ミュージカル『蜘蛛女のキス』大阪公演 2021.12.18ソワレ・19マチネ 大千穐楽

ミュージカル『蜘蛛女のキス』観劇のため大阪まで遠征してきました(大阪2日目w)。

12月19日のミュージカル『蜘蛛女のキス』大千穐楽を以て、私の2021年舞台観劇は見納めとなります。

前の記事にも書きましたが、大阪公演は4公演「全通」いたしましたw。千穐楽公演以外は後から買い足したのでけっこう後ろの方からの観劇だったのですが、毎回これでもかってくらい涙流しながら観てきました(汗)。特に18日はマチネで相葉くん大楽ソワレで村井くん大阪初日と連続だったので私の感情もかなりハードな状態となり終わった後は抜け殻みたいになってたかもww。
でも、そのくらい私にとってこの作品はとても”大切”な存在で。最後全てを見届けたことに一片の後悔もありません。むしろ感謝しかない。

世の中もまた少しずつ第6波の足音が聞こえてきた状況だったので、カンパニーの皆さんも完走を果たすために様々なことを我慢して公演のために集中してくださったと思います。そんな時代にこの作品と時間を過ごせたことは私にとってのとなりました。逢えて良かった!ありがとうございました。

少し余談となりますが…、千穐楽公演の日は個人的なメンタルを保つのが非常に難しくなるような状況となってしまいました。公演への気持ちとは全く別の、受け入れがたい事実。あまりの衝撃にどういう気持ちで劇場へ向かえばいいのかと混乱したほどでした。
でも、出演している役者仲間の皆さんのほうがもっとこの日に舞台に立つことを戸惑われたのではないかと思います…。

そんな雰囲気のなか、舞台の上と客席とが気持ちを密にして千穐楽公演に向き合ってた。今までとは違う特別な何かを感じるような舞台だった。それだけみんな、彼女を想い特別な気持ちであの場所に存在していたのかもしれません。

個人的な私の気持ちは別の記事に記しました。まだ受け止められない気持ちは大きいけれど、今思うのは、彼女の魂が安らかであるようにということだけです…。哀しみの気持ちを抱きながらそれでも前に進んでいく多くの役者仲間の皆さんや関係者の皆さんをただただ私は応援しています。

以下、ネタバレを含んだ感想です。

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2021.12.18ソワレ・19マチネ 大千穐楽公演 in シアタードラマシティ(大阪・梅田)

主なキャストと、あらすじと概要については12月2日マチネのレポで少し詳しく書いたのでそちらを参照してください。

過去の『蜘蛛女のキス』ネタバレ感想はこちら↓

全体・キャスト感想 1幕

大阪ラスト2回のバレンティンを演じたのは村井良大くんでした。東京では1回しか見れなかったけど、今回2回連続で見て…、彼のバレンティンが本当にとても愛しくて愛しくてたまらなくなったよ。元々とても芝居が繊細で上手いと思ってたけど、さらに進化したなと感じてとても嬉しかった。

そんな村井バレンティンのことも含め、今回はラストなのでさらに細かく振り返ってみたいと思います。個人的にこの作品やキャストカンパニーに対する思い入れがとても深いので、この先けっこう暑苦しい感情が多々出てくると思われます(汗)。これまで感じていながらも表に出してなかった想いとかもほぼ放出(思い出す限り8割以上はw)してるかと。

熱くても(暑くても)くどくてもヘッチャラという心の広い方はよろしければお付き合いください。

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M1. オープニング

冒頭のシーン、人形の”ケメ子”ちゃんを抱いている石丸モリーナと斜め前に横切っていく安蘭さんの蜘蛛女との対比がとても印象的でした。光が十字架のように交差してるのもインパクトあったなぁ。あの時からモリーナの運命が定められてたのかなとも感じる。
この最初の時点ではモリーナは蜘蛛女の存在にものすごく怯えた表情をしてるんですよね。最初と最後のモリーナの彼女に対する反応がまるで違う。

牢獄のなかで囚人たちが叫び声を上げる。あの閉鎖的で暗く荒々しい雰囲気…これぞミュージカル『蜘蛛女のキス』だよ!!と最初に見た時ものすごくテンションが上がったのを思い出します。残酷な現実をしっかり見せてこそ、この作品は本当に輝くと私は思う。

村井バレンティンは連行されてくるときオオカミのような鋭い目をしてた。相葉バレンティンもゾクっとするほどギラギラした目をしてたし、二人とも本当に最初の表現から素晴らしかったな。
舞台の下手上からいつも見下ろしてる鶴見辰吾さん演じる所長がバレンティンの囚人番号を告げた時、後ろにいた囚人たちが冷やかしてて…、その中の一人(佐々木誠さんだったかな)が口笛吹いてニマニマしてたの好きでした。

M2. オーロラ

酷い拷問を受けてモリーナの同室に放り込まれるバレンティン。村井くんは舞台上に体全体でベチャっと這いつくばるように倒れてたのがとても印象的だった。相葉くんはちょっと階段を少し使って転がってたんだけど、村井くんはもうそのまま倒れ込んだ感じ。毎回、めっちゃ痛そう…(汗)と思いながら見てました。

