそく、翌日から菅氏が訂正したことも載っていた。消費税増税に事実上フタをして、火消しをはかった話もあった。  *因みに、自民党の方は、総裁選を戦った岸田・石破氏を結果的に大臣はもちろん、党の要職にも菅氏は起用しなかった。

     朝日新聞では、1面で総裁の決まった見出しの横に「党4役 派閥で分け合う」と、二階、森山の再任、政調会長に下村氏が決まったことを重視。党の総裁選挙が、コロナを理由に(国民を巻き込んで)決める姿勢をもたなかったことが指摘されていた。「安倍政権の継承」を繰り返す菅氏が、就任会見でも「せっかく就任したわけだから、仕事をしたい」と力を込めたが、熱量に乏しい総裁選の勝利とみている。そして、様々な人のコメントが書かれていた。

     私は耕論の「国民の自意識痛みを粉飾」の宮代真司が書いていた文章が印象的だった。<「株価や失業率で以前よりよくなった」とメディアでも報ずることに対して、「見たいものだけを見る」傾向を指摘。実は、その一方で、「1997年以来 実質賃金が低下しているのは先進国で日本だけなこと。若者の自尊心や家族への信頼度が低く、子どもの幸福度に至っては先進国最低レベルなことについては、見ない」という不思議な現象について解き明かしていた。また、上の2紙同様、「国民から信頼される政府を作っていきたい」「一致団結」を訴えても、負の遺産にフタをし、モリカケ、桜を済んだことのようにして信頼や納得を得られるのか?とも問うていた。

     (私見)格差や分断などによる「痛み」をもっと人と共有して政治的な解決をみんなが求め動き始めれば、日本はよい方向に向かっていくかもしれないのに、菅首相は、「自助、共助、公助、絆」と言っている。自民党議員がよく使う「自己責任」という言葉にこれは通じているようだ。でも、例えば、こども達の幸せは、大人がしっかり助けて育てていかないといけない。子どもに自己責任は問えない。 日本のトップである首相や大臣が、失言やら嘘、誤魔化しを続けるニュースを見聞きし、こども達の7人に1人は貧困にさらされている。学校でいじめ問題も聞き、登校拒否の問題。性的暴力も、家でも、学校でも、社会でもその危険があるという、とんでもない状況になっている日本。ニュースをみていて、自動車で嫌がらせをしたり、人を傷つける人たちの話が多すぎて、日本はおかしくなっていると思いませんか? 「自助」を1番に持ってくる冷徹さは、「37.5度を4日越えたら病院を受診してください」と定めたコロナの受診条件。あれはまるで医療放棄のような縛りだった。それを、後になって、「それは、国民の誤解です」と言い放った加藤厚生大臣が、今回の内閣では官房長官に選任された! しっかり、耐えるのではなく、何が起こっていたのか、起こっているのか、目を開いて広く何が起こっているかを見るようにして下さい!そうでないと、将来、我慢して耐えるだけでは、命の危険だってあるかもしれないのです。 

     日経新聞では、1面の小見出しに「麻生財務相・二階幹事長再任へ」「早期解散に慎重」とあり、さらに中面で「規制改革の徹底」の大見出し。市場の見方としては「改革加速 株高に期待」と菅氏の人物像「令和おじさん」への歩みが書かれていました。「改革加速 株高に期待」がいかにも経済新聞ですね。

     産経新聞では、1面の2番目に大きいタイトルは「二階幹事長留任へ」。そして、もうひとつ「批判恐れず、内政に『大ナタ』を」。こちらは、菅氏が自ら前例を打破して実現したと語る「ふるさと納税」を、バッシングや反対にめげず果敢に進めたことを高評価。菅氏が進める「行政の縦割りを排す」政治信条に対しては、「大ナタ」を振るって当たってほしいと希望。さらに、尖閣列島で野心を隠さない中国からいかに日本の領土を守るか、憲法改正の実現についても、前に進めることを期待しているとあった。

