SSブログ

宝塚星組「柳生忍法帖/モアー・ダンディズム!」 [観劇感想(宝塚)]

宝塚星組「柳生忍法帖/モアー・ダンディズム!」
2020年10月10日(日)11時 1階14列上手
2021年10月28日(木)11時 2階14列センター
2021年12月26日(日)13時30分 東京千秋楽ライブ配信

星組公演を見たのに、書く時間が無くて今に至る・・東京で見る予定もないので、何とか思い出して書き残しておきます。(結局、東京千秋楽ライブを見て補完したが、しきれてない)

「柳生忍法帖」は時代劇だな~って感じで、紅さん風味のお芝居をする礼さんを堪能。愛月さんもこういう異能な役が似合っていてかっこよかった。舞空さん衣装は豪華だけど、ヒロインというには出番が少なすぎ。たくさんの方に出番と見せ場があったのは良いのですが、余りにたくさんで目まぐるしくて星組ファンではないと、ついていけないような。

ショーは、プロローグから大好きなテイストで、かっこよくて懐かしくて、脳内の記憶がバシバシと溢れてきました。私の好きな岡田先生のほうだ。岡田作品でもフェアリーなのは好きではなく、こちらダンディのほうが好き。衣装も綺麗だし、かっこよくて堪能した。ただ、こちらはスターさんしか目立つ場面が無くて、私の知ってるレベルの方ばかり。バランスとってるのかしらんね?

202109星柳生.jpg

宝塚剣豪秘録
『柳生忍法帖』
原作/山田 風太郎「柳生忍法帖」(KADOKAWA 角川文庫刊)
脚本・演出/大野 拓史


柳生三部作の一つと教えてもらった。ひとつは「魔界転生」とのこと。この前新歌舞伎座で見ておいてよかった。・・全然関係なかったけど。
原作は読んでなかったが、会津藩の堀一族の話ならほかの時代小説で読んだことがある。なので大丈夫だと思ってた。過信していた。いや大野先生を見くびっていた。ごめんなさい。
知識足りない、全然足りない。七本槍がわからなかった。堀一族の女たちもわからない。江戸の柳生家やら、沢庵和尚一派やら、東慶寺の尼さんたちや千姫一派と、各派閥がぞろぞろと出てこられる。なんとなく分かる歴史上実在の方々はともかく、創作上脚色の方々は「どういう立ち位置でどういう性格付けの方」かを事前に把握していないと、話の筋を理解しつつ一目で理解するのは私には困難であった・・・。
なので本当に印象で書いてしまいます。ちゃんと原作を読んで、背景を読み取るべき(予習必須)なのかもしれなかったが、忙しくて無理なうえ1回しか見れなかった私にはもう・・。東京千秋楽のライブ配信を待ちます。


<柳生家>
柳生十兵衛(礼 真琴)
隻眼の凄腕剣士でかっこいい。歌は当然ですが立ち回りも見事ですね。名門の実家から勘当され、自由を満喫。昔なじみの仲良い坊主(高僧)に乗せられて、堀一族の仇討指南をすることに。「か弱い女が、会津七本槍と異名を持つ剣豪に復讐する」とか言う限りなく不可能に近い命題に燃える。こういう人なんでしょうね。そしてまたそれをやり遂げる。男が惚れる男ですよ。いきなり敵側の美女から熱烈に愛されてましたけど。
ということで、ストーリー的には「?」が飛んだり「・・・」となったりするところが多かったのですが、礼さんがかっこよく美声で歌いだしたら「もういいや」ってなるという作品だと気づきました。演出的には煙(→礼さんの歌声)に巻かれた気分で後味は良いが、脚本はもう少し考えてほしいところ。礼さん一人に頼ってはいけない。


柳生宗矩 (朝水 りょう)
十兵衛の父。徳川将軍家の指南役を務める日本一の剣豪。そして剣一本で大名に取り立てられたという政治力もある聡明な方。とにかく、かっこいい。外見も言動も厳しめなところが心惹かれる。端正で凛々しいお顔も抜群だ。あの圧倒的に強い十兵衛が頭が上がらない存在というのが見てわかる。この親子、かっこよすぎ。