激しく痛めつけられた状態のバレンティンの姿にモリーナは「ここまでする!?」と恐怖に襲われるんですが、回数を重ねるごとに石丸モリーナがめちゃめちゃ女性っぽい言い方になってたな。っていうか石丸さんに見える瞬間が一度もないほどモリーナと同化してるように見えた。これ、本当にすごいことだと思います。あそこまで役に溶け込んでる石丸さん見たの初めてだったかもしれない。

モリーナは現実逃避するために大好きなオーロラの映画を必死に思い出そうとする。そしてナンバーが始まるわけですが、後ろにはモリーナが記憶してるオーロラの映画の映像が流れてたんですよね。そしてそのスクリーンの後ろにそれと同じくバスタブに入りご機嫌な安蘭オーロラの姿が見えてくる。ここの演出がとても分かりやすくて個人的にとても気に入っていました。日澤さんは映像の使い方がとても上手いと思います。

オーロラがモリーナの近くまでやってきたところでモリーナがオーロラのいた場所にチェンジしていくのも好きだったなぁ。現実と妄想が逆転した感覚。しかも、上からオーロラとダンサーが踊っているのを見てる時の石丸モリーナはめちゃめちゃ色っぽかった。オーロラになり切ってる感じ。
あと、ダンサーはモリーナ好みの男性という設定だったらしいので、彼らが離れていくと途端に石丸モリーナが不安そうな表情をしてしまうのも印象深かった。

最後オーロラが去る時のドレスのヒラヒラは千穐楽ではかなり綺麗にパァっと広がっていたと思います。あれ、魅せ方けっこう難しかったと思う。

モリーナによるオーロラの妄想はバレンティンの苦しそうな呻き声で途絶えてしまう。村井バレンティンの苦しみ方が本当にリアルで痛々しい。そんな彼に謝りながらモリーナは一生懸命介抱する。この時の「私にはお友達が必要なの。信じてくれていいのよ」というモリーナのセリフと表情は切羽詰まった心境が垣間見えて印象的でした。

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M3. 嘆きの壁1

他の牢獄の中の囚人たちが壁の向こうに想いを馳せながら歌うシーン。初演と再演では女性の表現がけっこう大胆に歌われてた記憶があるのですが(今回もそこそこ大胆でしたがたぶんそれ以上だったと思うw)、囚人役の皆さんの歌声の迫力がすごくていつも圧倒されてました。

そんななか、一番最後にアカペラで一人の囚人が「また会えるのかな、あの子に」と歌うシーンは何度見ても切なくて泣けます…。ここだけとても儚く切なく歌われるんですよね…。

そんな彼らの上部を蜘蛛女が怪しく歌いながら横切っていく。今回改めて思ったけど、オーロラと蜘蛛女の切り替えって難しかっただろうなぁと。衣装替えも多いしキャラも全く違う。安蘭さんはそこをいともサラリと見事に演じ分けてしまうから本当にすごいと思った。

M4. ブルーブラッド

モリーナがバレンティンの気を惹こうとオーロラのポスターを見せびらかしながらあれやこれや歌いまくってるんだけど、バレンティンはマルクスの本を読みたいのでそれが煩わしくて仕方ない。

ここのバレンティンの反応、相葉くんは無視を決め込もうと必死になってたけど村井くんはけっこう最初の時点で「何言ってんだ?」みたいにモリーナの話に耳を傾ける姿勢を見せてたんですよね。で、聞いてはみたものの全く自分と関わりないことだと分かると興味を失って「地獄に落ちろ!」と低い声で威嚇。ここの演じ方の違いがとても面白かった。

それでもモリーナが拗ねたように「感謝しない人っているのよね」とさらにチョッカイ出そうとしてきてついにキレちゃうバレンティン。大阪で観たときの村井バレンティン、めっちゃ怒ってたなぁ~。噛みつかんばかりの勢いだったよw。

M5. ドレスアップ/一線を引く

この作品の中で特に好きな場面のひとつ。

モリーナはどうしても自分のことを知ってほしくて有名店のショーウィンドウの飾りつけの仕事をしていたことを話し始める。自分はとても優秀だったことを分かってほしいあまり、後ろ向きで本を読んでるバレンティンの背中をコショコショっとくすぐるような仕草をして無理やり振り向かせてた石丸モリーナが毎回ツボでした。それに背中がゾワゾワっとさせられて思わず振り向いてしまうバレンティンとの攻防が可愛くてねぇ。最高に萌えてたw。

面白いのは、村井バレンティンが♪ドレスアップ♪の歌の最初の部分だけをジーっと見てたこと。相葉バレンティンは最初から全く興味なさげにしてるんだけどw、村井バレンティンは一応最初は聴く姿勢を見せてた。人の話はちゃんと聞く誠実なキャラだなぁと思って注目してしまいました。さわりだけ見た後は「くだらねぇ」って感じですぐベッドに転がっちゃうんですけどね(笑)。

