エフェクター実機からコピーを作成する | とれすけのブログ

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  実機から回路図をつくる

 さて、エフェクター作りは、以前失敗していたBOSSのハーフラックシリーズのROD-10のコピーに成功して、さらにオリジナル回路のオーバードライブを作ったりしていました。

 ただ、エフェクターボードに載せて本番で使いたいエフェクターとしては、プロビデンスのVELBET COMP、 SONIC DRIVE3、MXRのShin-juku Driveがありました。実機は持っているのですが、スペース的に厳しいのでなんとかミニペダルサイズで再現できないかと思っていたのですが、回路図などもなく、ずっと諦めていました。しかし、どうしても使いたいという欲求が高まって、なんとか実機から回路図をつくろうと思い立ちました。

  VELBET COMP

 まずはVELBET COMP。片面基板ならパターンを追えばいいのですが、両面基板ということで、これが今まで手が出なかった原因でもありました。こうなると、やり方としては回路を追いかけていくということになります。

手順としては、まず回路基板をiPadで撮影しておきます。

そしてテスターでGNDラインをたどります。これをiPadの基板写真に黒ラインで書き込んでゆきます。次は9Vの電源ラインを同じように検出してゆき、基板写真に赤ラインで書き込んでゆきます。次いで4.5Vのバイアスラインを検出していって、また別な色で書き込んでゆきます。エフェクターの一般的な回路を見慣れていれば、だいたいどの辺につながっているか見当はつくので、ここまではまあ楽といえば楽ですね。ここまでできると残りの接点を当たればよくなるので解析も先が見えてきます。

で、次はフットスイッチ部を解析して、まずエフェクトONの状態にします。トゥルーバイパスの接続だったので、そこからINPUTの配線をテスターで辿っていきます。とにかくここからはテスターでゼロ抵抗の接点を探し、それを基板写真に書き込んでゆくという作業の繰り返しです。一つのパーツの先が一つとは限らないですし、必ずしも配置が近いものがつながっているというものでもないので、接点を一通りあたるという、結構根気のいる作業になりました。

全部の接点がつながって、OUTPUTまでたどれれば、解析の第一段階は完了です。

出来上がったライン書き込み済みの基板写真を元に、今度はノートに回路図を書いていきます。今まで自作するエフェクターの回路図を必ず一度はノートに手書きしてきたのがここで役立ちます。大体の勘所がつかめているので、割合すんなりと回路図を起こせました。で、出来上がった回路図を見るとどこかで見たような回路です。そう、DynaCompとかROSSのコンプレッサーと回路が良く似ています。コントロールの数だったり若干定数が違っていそうですが、かなり近い回路構成でした。

 あとは、パーツの値を測って回路図に書き込んでゆきます。VELBET COMPはスルーホールのパーツを使っているので、コンデンサーなどは書いてある値が読み取れます。抵抗はカラーコードとテスターでの実測を突き合わせて確定していきます。

 キモになるICはCA3080。トランジスタも2N5088と読み取れます。ただ一つ、インプットのバッファーに使われている半導体が文字が読めなくなっていて、トランジスタかFETか判断がつきませんでした。そこだけは保留して、回路図を完成させました。

 

 ここまでくれば再現は難しくありません。パーツ数もそれほど多い方でもないので、ミニペダルサイズにカットしたユニバーサル基板にレイアウトしていきます。今まではまず基板図をノートに書いてからレイアウト図を作成していましたが、慣れたせいもあり、今は回路図からすぐにレイアウト図を作成するようになりました。

 

 保留にしていた半導体は、基板テストで音出しをしながらトランジスタかFETかを探っていきました。結論としいては、どちらでも動作しますが、調整用のトリムで最適値に合わせる段階でFETの方が帯域に合っているという結論になりました。

 パーツは1μFのコンデンサーとタンタルコンデンサー以外のコンデンサーはミニペダルサイズに収めるため積層セラミックコンデンサーを使っています。

 効果の再現性はなかなか良く、今まで使っていたROSSのコンプレッサーよりも好みの音ですね。なかなか感動ものです。

  Shin-juku Drive

 さて、次いでShin-juku Driveにチャレンジします。これは、両面基板に加えて、表面実装の部品なので、さらに難易度が上がっています。パーツの値が読み取れないんですね。抵抗はなんとか読めますが、コンデンサーは表記すらなく。

 

 回路の解析に関してはVELBET COMPと同じように、テスターで辿っていきました。回路図も同様に書き出すと、後はパーツの値を探っていきます。抵抗は数字が読めるものは読み、読めないものはテスターで。で、問題はコンデンサーです。手元にあるトランジスタテスターで読み取れるかと思ったのですが、回路に組み込まれたままでは、まったく読み取れないのでした。さすがに当てずっぽうという訳にもいかないので、ここで一旦頓挫しかけたのですが、新たにコンデンサー容量計を導入することにしました。

 

中華製の安価なモデルですが、なんとか回路中のコンデンサーでも測定することができました。もちろん回路構成によって値がブレることもあり得るので、必ずしも正確とは言い切れませんが、回路的にかけ離れた数値にはなっていないと思います。おかしなところは推定も交えて、一応回路図を完成させました。

 使われているパーツで、オペアアンプは2134、トランジスタはBC549というものが使われているのですが、ここは4558、2SC1815というような汎用品で代替しています。他にボルテージデテクターというようなものもあり、電圧補償的な回路も付加されているのですが、その辺はオミットして作成することにしました。

 パーツの違いもあり、完全再現というのとはちょっと外れますが、実際に音を出してみると、Shin-juku Driveで使いたかった音は出せている感じです。

  SONIC DRIVE 3

 最後はSONIC DRIVE 3です。これも手順は同じですね。ボリュームのカーブが揃わないのと、オペアンプが分からないという点を除けば、ほぼ実機通りに再現できたと思います。オペアンプは、ソケットにして色々試したのですが、TL072で標準的、4558だとちょっとこじんまりしてしまう感じで、5532だとキメが細かく、ニュアンスが出る感じなので5532に決めました。

 

 これら3台に加えて、オリジナルのオーバードライブ、そして以前失敗したYAMAHAのPH-01を作り直したBOSSのPH-1R、さらにYAMAHA DI-01のオリジナルモディファイをボードに載せて、また一つグレードアップした感じです。

 

 以前から考えていた3Dプリンターをついに導入しました。まだモデリングソフトが使いこなせていませんが、必要なものは作るという方向性がいよいよ強まってきました。