<会津藩>
芦名銅伯(愛月 ひかる)
会津の原住民(言い方が変だが)で、加藤家より前から会津に根付いた一族、かな。徳川に敗れ支配下にはいった感じ。徳川の支配は別に問題なさそうだけど、加藤家が嫌なのだなと思った。会津の領主が芦名家ならいいのか?芦名家による統治=大名を目指したのかな。加藤家の裏から支配しようとしてたしね。胴伯の狙いが今一つ不明瞭な気がした。
ついでに年齢もだ。見た目せいぜい30代の108歳って・・ちょっと何そのラノベな設定?と思ったが、後から、天海僧正と双子と種明かしがあり、天海の108歳は史実で動かせないからか~と思った。
108年生きていて、子供はゆら一人なのかな?80歳くらいの息子がいてもおかしくないよね。自分でも一族を繁栄させればよかったのに。七本槍は銅伯に心酔しているような人もいた。銅伯若いころの場面があったが、あの時代からの忠臣の子孫かな。七本槍も代替わりとともに劣化していったのかもしれない(ごめん)
白髪もお似合いで、髑髏の黒装束も相まってちょっとゲームキャラっぽくてかっこいい。ゆら姫とは兄妹くらいに見える。凛々しくかっこいい。声はやっぱり聞き取りにくいけど、歌は分かりやすくなられたわあ。

ゆら(舞空 瞳)
芦名銅伯の一人娘。彼女は見た目通りの20代らしい。銅伯はなんで、そんな晩年(普通なら老境だ)になって娘を設けたのだろう・・ゆらの母親はどんな女性?なんて考えてしまった。
そんな晩年に出来た一人娘なのに、割とひどい扱い。芦名一族の権力奪還のために、スケベオヤジな加藤明成の側室にするとか、可哀そうやん。若くてイケメンな恋人がいたのに。
ゆら様、かなり人生に投げやりになってますね。父からは逃れらえないって。そんな時に、父と戦い父を追い詰めるほどの、父以上の実力者(十兵衛)が出てきたから、十兵衛が父を超えたと感じた瞬間、恋に落ちたのかもしれない。自分をこの運命から連れ出してくれる人として。惚れたら一途で高度力のある女性だった。本当に可愛らしい。
豪華な着物を着たお姫様だったけど、かなり辛い人生だったし、最後は十兵衛の腕の中で彼のために死ねて幸せだったのでは、と思った。十兵衛は、皆が忘れてしまったゆら姫のことをちゃんと忘れず弔っていてあげたし、良い人に惚れましたね。
ヒロインなのに、衣装は豪華だけど、出番が少ないような気がした。特に主役の十兵衛に惚れるところがあまりに唐突。そして甘い場面がほぼない。原作通りかもしれないが、ここは宝塚、もうちょっと二人の関係を膨らませてほしい。冒頭の歌がとても素敵だった。舞空さん、キーが合う歌は、声が綺麗で絶品だ。

加藤明成(輝咲 玲央)
会津藩主。今作主要人物の一人。正直、七本槍よりも出番もセリフも多い重要人物。悪役だが、かっこよくはない。女好きで、愛妾ゆらに手玉に取られ、その父銅伯に操られているような人物。十兵衛に嵌められて、江戸でメンツをつぶす場面とか、遣られてしまった場面とか、碌な場面が無い。それでも、彼を挟んで銅伯と十兵衛が戦うのだから、この人物がやらかしてくれないと話が進まないのだ。輝咲さんの殿は、情けないところが大変コミカルな役作りで、楽しかった。憎めないやん!

<会津藩 芦名七本槍>
芦名銅伯配下のとても勇猛は7人の豪傑をそうして、七本槍と異名を称しているようだ。だが、本作の7人、イケメンなのは良いとして、女に優しいし紳士だし、頭良くないし弱いし、七本槍すぐ折れそう。いや彼らが連携したりしたら、絶対に堀一族の女たちは勝てないから、各個撃破させてあげるとか、仲間がやられても見ているだけで決して手を貸さないとか、簡単に女に斬られる隙を見せてあげるとか、ほんと思いやりの配慮が随所に見えた。
では生き残った順に。

漆戸虹七郎(瀬央 ゆりあ)
七本槍の筆頭という感じで、銅伯の側近に見えた。一番傍にいるよね。一番美しい顔(私の主観)だからお気に入りなのか?娘ゆらの恋人だったし、親娘とも好みのタイプなのかも。
最後は、ラスボスとして十兵衛と戦った。銅伯が倒されても、彼は変わらず銅伯の命令を守ったのだろうか。その後どうやって生きていく気だったのかな。
とにかく、美しい。あの豪華マントは「前田慶次」(壮さん)が来ていたものですよね。懐かしい。