石丸モリーナのこの場面の弾けっぷりは本当に魅力的で、回を増すごとに乙女度がパワーアップして行って面白かったです。特に「ねぇ、ブラウス派手にしてぇ!」と妄想の中のダンサーさんにリクエストしてたのが可愛くて(笑)。で、興奮するとだんだん声にドスが効いてくるところも最高ww。石丸さんってこんなコミカルで柔軟な表現できるんだなぁと毎回感動しておりました。っていうか、目の前で歌って踊ってるのは石丸さん…じゃなくてモリーナにしか見えなかったし!
♪ドレスアップ♪は軽快で楽しい旋律もいいんですよねぇ。ライトで明るくて最高のナンバー。楽しんでないのはバレンティンだけ(笑)。

♪一線を引く♪は村井くん、またちょっと歌唱力上がったんじゃない!?と驚いた。彼はどちらかというと”芝居の歌い方”をするタイプだと思って見てきたんですけど、今回すごくきれいに声が伸びてたしスコーンと響き渡るハッキリとした声がとても聴き心地よくて最高でした。
それにしても、村井バレンティンのイライラ顔はほんっとに可愛かったよなぁ。雰囲気は硬派で相葉くんみたいに怒鳴り気味になるタイプじゃないんだけど、モリーナに翻弄されてついクワッと興奮しちゃうところがたまらなく萌えたw。

一線引かれた後の石丸モリーナの反応も面白かった!「のど乾いちゃった~」って水飲みに行ったりちょいちょい片足を出したり入れたり、日によってチョッカイの出し方のバリエーションがあったのが笑えましたww。

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なかなかバレンティンが自分に興味を持ってくれないことでモリーナはふざけて看守を呼ぶリアクションしてしまうものの、本当に来てしまって万事休す(汗)。このシーンの時の二人の看守の見下し態度と恫喝がホント最悪なんですが、特にマルコスさんの威嚇はめちゃめちゃ怖かったですね(個人的にはオーロラのポスターぴりぴり破るところがめっちゃビビった 汗)。彼の発する言葉の強さと残虐さは見ていて震え上がるレベル。エステバンさんはひたすらゲスく。この二人のコンビが最低最悪最高でした(褒めてますw)。

バレンティンはモリーナが言いなりになっていることに苛立ちを隠せないんですが、村井くんは”信じられない”というような疑いと冷めた目線を送ってたのがとても印象的だったな。

平然としながら自分のことをクズだと自覚するモリーナに、バレンティンの苛立ちがピークに達するのですが「気が狂うっ!!」の村井くんの言い方がめちゃめちゃツボだった。内側から絞り出すような声出してたよなぁ。
そんな彼にモリーナは自分の大切な人のことを思えばいいとアドバイス。マルタに思わず助けを求めてしまうバレンティンのか細い歌声には胸が本当に痛んだし、母親のことを思い出すモリーナの寂しそうな眼差しも本当に泣けました…。

M6. 愛しい人(Dear One)

このナンバーはずっと「Dear One」として覚えていたので最後まで日本語タイトルにちょっと違和感持ってたんですけど(汗)、どちらにしても、本当に、何度も言うようだけど、名曲中の名曲です。全部で7回通ったけど、7回とも大号泣だった…。

モリーナは母親を、バレンティンは思いを寄せているマルタを感じながら歌う。旋律がとても優しくて温かいし、ドラマチックなんですよね。特に最後の4人の歌声が同時に重なるところはもう、心が震えまくって滂沱の涙を流しておりました…。何度でも聞きたい名曲です。

M7.  嘆きの壁2

♪愛しい人♪を歌い終わった後の村井バレンティン、ベッドの上でガックリと頭を垂れてしばらく動かないんですよね。これが本当に泣けました(涙)。全身からひしひしと彼の絶望感が伝わってくるようでした。

モリーナが呼ばれて所長に面会へ行く場面も印象的でした。出ていくときにモリーナとバレンティンは視線を合わせるんですが、二人ともこの時はすごく冷めたような軽蔑した感情を出してる。ここを記憶しておくと、後半の哀しさが浮き彫りになるんですよね…。

壁に穴をあけて脱走した囚人が最後に発見されて悲劇を迎えるシーン。初演の時に巨大な格子をよじ登って行くなかで息絶えた場面が記憶にあるので、今回の壁は少し小ぶりかなぁなんて思うこともあったw。でも、息絶えた囚人の傍に蜘蛛女が手ぐすね引いてやって来て彼を喰わんとする勢いで乗り出す演出はすごく迫力があってよかったと思います。

シーンが変わると、モリーナとバレンティンの関係が少し変化してるのがわかる。鬱陶しいと感じながらもバレンティンはモリーナにあまり拒絶反応を見せなくなってるので、嬉しくなった石丸モリーナが嬉々としながら自分の家族のことや映画のことを語ってるのがめちゃめちゃ可愛らしかった。村井バレンティンもここからけっこうちゃんと彼の話に耳を傾けるようになってた気がします。このタイミングは相葉くんの時よりやはり早めだったなという印象。

途中で囚人の叫び声が聞こえてきてバレンティンは不安を感じてしまうんだけど、モリーナは構わず「彼女の全部映画だぁいすき!」と興奮気味に話してる。でもそのなかで恐ろしいと感じた『蜘蛛女』の話題になると、急に声のトーンが低く怯えたような口調になってた石丸モリーナ。村井バレンティンがその変化にドキっとしたように思わず惹きつけられてたのがとても印象的でした。