     2面の「主張」でも、菅氏が省庁がまたいでダムの管理が上手くいってなかったのを、台風10号では事前放流を増やさせた成果を、「縦割り行政の打破」と評価。中国の覇権志向を抑え、拉致問題、公明党を説得しての敵基地攻撃能力の保有も大事と言う。憲法改正も不可欠として、まず国民投票法改正案から早期成立を先頭にたって推し進めることへの期待も書かれていた。

     3面では、「たたき上げ菅氏 地方票呼ぶ」「石破氏の『反安倍』層切り崩し」の見出しが踊る。出馬の挨拶で菅氏が町工場からスタートして政治の世界に入ったが、「言葉の少ないこわもてのスポークスマン」と異なる印象を与え、安倍、石破、岸田の「世襲議員」と違う!というのを鮮明にアピール、「叩き上げ」の総裁候補へと好感を示して票が多く集まったと説明。「異例の無派閥総裁/改革に豪腕発揮」「3位石破氏 存在感失う恐れ」と菅氏礼賛記事となっていた。

     5面も「菅総裁『既得権益ぶち壊す』」の大見出し。7面は、韓国の法務大臣が兵役中の息子の特別待遇疑惑で「韓国 若者の怒り再燃」の大見出しと、元慰安婦支援団体の前トップが横領/詐欺罪で起訴された話が埋めていた。産経新聞には、モリカケ、桜を見る会の文字はまったくないようで、安倍政権の継承というより、「菅首相の凱旋の祝勝記念紙」になっていた。

     読売新聞では、産経新聞のように菅総裁礼賛というよりは、圧勝した書きつつも、消費税でした発言を修正を迫られたこと、3面では「菅氏圧勝で自信」の大きい文字も躍るが、すぐ下に「無派閥で党内基盤に弱さ」もあり、森山、麻生氏があいついで、早めの解散を示唆する発言をしていることが書かれていた。

     また、2面と4面で野党の合流についても書かれており、特に4面では「新立民人事不満の声 『刷新感ない』『吸収合併』」のタイトルで立民内部に福山幹事長の再任に不満の声があること。一方で国民出身社の平野、泉氏をそれぞれ執行部人事に代表代行兼選挙対策委員長と政調会長に起用したことなどは新しい風となるかもしれない。だが、あまり期待できない・・・・など、野党が頼りにならず、合流と言ってもイマイチの印象を読者に与えている。

     正直、以前安倍政権時に読売新聞は際どいほどに政権に肩入れをして、スキャンダルまがいの元文科省事務次官の前川喜平氏のバー通いまで記事にしたり、政権べったりの印象だったのに、今回は違っていた! なんと、そのやり方が産経新聞の方に乗り移ってしまったようなのだ! やや冷ややかなというか、冷静な文が並んでいた。 9面に来てやっと「たたき上げの仕事師」として、奥様や、工場勤務から政治の道に入った話なども披瀝されていたが、どうやら読売新聞は、菅氏を少し距離を置いて見ているようだ。その分、「報道」らしい記事になってきたと言えるのだろう。

     こちらは、韓国の法相のスキャンダルより、元慰安婦団体の元トップが流用で起訴された記事が大きく4面に書かれていた。また、もちろんのこと、読売新聞にも森友・加計、桜を見る会、検察庁問題などの長期政権の負の記述は、一切書かれていないようだった。菅政権が、それらの問題にフタをしたままにしようとしていることも載っていなかった。  

      と言うわけで、正直、今回の安倍政権の後継である菅総裁の誕生の報道で、強烈な政権寄り新聞の「読売新聞」が、落ち着きを取り戻した一方、これまで私が「読売新聞に比べれば「報道」と呼べるのでは・・・と言ってきた「産経新聞」が、逆転してとんでもないことになっていた。でも、ここまで読んできてくださった方には、新聞というのが、同じ事実をかくも違った様子で書いていることをご理解いただけたでしょうか。どの新聞を読んでいる方も、自分の常日頃読んでいる新聞や報道を見ていると、他の人がどのように考えているか、時代がどう動いているかを見過ごすことになってしまいます。