香炉銀四郎(極美 慎)
一番若い、童子のような若衆衣装の青年。顔の真ん中の傷がもったいない。彼だけが代替わりしたばかりって感じ。武家社会の常識もあまりよく分かってないようだし、綺麗だけど他6人に比べ、とびぬけて若いし中身が子供。子供の残酷さをそのまま持ち続けている雰囲気で、サイコパスな雰囲気があった。殿のために可愛い女の子をナンパする役目も担っていた。適材適所だな。最後はあっさり、十兵衛にやられてしまいました。は!彼だけは堀一族の女に殺されてないわ。素人女ではなく剣豪・十兵衛に殺される名誉(?)だけど、その場面は芦名銅伯やゆらが死ぬ場面なので、ほんとついでに殺された感が強くて、死ぬのに見せ場じゃなくて、ちょっと可哀そう。でもゆらを殺してしまったのは彼なので、仕方ない。うっかりにもほどがあるよね。十兵衛に殺さなかったら、銅伯が殺してたね。

司馬一眼房(ひろ香 祐)
香の人かな。唯一力自慢じゃない人だ。でもあまり頭良くない。戦略を使わないという意味で。術を使ってたけど、十兵衛どころか、村娘にも効いてない。そして堀の女たちに取り囲まれて、あっさり殺された。こういう術使いの方は、他の武闘派と組むべきだよね。

鷲ノ巣廉助(綺城 ひか理)
具足丈之進(漣 レイラ)
まず、鷲巣さんは拳法使いということで、力自慢な場面があった。力はあるが、女たちが大勢で降りかかってきたら避けられないようだ。振り切れよ!とか思うが、こういう接近戦オンリーの方も、他の得物持ち(剣とか槍とか)の方を組むべきでは。隙だらけであっさりとやられてしまいました。一緒にいた同僚の参加を自ら止めてたし、同僚も殺されそうになっても見てるだけだったもんね。この七本槍、仲悪すぎ。
綺城さん、髭がお似合いで素敵です。声が高いのがこの役に合わないな~とは思ったけど。背が高くて、体幹が隙だらけになってしまったのが残念だわ。
そして見ていただけでなく、7人で最高の卑怯な手を使ってくれた具足さん。女子供を盾にするとは素晴らしい卑怯ぶり。仲間の窮地は無視、己だけ助かろうとしたけど、十兵衛にかわされ、堀一族に復讐されました。見た目はごつかったのに、なんて卑怯な!と思いました。これぞ悪役ね。

大道寺鉄斎(碧海 さりお)
平賀孫兵衛(天華 えま)
かなり冒頭で、あっさり殺されてしまってびっくり。平賀さんが長槍でしたっけ。二人とも、牢屋の格子を押さえていて身動き取れないとかいう・・。え、何してんの???なんであなた方二人だけ支えているの?閉じてしまえばいいやん?と思いましたわ。そして一人ずつあっさりと囲まれてやられてしまいました。えええ?七本槍弱すぎ!と驚愕した場面。
これなら割と簡単に復讐できそうですね、と十兵衛に語り掛けたくなった。


<会津藩 その他>
堀主水(美稀 千種)
会津で加藤明成に仕えていた重臣。だけど殿があまりに・・・なので、反旗を翻した。でもあっさり反逆罪で一族郎党殺されている。この話はこれだけで一作品作れる背景があると思う(ほかの小説で読んだ)。だが、本作ではあまりにあっさり反逆し処刑されていて、ちょっと浅はかに見えるところがやるせない。美稀さんの外見から、実直そうに見えるので、殿が悪いと思えるものの、ね。その後殿がバカっぷりを見せてくれるのが援護射撃ね(そう思うと輝咲さん凄いわ)。

お千絵 (小桜 ほのか)
堀主水の娘。十兵衛に鍛えられ、堀一族の復讐を誓う娘たちリーダーっぽい。実はこの堀一族の女たち、場面が多いけど、個々での活躍はあまりなく(2人くらい)あまりわからなかった。

天丸(瑠璃 花夏)
卑怯な七本槍に盾にされて殺された3少年の一人。あっさり殺されずに、十兵衛救出の引き金となる姉上への思いを歌いながら、ゆらと虹七郎に見守られて死ぬという場面を持つ重要人物。歌良かったし、可愛いかった。

<江戸城>
千姫【天樹院】 (白妙 なつ)
徳川家康の孫で2代将軍の娘で、現将軍の姉。さらには豊臣の嫁というすごい肩書を持つカタ。最強の女性ではないだろうか。その方に喧嘩を売るとは、会津七本槍も考えが足りない。結局、鎌倉東慶寺というこの方の本拠地に喧嘩を売ったために、十兵衛を引き入れ、芦名一族が滅ぼされるという結果になったのだから。千姫は影の主役っていうくらいの重みをもつ重要人物。白妙さんはその役を全く不足なく、素晴らしい重みで演じていた。威厳だけではなく、己の信念や誇りの高さを感じました。

吉田修理(大輝 真琴)
千姫のお付きのおじいさん。かなり有能な官吏ですね。きちんと千姫を支え、望みどおりにいくよう采配を振るっていたように見えました。とぼけた感じが良い味を出してます。