恐怖と不安でいら立ちが募るバレンティンにモリーナは「マルタ」の名前を出して彼をからかいます。モリーナが彼女の名前を知っていることにビビった村井バレンティンが動揺しまくってる姿はめちゃめちゃ可愛かったですw。特に寝言で言ってたと聞いた後の反応が最高でしたね。
さらにオチョくられると、硬派な雰囲気が吹き飛んでムキになってモリーナを突き飛ばしてた村井バレンティンw。彼はどちらかというと感情を内に抑えながらメラメラするタイプだったので、たまにこういう感情爆発のような動揺した姿を見るとものすごく愛しく思ってしまいましたw。

あと、モリーナがバレンティンに「バリケードに突撃していくような男はごめん被ります!」とバカにする場面があるんですが、いつもは石丸モリーナ、レミゼの赤い旗を想像させるような動きを見せていたのに千穐楽では猛牛のようなリアクションしてましたねw。相葉くんには最後まで旗振りだったのは、やっぱり彼がアンジョルラス演じてたからでしょうか(笑)。村井くんに対しては旗じゃなくて猪突猛進の牛みたいなリアクションに変わってたの面白かったw。

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M8.  夢の中なら

モリーナはバレンティンに地獄のような日々をやり過ごすための”アドバイス”を歌います。ここでとても印象深かったのは、モリーナとオーロラが見事にリンクして見えたこと。オーロラのシーンは基本的にすべてモリーナの妄想の中だけに存在することなので、ここで一体化して見えるのはすごい説得力があって良かったです。

この場面はなんと言っても安蘭けいさんが宝塚の男役トップスターに戻ったかのような煌びやかで真っ白なスーツで登場してくることでしょう!メイクもそれっぽかったしね(私は実際のヅカ時代の安蘭さんは見たことないんですがw)。大阪公演の時には安蘭オーロラが現れたときに拍手が沸き起こったくらいインパクト絶大でした。
こういうシーンで宝塚っぽさを出してくることは私は全然OKなんですよね。10年前は色々と…(略)。

そしてやっぱり私はこの場面ではモリーナとバレンティンの動きにも注目してしまう。ずっとモリーナの話をまともに聞かなかったバレンティンが、このシーンの時に初めてその世界観の中に飛び込むんですよね。この間モリーナはずっとオーロラと同じ歌を同時に口ずさみながらダンサーたちと同じリアクションをしてるので、目の前の世界が彼の妄想の華やかな場所なんだということが伝わってきた。
個人的にはベッドから降ろされたバレンティンがモリーナから指ピストルで連射されて訳も分からないうちに「ウワァ」となっちゃうシーンが好きw。ここは村井くんも相葉くんもめちゃめちゃ可愛らしかった。

それから、村井バレンティンは東京で観たときほとんど笑顔が見えなかったんだけど、大阪で観たら少し表情が柔らかくなっててモリーナの映画の世界に取り込まれてる感が出てた気がしました。相葉くんよりは翻弄されてないんだけどw、オーロラとダンサーに囲まれた後の「ほわぁ」なフニャ顔は最高だった(笑)。
ラストはモリーナとバレンティンがダンサーさんたちとラインダンス踊るんですが、村井バレンティンは「俺はいいよ!」ってめっちゃ遠慮しまくってたのにいつの間にかラインに加えられて戸惑いながら一緒に交じってくんですよね(笑)。あれも萌えたなぁ~~w。

といいつつ、このナンバーもモリーナとバレンティンが楽しんでオーロラの世界に同化してるのを見て涙止まらなくなっちゃうんですけどね。

その直後に看守が拷問受けた囚人をバレンティンの前に連れてくるのですが、村井バレンティンはクールな雰囲気で「会ったこともない」と告げる。知ってる人なのに知らないと言わなければならない状況で、村井くんはそれを感づかせないような言い方してたのがとても印象的だった(相葉くんはちょっと動揺が見え隠れするんだよね)。
でも、彼らの姿が見えなくなったとたんに抑えていた恐怖の感情がこみ上げてきて不安のどん底に叩き落される。この感情の落差の芝居が村井くん、本当に絶妙でした。

このあとモリーナはバレンティンを励まそうとして心無いことを口走ってしまうのですが、そんな彼に食って掛かる村井バレンティンの背中はとても哀しかった…。恐怖と不安で泣きそうになりながらモリーナを責め、そこからの「俺を見ろ、震えてる…。お前と同じ哀れなクズだ」のときの悲壮感溢れる芝居は今でも忘れることができないほど切なくて…あれはホント泣きました(涙)。

所長とアムネスティインターナショナルの国際人権団体の職員が話す場面。所長役の鶴見さんはこの時ようやく歩く芝居になって、よかったなぁなんて思いながら見てましたw。ちなみに、”アムネスティインターナショナル”はこの作品の初演を観たときに初めてその存在を知りました。

M9.  嘆きの壁3(マルタ)

