序破急

片足棺桶に突っ込みながら劇団芝居屋を主宰している爺です。
主に芝居、時々暮らしの中の出来事を書きます。

プレーバック劇団芝居屋第39回公演「通る夜・2022」その18 最終章

2022-03-02 19:54:43 | 演出家


劇団芝居屋第40回公演出演者&劇団員オーディション兼ワークショップのお知らせ
あなたも覗く側(観客)から覗かれる側(役者)へ!
この度劇団芝居屋は、劇団入団希望者及び、
2022年10月に行われる第40回公演の出演者を選抜する
ワークショップ・オーディションを開催します。

劇団芝居屋は、「覗かれる人生劇」という俳優主体の芝居作りを目指しています。
劇団芝居屋公演に参加希望の方はお越しください。
あなたの役者としての可能性をこのワークショップで探ってみませんか。
自分の体で表現することに興味のある方はお気軽においで下さい。
【募集概要】
日時・・・2022年3月22日(火)29日(火)30日(水)31日(木)
計4回。18:00~21:30
応募資格・・健康な男女。年齢、演技経験の有無は問いません。
同劇団の芝居に参加したいという意思のある方。
ワークショップのみの参加も歓迎いたします。
料金・・・10,000円
内容・・・基礎的発声練習の後、これまでの上演台本を使い「覗かれる人生」劇の芝居創りの過程を、
追体験していただきます。
稽古場・・・品川区荏原文化センタ-(最寄駅は東急池上線「荏原中延駅」徒歩5分)
応募方法・・住所、氏名、電話番号、年齢、性別、演技経験の有無、写真(バストアップ)を
下記の劇団芝居屋事務所まで、手紙、メールのいずれかでご応募ください。
締切日・・・2022年3月15日





さて終章の六場から七場でございます。
チーコの付き合っているのがマサルである事と二人の関係を知ってて黙っていたタケコ達に激怒したキートンは・・

キートン 「お前なんか、お前達なんか・・絶交だ!」



キートンのこの罵声はマサルが連れて来た懐かしい時間との別れの合図となりました。



懐かしい仲間はフォークダンスを踊りだします。
この懐かしき仲間のフォークダンスにはキートンの入る場所はありませんでした。

自分の子を産む事なくこの世を去ったフーコはその無念さを吐露します。



フーコ「ごめんね。・・・ごめんね、赤ちゃん。・・・産んであげられなくてごめんね。
抱いてあげられなくてごめんね。・・・おっぱいあげられなくてごめんね。・・・あな
たの顔が見たかった。笑った顔や泣いた顔、一日ずっと見ていたかった。・・・赤いほ
っぺに頬ずりしたらモミジの手ってでわたしの顔をまさぐって、可愛い声で笑うの
ね。・・・わたしもきっと笑ってしまう。そんな日々を生きたかった、そんなあなたに
会いたかった。・・・ごめんね、ごめんね、生きられなくて。・・・ごめんね、赤ちゃ
ん、産んであげられなくて。・・・ごめんね・・・」

キートン 「フーコ・・・」

若くして自動車事故でこの世を去ったシュンジは悔いを語ります。



シュンジ「ほんのちょっと、ほんのちょっとブレーキが遅かった。いつもだったら何でもない事だったのに。ほんのちょっとの運がなかった。・・・みんなにいい所を見せたかったな。大きな事をやってみんなの驚く顔がみたかった。・・・でも、とうとう何をやったらいいのか判らずじまい。・・・ほんのちょっとの運とほんのちょっとの切っ掛けで大きな事ができたのに、みんなをアッと言わせる事が出来たのに・・・・・ほんのちょっと、ほんのちょっとの運があれば・・・」

キートン 「シュンジ」

ここにキートンを連れて来たマサルは辛かった人生を振り返ります。



マサル「これでゆっくり休める。これでぐっすり眠れるんだ。・・・特別だと思ってた、自分の事を特別な人間だって。・・・大海原に飛び出た出世魚だって。・・・だからがむしゃらに頑張った。・・・選ばれた者だけがたどり着ける所まで泳ぎ切らなきゃと思ったからだ。・・・でも気が付いたらそこには激しい流れがあって、少しでも油断をすれば流されるんだ。だから流されないために人には言えないこともした、他人をおとしめた事もある。流されまいと全てを犠牲にしたオレがいた。・・・嗚呼・・・もう沢山だ。もううんざりだ。・・・・これでゆっくり休めるんだ。・・・これでぐっすり眠れるんだ」

キートン 「マサル」


いつの間にかフォークダンスの列は時空に消え、マサルも時空の闇に飲み込まれていきます。

一人残ったキートンは自分のこれまでの人生を振り返り懐かしい仲間に問いかけます。



キートン 「なあ、俺、ちゃんとやってんのかな」

すると闇に消えた懐かしき仲間がその問いかけに答えます。

「ガッチョーン」



その答えは自分で出すしかないのです。

アラームの音が鳴り響きキートンは目を覚まします。
風呂を沸かすためにアラームをセッティングしていたのでした。
夢でした。すべては夢だったのです。


キートン 「ガッチョーン!か・・・たまにみんなに電話でもしてみるか」





旧友が逝った。
月は中天に高かった。
喜びも 悲しみも 思い出も 通り過ぎる夜。
思い出達は形を成し、私をどこかに連れて行った。
そこは美しくあって欲しいという願いとは裏腹に、生々しく危く脆い場所であった。
しかし、そこには確かに未来に向かう道があった。

劇団芝居屋第39回公演「通る夜・2022」これにて終演でございます。



長らくのご視聴ありがとうございました。




撮影鏡田伸幸


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