<鎌倉東慶寺>
天秀尼(有沙 瞳)
秀頼の娘で、豊臣唯一の生き残り。千姫が引き取って鎌倉東慶寺を任せている。その誇りを持ち、千姫の威厳を重んじ、刀を持つ武士相手にも一歩も引かない気概のある女性。

<東海寺>
沢庵和尚(天寿 光希)
十兵衛の師匠で、今回のことを仕組んだ人。かなりの重要人物で出番もセリフも多い。ほとんど2番手?というくらい。だってずっと十兵衛の傍にいて、重要台詞を言うのだもの。
僧形ですが、坊主頭じゃないのね。若いころはあなたも・・!という美形ですが、十兵衛ににも柳生父にも、千姫にも直言できる偉大な人物。彼が弱きになるところを、十兵衛が救うとか、やっぱり盟友。飄々とした雰囲気と軽い物言いが、この話を明るくしてました。

多聞坊(天飛 華音)
沢庵の弟子。十兵衛にあこがれるという坊主にとってはどうかという言動をしている。師よりもさらに明るく軽く、場を和ませてくれてました。


覚えていたのはこのくらい。進行が速いし、話が飛ぶから、やはり予習が必要だったか。


ロマンチック・レビュー
『モアー・ダンディズム!』
作・演出/岡田 敬二  


いつもながらショーの記憶はあまりない。オープニングの大階段は花組を思い出し、頭の中がの真矢みきさんでいっぱいになった。その後も、真矢さんと、凪七さん縣さんが蘇ってきていた。直近に見たのが、雪の凪七さんバウで縣さんが踊っていた場面が多かったからかも。

ダンディズムは、岡田先生の中では私の好きな岡田テイスト。フェアリーなのはあまり好きじゃなくて、ダンディなのが好き。これは(フィナーレの曲以外)結構好きな場面が多かった。好みの岡田テイストで嬉しい。ただ音楽が古いのね、全体にゆっくり・・。

愛月さんはフェアリー岡田テイストのヒラヒラ衣装がお似合いですね。凪七さんの時も思ったけど、似合う人は似合うのだ。

舞空さんから始まる革命のお手紙場面。礼さん舞空さんを中心に踊りまくるこの場面は、何も記憶が蘇らず堪能した。ストーリー性があり、すごく好きな場面。やっはり舞空さんのダンスすごいなあ~って思いました。

娘役さんの場つなぎ場面。あの衣装の色は好き。ちょっと「パッサージュ」を思い出す色。
若手男役の青い貴公子たちから、愛月さんの白い王子様。これも雪バウで見たわ。
愛月さんは王子さまが似合うのね~と心から堪能しました。

そして白黒ストライプのタンゴな場面。瀬央さんと綺城さん頑張って~と手を握る。綺城さんのほうが背が高いのに、ここは逆じゃダメなのか。膝折が・・。
礼さんの歌が最高に素晴らしい。本当にかっこいい。大好きな岡田テイスト場面。

きりっとしたラインダンスがあって、それから赤いラテンな衣装で「テンプテーション」。ここは舞空さんにもガンガンに踊ってほしかった。振付がかっこいいよね。
そして黒燕尾とピンクドレスという正統派衣装での「キャリオカ」。記憶が蘇る場面が続きますね。全場面通して、「礼さんの歌が素晴らしい」と言いたい。

大階段前の3人のダンス。愛月さんが最後までいて、歌い、礼をする。退団なのね・・と思う場面だ。手厚いわ。衣装が青からグレー黒とかっこいい。
大階段は黒燕尾で、正統派。これも素敵。
その前に、瀬央さんの「ラ・パッション」があった。熱唱してらっしゃる・・綺麗ね~
フィナーレも正統派。薔薇のシャンシャンってたまには良いね。

エトワールは有沙さん。ここに来て初めて主題歌が!と驚く。新曲とは思えないゆったりした曲で、ちょっとびっくり。主題歌もダンディズムのままで良かったのでは、と思う。
どこかで見たことのある場面が続き、退団者も、愛月さんへの配慮は感じたが他は特になく。全然知らなくても、「ああこの人たちは退団者なのね」と分かる餞別場面が入るのだけど、今回は感じなかった。岡田先生、知らないのでは・・・?と思うほど、配慮を感じなかった。結構な上級生が退団されるんですよね(と千秋楽を見て思った)。
自作の焼き直しばかりで、今いるジェンヌさんの適材適所かというとそれはスタークラスだけだし、なんだかな。岡田先生も助手をお付けになった方が良いのでは?と思いました。

年末になって、やっと書けた。すぐに書かないと駄目だ~と反省。

nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:演劇

nice! 3

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。