この場面も『蜘蛛女~』の中で激しく心揺さぶられるところです。めちゃめちゃ切ない…の極致みたいなナンバー。

バレンティンに口を割らせるために狭い牢獄に大勢をすし詰めにして数日間立たせっぱなしというあり得ない拷問が実行される。相葉バレンティンは苦しそうにしながらひたすらそれに耐えてたけど、村井バレンティンは感情をどこかに置いてきたような呆然自失の表情を浮かべていて、目だけが哀しみに揺れてる感じだった…。
文句言ってくる囚人に対してはクワッと闘争心を露にするんだけど、すぐにスイッチが切れてしまう感じ…。あの姿見ただけでもう、号泣しかない(涙)。彼がどんなに心理的極限状態にあるのかが一目瞭然だった…。このあたりの繊細な表現も村井くん最高でした。

途中で後ろの囚人が死んでしまったことに気が付いた時の反応、相葉バレンティンはひたすら怯えてたけど、村井バレンティンは衝撃を受けながらも恐ろしいという感情を内に閉じ込めたような表情してましたね。そんな彼を石丸モリーナがとても切なく見つめてて…。

またこの♪マルタ♪のナンバーが最高に美しくて儚くて切ないんですよ(涙)。あの音楽が流れるだけで無条件で涙止まらなくなるレベル…。村井くんはここはセリフを語るようにとても丁寧に歌っていたのがとても印象的でした。
歌がクライマックスにかかった時にバレンティンが思わず隣のモリーナの手をぎゅっと握る。これは本当に毎回泣かされました。あれ、無意識に手を握ってるからなおさら泣けるんですよね…。そして、マルタが抱きしめに来ることはあり得ないと最後に諦めたように歌う時にその手を離してて…あれを泣かずに見られるかと(涙)。

そして、石丸モリーナはバレンティンに無意識に握られた手を愛しそうに見つめながらそれを自分の頬に当ててひっそり涙ぐみながら彼を想ってる…。これがまた泣けて仕方なかった(涙)。石丸モリーナにとって村井バレンティンは憧れの対象からの恋愛って感じだったかな。ゆっくり穏やかに愛情が芽生えていく印象があった。相葉バレンティンに対しては彼に愛されたい欲が強くて積極的に接してた気がします。

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M10.  尋問

モリーナが所長からバレンティンの隠している秘密を聞き出せたか尋ねられる場面。所長さんはこの時もずっと下手上から見下ろしててモリーナとの距離がすごくあるんですがw、感情を押さえつつ残酷に真相を突き止めようとする言動はゾクっとするほど恐ろしかったです。

モリーナを怯えさせるためにその後ろで違う囚人が恐ろしい拷問を受けているのですが、さらにその後ろに大階段状のてっぺんで蜘蛛女が手ぐすね引いて待っている。この三つ巴のドラマの見せ方がとても刺激的でした。
個人的には、所長から「寝言も耳をそばだてて聞け」と言われたモリーナが「夜は私だって寝てるんだからわかりません」と口答えするシーンが地味に好きでしたw。

そしてまた、看守マルコスの拷問が恐ろしいんですよ(汗)。自分が分からなくなるくらい夢中になって打ち付けてて、終わった後に肩で息をしてる。その後ろで看守エステバンがヘラヘラしてるという本当に恐ろしい世界。でも、こういう残酷なシーンがこの作品には必要なんだということが今回身に沁みてよく分かりました。これがあってこそ、オーロラのシーンが輝く。
息絶えた囚人がゾンビのように立ち上がり蜘蛛女の元へ必死に階段を上り、辿り着いた後蜘蛛女が笑みを浮かべながら食いつくようにキスをする。ここの安蘭さんの芝居がめちゃめちゃ迫力ありました!

このあと、拷問を受けたバレンティンを他の囚人に見せしめとして連れまわすマルコスとエステバンのシーンが出てくるんですが、この中でひたすら敵意を剥き出しにしてる囚人さんがとても印象深かったです。あと、光の使い方も恐怖心を煽るような雰囲気になってるのがよかった。初演の時もこんな殺伐とした雰囲気だったなぁというのを思い出しました。

モリーナはベッドに横になり”ケメ子”ちゃんを抱きしめながら必死にオーロラの歌を何度も口ずさんでいる。恐怖心のあまり、あの石丸さんが音程外して歌う瞬間もあって、それがめちゃめちゃリアルでした。

M11.  愛は奇跡

拷問によりあまりにも無残な姿で戻されたバレンティンを見て大きなショックを受けるモリーナ。この時も村井バレンティンは体全体から舞台の上にバタッと倒れてたな…。あれがまたすごくリアルに見えてしまってとても痛々しかったし、モリーナのショックがより浮き彫りになってるように感じました。

「どうしてこんなに耐えられるの!?」と恐怖に震えているところに、オーロラがやってくる。この時のオーロラは”役”じゃなくて”女優・オーロラ”としてモリーナに寄り添うのがすごく良い。ついさっきまで囚人に無慈悲に絡みついていった蜘蛛女とは思えないような慈愛に満ちた優しさを表現してた安蘭さん、本当にすごいなと毎回感動しておりました。
「バカだね、愛の力だよ」とモリーナをあやすように告げる言葉のなんと柔らかく優しかったことか!!あれだけでもめちゃめちゃ泣けるし、モリーナが正気を取り戻すのもすごく納得できました。