     私は、原発神話に踊らされて、東日本大震災の時の福島原発事故で「疑う」ことを学びました。しっかり目を開いて、自分が見たり聞いたりしている情報が、本当に正しいか、時には疑って、他の新聞やテレビ、いつも話す人だけでなく、いろいろな人と話してみる。とても大事なことです。

     もう、夜遅くなってしまったので、ほんの少しのコメントですが、夕方駅売りで見る夕刊フジとゲンダイ。ゲンダイはいつもの様子でしたが、夕刊フジがちょっと驚くような記事でした。二階の幹事長の続投が、中国寄りの二階と菅の接近で生まれた今回の帰結とはいえ、「危険」という立場のせいか。基本的には政権寄りだった、夕刊フジも政権批判のような記事になっていて驚きました。 さて、以前は英字新聞とかもこの新聞比較にいれたこともあったかもしれませんが、それもとても大事なことです。最近は、我が家のそばの駅で英字新聞を売らなくなってしまいました。というのは、そういう私も英字新聞を買うより聴くようになったからなんです。スマホで、BBCニュースとか,ビデオで見られたりするので、大変便利なのです。無料で、意味が掴めないときは、下に説明も書かれてあるので便利です。

     今度、外国では今度の政権がどう言われているかも調べてみると、また新しい視点がもらえるかもしれませんね。  

           

          では、今日はこのへんで。最後まで読んでいただけて、ありがとうございました。

  

  


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3 コメント

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Unknown (悠々遊)
2020-09-18 19:55:36
こんばんは~
新聞6紙の比較、お疲れさまでした。
私は読売新聞を自民党の広報紙、産経新聞は自民党右派の広報紙と思っていますが、読売新聞が少しは中立な立ち位置になったなら喜ばしいことです。
逆に、右寄りな人たちは何かと朝日新聞を目の敵にするようですが、朝日は戦中の体制の広報紙であったことの反省から、今の立ち位置を守っているとの事で、その精神を忘れずにいて欲しいもの。
マスメディアは政治に中立であるべき、との考えも世論にはありそれも正論でしょうが、一方で絶大な力を持つ政治権力を、国民に代わって常に監視する重大な役割を持っているはず。
だとすれば、政権側のから出される情報をただ右から左に伝えるだけでなく、徹底チェックし、評価すべきは評価し、おかしいことはおかしいと伝えるのが、マスコミ本来の仕事であり矜持だと思いますが、それがどれだけ出来ているか。

最近の政治向きの話題を見ると、左右どちらの側の人たちも「国民が黙ってはいない」との論調で相手を批判しがちのように見えてしまいます。まるで自分たちの側の考えを持たない相手は「国民ではない」と言っているような。
中でも特に目立つのが政権寄りの人たちの論調で、「今の政権は選挙で選ばれているのだから、それを批判するのは多くの国民を敵に回すようなもの」とか。確かに圧倒的多数の与党議員がいて政権を握ってはいますが、冷静に見ればそれは選挙制度のトリックであって、投票者の過半数が与党を支持しているわけではなく、まして投票率の低さを見れば、有権者の1/4の支持があるかないかで国会議員の7割を占めているにすぎません。
そんなことも理解できない人たちがだんだん増えてきていることに不安を感じる最近です。
特に最近は若年層に自民党支持が広がっているとか。権力に従順な羊に洗脳されてきているのでしょうか。
Unknown (悠々遊)
2020-09-18 20:00:37
追記
権力者の言動を常に疑え、が私の政治信条です。
Unknown (felizmundo)
2020-09-18 23:01:46
>悠々遊さん
  コメント有り難うございます。ブラジルは選挙が国民の義務になっていたのですよね。
http://www.city.sakata.lg.jp/kurashi/senkyo/school.files/w-gimu.pdf
幾つかの国では、罰金も科しているようです。評価は難しいですけれど、我が家の有権者、高齢、病気などで、50%に達しているか疑問も。高齢化で認知症が進むと、投票権はどうなるのかも疑問。
  でも、自民党の人の選ばれている自負は、沖縄の県民の声を無視した時点で破綻しています。沖縄の人だけでなく、もっとそれに異議を唱えないと!ですね。 
  

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