序破急

片足棺桶に突っ込みながら劇団芝居屋を主宰している爺です。
主に芝居、時々暮らしの中の出来事を書きます。

プレーバック劇団芝居屋第39回公演「通る夜・2022」その16

2022-02-28 16:49:20 | 演出家


お知らせ。
【劇団芝居屋は本年10月26日~30日にポケット上演で企画しております、記念すべき第40回公演の出演希望者のワークショップを行います。まだ感染状況などで確定ではありませんが3月中ほどを目安に募集する予定です。
沢山の皆様のご応募お待ちしております。
詳しくは劇団芝居屋HPにてお知らせいたします。
劇団芝居屋HP http//www.gekidanshibaiya.sakura.ne.jp】

キートンの台本が面白かった事を隠すマサル達のいたずらは、チーコが職員会議で指摘されたという問題の報告で解消しましたが・・・

チーコ 「喜ぶのはまだ早い」

実はこれもチーコがキートンに仕掛けたいたずらなんですが、それが真に迫っていたので思わぬ方向にいくんですな。



タケコ 「ええ、ありました。あんな下らない校則は、多分思春期の多感な若者達の
気持ちを理解できない石頭が作ったに違いありませんわ。オホホホ・・・って所?」
チーコ 「そう、そのあたり」
ノッチン 「あそこはよく書いたよね」
キートン 「ああ、あそこか・・・でも、あそこは大事な所だからな」
チーコ 「その辺が藤本の癇に障ったんでないの。他の先生はそうじゃなかったんだけど」
マサル 「書き直し?」
キートン「そんな事言われてもなあ」

いたずらの効果が大きく膨らみ、さあネタバラシでどっと受ける所でしたが・・・度が過ぎれば妄想は大きく膨らみます。



ノッチン 「もしかして中止?!」
タケコ 「中止!!」
チーコ 「エッ!」
フーコ 「中止なの」
シュンジ 「オイ、それはないだろう!」

一同に緊張が走る。
へたり込むキートン。

ケイコ 「なんで中止になるのよ」
チーコ 「あのね・・」
ノッチン 「そうだよ。そんなのおかしいよ、ねえ」
タケシ 「うん、おかしい」
フーコ 「そうよ、絶対におかしい」



憮然としたマサル、出口に向かう。

チーコ 「どこ行くの」
マサル 「藤本に抗議に行く」
シュンジ 「なら、俺も行く」
タケコ 「ワチも」
チーコ 「待って!ちょっと待ってよ」
マサル 「だって、キートンが一生懸命になって書いたものを・・・許せないよ」
タケコ 「そうだよ。ワチ、どんだけキートンが苦労して書いたか知ってるもん。藤本
なんかに中止させてたまっか。ソウチン行くよ」
ソウチン「ウス」
ノッチン 「ヨシ、みんなで団体交渉だ」
タケシ 「俺も行くぞ」
マサル 「キートン。大丈夫だ、僕達が何とかすっから」
キートン 「マサル、ありがとう。みんな、ありがとう」
マサル 「(キートンに)おい、お前も一緒にいくぞ」
キートン 「オオッ!」

雄叫びを上げる一同。



チーコ 「ゴメン!ゴメン!」

何事かわからずキョトンとする一同。

チーコ 「だから、問題になった事は問題になったんだけど・・・」
マサル 「はっきり言えよ」
タケコ 「・・・じゃ、中止じゃないの」
チーコ 「わたし、中止なんて言ってないよ」
ノッチン 「いいからゴジャゴジャ言わないで結論だけいいなよ」
チーコ 「だから、我がB組の出し物は北高今昔物語に決定しました」
フーコ 「・・なに、どういう事?」
マサル 「・・・じゃ、できるのか?」
チーコ 「うん」
タケコ 「問題は?」
チーコ 「解決しました」
キートン 「本当か?」
チーコ 「本当だって」
キートン 「本当に本当?」
チーコ 「本当に本当だってば」

歓声上がる。再びへたり込むキートン。

キートン 「もう、いい加減にしろよな!」

一同、キートンを取り囲む。

チーコ 「キートン、ゴメン。喜ばそうと思ってタメ過ぎちゃった」
マサル 「よかったじゃないか、お前の台本で芝居ができるんだぞ」
シュンジ 「おい、しっかりしろよ」

不貞腐れるキートン。

フーコ 「(手拍子)キートン、キートン・・」

一同、キートンコールと手拍子。
シュンジとフーコが出て三々七拍子。決まって。

チーコ 「我がB組の北高文化祭クラス対抗演芸コンクールの演目は、キートンの『北
高今昔物語』と決定しました」

キートンにとって期せずして友情というものを実感できた出来事になったのでした。
この出来事で一同の友情が深まった事は言うを待ちません。
忘れがたい出来事となりました。



第五場に続く。



撮影鏡田伸幸


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