モリーナはかいがいしくバレンティンの傷の手当てをしていて、それをオーロラが優しく見守りながら「愛は奇跡」と歌う。石丸モリーナは愛しさが募って村井バレンティンをそっと抱きしめるんですが…これがまたとてつもない母性愛が滲み出ていてめちゃめちゃ泣いた(涙)。
でも、曲が転調した時、モリーナはマルタの幻影を見てしまうんですよね。その時、石丸モリーナはとても哀しそうな眼をしながらそっと彼女にその場を譲る。これも毎回切なすぎて号泣…。オーロラに寄り添われながら幻想の中のマルタの腕に抱かれ眠るバレンティンを見つめる石丸モリーナの表情が本当に切なくて哀しかったです。

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食事の時間、石丸モリーナは自分の名前が呼ばれるとめっちゃ乙女な喜び方していそいそと食事に準備始めててそれがめちゃめちゃ可愛くて萌えました(笑)。

ふたりの食事の量は雲泥の差。モリーナはその理由を知っているのでなんとかバレンティンに多い方を食べさせようとするのですが、なかなかうまくいかない。この攻防が毎回とても面白かったんですが、モリーナは母親の体調のことでも脅されてるので愛する人が不利に陥るような行動をせざるを得ない哀しさがあるんですよね…。

村井バレンティンは少ない方を力づくでゲットした後ドヤ顔して食べ始めるんですが、スプーンの使い方は相葉くんほどガッツリいってなかったのが面白かったですw。逞しく食べてるんだけど、リアクションは意外と地味(笑)。
ここで面白いのが、モリーナがチビチビ食べる場面。「ガッツリ食えよ!」と指摘された後、一度はガバッと取るんだけど、そのあと気づかれないように殆ど皿に落として少量だけ口に入れる(しかもバレンティンにバレバレww)。この時の石丸モリーナの乙女な食べ方も本当に可愛かったわ~~。あんなプリティな石丸さん、初めて見たかもw。新たな発見です。

食事の最中にモリーナはニマニマしながらバレンティンの女性関係を聞き出そうとするんですが、この時点ではまだガードが堅いw。逆にバレンティンがモリーナの「お仲間」関係について尋ねるんですけど、この時の聞き方が村井くん、けっこうニマァとした感じで言ってて思わず吹いちゃったよww。
モリーナの想い人のガブリエルのことを聞いた時の「~したことないのか!?」っていう言い方もめっちゃふざけた感じでwww。でも以前とは違ってかなりリラックスしてモリーナの懐に入ってきたなというのは感じる。ぶっきらぼう的だった相葉くんとは違う穏やかな雰囲気があって、そこも面白かったです。

M12.  ガブリエルの手紙

モリーナは妄想のなかで無実だと信じると手紙を書いてきてくれたガブリエルの優しさに触れる。このナンバーも温かさと優しさに包まれてて本当に感動的なんだけど、妄想の中の…っていう設定が泣けるんですよね。
モリーナはガブリエルに恥ずかしそうに「バレエのチケットがあるんだけど一緒に行かない?」と優しく尋ねるんですけど、ガブリエルは「君の想いに応えられそうにない、ごめん」と謝っている。一緒に行けないと分かったときの石丸モリーナの哀しげに揺れた瞳がとても印象的。この場面は何回みても涙涙でした。でもその直後に腹痛に襲われてしまう。

寝込んでしまったモリーナを少し気にしつつ、バレンティンはモリーナから尋ねられた「最初の女」について思い出している。毎回思ってたけど、砂利道で云々…ってくだりの歌詞、傷だらけ状態じゃなかったのかと要らぬ心配してしまった(←コラw)。

この場面はなんと言ってもバレンティンとガブリエルとのデュエットの美しさ。これがまた心に沁みるんだよなぁ…。ガブリエルはひたすらモリーナに謝ってて、バレンティンは最初の女を思い出してちょっと苦笑い状態。このチグハグなところもこのナンバーの面白い魅力の一つだなぁと思いながら聞いてました。

激痛に苦しむモリーナにバレンティンは「深呼吸してみろ」と呆れ気味にアドバイスするんですが「できない、怖い」と怯えながら地面をはいつくばってる石丸モリーナが子供のようでとても小さく見えた。この時点でバレンティンはあまり重く捉えていないんだけど、村井くんはしっかりモリーナに向き合いながら「どうすればいいか言ってくれ」と言葉をかけていたのがとても印象深かったです。彼が常に誠実に人と向き合おうとしていることがひしひしと伝わってくる。
いよいよ苦しみが激しくなったモリーナを見たときには大きく動揺して必死に看守を呼んで叫んでたなぁ、村井バレンティン。あの余裕を失ったような演技が秀逸だった。

M14. モルヒネタンゴ

これは初演を観たときからすごく強烈なインパクトとして記憶に残ってたんですが、あの時の光景とほぼ同じシーンになっていてなんだかちょっと胸躍りましたね。ライティングも旋律もすごい妖しげなんですが、なぜか惹きつけられてしまう不思議なナンバーだと思います。

