日系大手企業からイノベーションが生まれない理由 | 丸珍甘党(とあるIT屋の徒然日記)

丸珍甘党(とあるIT屋の徒然日記)

東京在住、IT企業勤務。
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飽きっぽく、三日坊主。浅く広くが信条。

最近、コロナの影響なのかジョブ型雇用などという噴飯物の言葉がビジネス界で流行っております。本記事ではことさらジョブ型の定義を説明しませんが、要は「仕事の定義を明確化して、それに基づいて社員を雇用する」という何とも当たり前な内容を今まで怠ってきたが故に、今更「ジョブ型」という言葉を造ってバズらせてるわけですね。

従来の日本企業はメンバーシップ型(笑)雇用と呼ばれ、言ってみれば「仕事の内容を明記しない、社員ひとりひとりの責任や業務分担を明確化しないで、何事も全員一丸で鉄砲玉になって挑みなさい」的な感じだったわけです。

事業の意思決定は会議の雰囲気(データに頼らず声の大きい人に流される)で決める。物事を定量化しない。経験がない仕事はよく分からないからやりたくない。前列のない事をやって失敗して責任を取りたくない、という思考に陥る。

イノベーションというのは、つまり前列のない仕事です。誰もやったことがない仕事で、成功するか失敗するか分からない世界です。日本企業が最も苦手とする領域です。

前列がないため、その仕事を完結するためにどれくらいの人月が必要か、誰も分かりません。当初、数百万円と見積もっていて、蓋を開けたら数億円かかってしまったということも有り得る訳です。こういった「未知」の領域に足を踏み入れることは、やはり日本企業が最も苦手とします。二言目には「それ、勝算あるの?失敗したとき誰が責任取るの?」という言葉が出てくるでしょう。

高い品質を誇る日系自動車メーカーも、もともとは海外製のコピーペーストです。「日本は機械に強い。どんな製品でも小型化、量産化、高品質化する」と自負しますが、要はパクって良品化することに長けてるということです。新しく開発するということは苦手です。

どんな業界でも「勝算はどのくらいあるか」「失敗したときの責任は誰が取るのか」という議論で多くのアイデアが潰されているのが現状ではないでしょうか。

こういった現状の打開策としてPoC(実証実験)などといった言葉を使って、POCを遂行するための専門の部署を作る会社も多いようですが、これもまた前述した「勝算」「責任」に潰されます。「PoCでは上手くいったけど、実際の現場に適用するにはちょっと難しい」とか、PoC予算すらミリミリと管理して毎月予実算報告をしていたり、目的と手段が逆転する現象が発生します。

結局、日本からイノベーションが起きるのは相当に難しい。生真面目な国民性なので、新しいことに挑戦することに向いていない。自動車メーカーであるテスラが宇宙計画を打ち立てるように、ぶっ飛んだアイデアを立てる会社が存在しない。「ダメ元で良いから、とりあえずやってみろ」と胸を張って言える経営者はほとんどいないんではないでしょうか。