個人的には、介護してるお兄さんたちに囲まれて「ぽわぁっ」って感じで嬉しそうに微笑んでる石丸モリーナの表情が超ツボでした(笑)。あと、そんなモリーナに介護ダンサーズが釘を打つようにブスブスとモルヒネを打ちまくる仕草をしていたのもすごく面白かったw。あんなんやられたら、普通死んじゃうだろうっていつも思ってたww。

M14A. 恥だなんて

朦朧とした意識のなかでモリーナは母親の幻影を見る。「ママ、私死ぬの?」と尋ねる石丸モリーナは幼い少年のように無垢だった…。そんな彼に香寿ママは「ポンポン痛い痛いくらいで死ぬもんですか!」と諭すんですが、この言い方が実にチャーミングで可愛かったですね。久しぶりに”ポンポン痛い”ってフレーズ聞いたような気がしますw。

モリーナは母親に自分が女性を愛せないことで迷惑をかけているのではないかと考えていて、哀しそうに「私って恥さらしよね…」と呟いてしまう。そんな息子に母は「恥さらしというのは思いやりがないことをする人のことを言うのよ」と優しく諭して”恥なんて思ったことは一度もない”と歌うんですよね。この香寿ママの無償の愛を感じさせる優しい穏やかな愛情たっぷりの歌いっぷりに何度も何度も涙させられてきました(泣)。特に最後の「私の誇り」というフレーズが泣けて泣けて仕方なかったです…。
香寿さんは今まで私が見てきたモリーナ母よりも若い女優さんだったので、最初は親子というよりも姉と弟かなと思わなくもなかったのですが、大阪公演ではもう親子にしか見えませんでした。

M14B. 訪問

愛するお母さんと入れ違いに入ってくるのがモリーナが忌み嫌う蜘蛛女。直前までの優しい温かい雰囲気が彼女が登場したとたんに緊張感のあるゾクゾクする空気に変わるのを感じました。安蘭さんの蜘蛛女の存在、本当に恐るべし!!

前にも書きましたが、このシーンで一番印象的なのが逃げ回っていたモリーナが一時だけ蜘蛛女と気持ちを重ねるところです。「いつかあなたも私にキスをする」と歌うくだりのところで、蜘蛛女とモリーナが同じリアクションをするんですよね。この時石丸モリーナは恍惚の表情を浮かべてうっとりしてる。それを見たときに、彼は最後にはそれを受け入れるんだろうなという予感がひしひしと伝わってきた。
去り際に安蘭蜘蛛女が「でもまだ今じゃない」と歌いながら去っていくシーンもすごく色っぽくてカッコよかった。

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診療所からフワフワしながら帰ってくるモリーナを、村井バレンティンは檻の間から首を出しながら待ってましたね。バレンティンはモリーナがいない間ずっと食事を与えられていないのでクラクラ状態なのですが、モリーナのことは本当に心配していたようで気遣っている様子がその演技から感じられました。

その後看守からバカにされながら食事を出されるバレンティンは、空腹のあまりそれに疑うことなく飛びついてしまう。飛びつく直前に看守たちに「くたばれ!」と叫ぶ村井バレンティンの悔し泣きしそうな声が本当に辛くてねぇ…。プライドかなぐり捨てて食事に飛びつく自分を情けないと思いながらもそうせずにはいられないといったせめぎあいが感じられて泣いた…。

食べ物を食べて少し落ち着いたバレンティンはモリーナと他愛もない会話をする。寂しかったかと聞かれて「正直…あぁ」ってぶっきらぼうに答えるあの村井くんの言い方がめっちゃツボだった。悔しいけど認めざるを得ない、みたいな気持ちがダダ洩れてたよw。

革命の話になっても、バレンティンはもうモリーナに語ることを苦に感じていない。マルタと絡めた話を始める前に「もう言っちゃおうか」と呟く村井バレンティンもすごく良かった。自然な流れであの言葉が口をついたことが伝わるんですよねぇ。やっぱり彼は演技派だなぁと思いました。
マルタについて語りだすバレンティン。「ゴリザが憎めというものをすべて持っている、それがマルタだ」というセリフを飲み込むのに村井くんはかなり時間がかかったと特典トークで語っていたけれど、彼が発している言葉に私は一度も違和感を覚えたことはありませんでした。それだけ時間をかけて理解したからこその言葉だったんだろうなぁと思いながら見ていました。

そして、バレンティンの人生を変えた”アルベルト・ゴリザ”の名前が出て来た時、モリーナが「立派な人よね」と意外な反応を見せる。その瞬間、村井バレンティンの目の色がガラリと変わったのを感じました。モリーナが自分と同じ考えを持っていると分かって一気に見る目が変わる感じ。そこから夢中になってゴリザの演説を聞いて人生が変わり逮捕される前までの出来事をまくしたてる流れが実に自然でした。
でも、モリーナは所長からバレンティンの情報を聞き出すよう秘密指令を受けてるから彼の話はなるべく耳に入れたくない。この時の苦しみを想うととても切ない。

無我夢中で革命の話をしていたバレンティンですが、突然の激しい腹痛に襲われて倒れこんでしまい屈辱的な事態に陥ってしまう。でもモリーナはそれを聞いても全く動揺せずにすぐに世話の準備にかかる。このシーンは初演の時に観たときからすごく印象に残ってて…。石丸モリーナもあの時の市村さんと同じ…というか、それ以上の母性や愛情を感じさせてくれました。

世話をされている時の村井バレンティンは相葉くんよりも口数が多いのが印象的。ズボンのベルトの位置をモリーナに教えたりとかもしてました。あと、新しいズボンに履き替える時に石丸モリーナが「私ので大丈夫かしら」みたいなことを呟いた時「何でもいい」って答えたのも印象的だったな。
このシーンの時のバレンティンの問いかけに答えたモリーナのセリフが公演が始まってからすぐ変更されたとのこと。これに関して特典トークの時に村井くんが自宅でリアクション付きで相葉くんに状況を教えてたって語ってたのをいつも思い出してちょとクスっとなってましたw。

M15. 彼女は女

着替えた後、バレンティンは朦朧としながらもモリーナに感謝する。「男なのに優しいよな」っていう村井バレンティンのセリフがとても優しくてねぇ…。あの言葉に全く嘘がないと思えるだけに気を失う直前に「マルタ」と口走ってしまうのが本当に切なかった(涙)。
そして、そんな彼を寂しげに見つめてる石丸モリーナもめちゃめちゃ泣けました…。この流れから♪彼女は女♪が入ってくるからなおさら(涙)。

モリーナはもしも自分が女性だったらと想いを馳せながら歌うんですけど…、このナンバーも本当に何度聴いても胸がこれでもかってくらい震えてしまって涙が止まりませんでした(泣)。バレンティンに愛されてるマルタを想像して「彼女はラッキー」と歌い上げる石丸モリーナは涙無くしては見れなかった…。

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モリーナは所長に脅されながらもなんとか誤魔化そうと必死になっている。それでもやはり母親のことを引き合いに出されると辛い。二人の愛する人の間で苦しむモリーナが切なすぎ(涙)。

そんななか、モリーナはバレンティンに忍び寄ろうとする蜘蛛女の姿を見る。必死に彼女を遠ざけようと枕を投げたりするんですが、”ケメ子”ちゃんだけは寸でのところで思い止まるのがちょっとかわいいw。
再び悶え苦しみ診療所へ連れて行ってほしいと訴えるバレンティンをモリーナは「モルヒネ打たれて全部白状させられてしまう!」と必死に説得。その言葉に村井バレンティンはこの痛みに耐えなければと苦しみながらも覚悟を決めたように見えました。

M16. 愛し合おう

死んでしまいそうなくらい苦しい痛みのなかで、バレンティンは必死にオーロラの映画の一場面を思い出す。モリーナはそれが「鳥の楽園」と察するんですが、タイトルを聞いた瞬間に村井バレンティンが「それだ!」みたいなちょっと身を乗り出すようなリアクションをしていたのも印象深かったですね。芝居がとにかく細かいので見応えあるんだよね、村井くん。

すると舞台全体がジャングルの緑色に染まってダンサーたちが勢いよく飛び込み、後ろから羽根を持ってリズムに乗りながら楽しげに踊り歌うオーロラが登場。これがまた最高にカッコイイ!サンバのリズムも最高だし、本当に色々と盛り上がる大好きな場面です。

大阪では全公演ここで手拍子が起こっていて盛り上がっていたこともあってか、石丸モリーナが超ノリノリで手をぱちぱち鳴らしながらはしゃいでたのがすごく可愛かった。でも、映画の世界に自分だけ没入するのではなくて、ちょいちょいバレンティンに「ほら、こういうリアクションして!」みたいに合図して彼の苦痛を和らげようと必死になってるんですよね。
この時村井バレンティンすごく必死に映画の世界へ入ろうとしてるんですけど、”ハッスルハッスル”みたいなリアクションしたときに耐えきれない吐き気に襲われてリバースしちゃう。それが2度あったかな。でも自分の脇腹を必死に叩いて映画の世界に溶け込もうと頑張ってて…その努力を見てると本当に涙があふれて仕方なかったです(泣)。

このシーンは相葉くんの時にもボロ泣きしたんだけど、村井くんの時もゴーゴー泣いてしまった。基本的にショー的な要素が高い場面なので決して涙するような場面じゃないんですけど(むしろ手拍子しながら楽しむシーン)、私はどうしてもこみ上げちゃうんですよねぇ…。
他のお客さんとは全く違う反応してるので、ここはできれば知り合いに見られたくない(笑)。

最後に看守が様子を見に来た時、石丸モリーナに支えられて何とか立ち上がった村井バレンティンは平然を装う。「何でもない」の言い方が本当に普通っぽくて、あれだったら看守が諦めて行っちゃうのも分かるというレベル。彼らがいなくなったとたん、崩れ落ちるように倒れてしまう姿が痛々しくてたまりませんでした(涙)。

長くなりすぎたので2幕感想は次のページにて。

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