序破急

片足棺桶に突っ込みながら劇団芝居屋を主宰している爺です。
主に芝居、時々暮らしの中の出来事を書きます。

プレーバック劇団芝居屋第40回公演「立飲み横丁物語」NO21

2022-12-25 15:58:33 | 演出家
第十五場 同日・一時間後

仮の借りの乾杯から一時間。
健三夫婦も良いコンコロ持ちになった頃でございます。


綾子 「ハイ、おでんお待ちどうさま」
瑠香 「来た来た。これうまいんですよね。食べた事あります?」
由紀 「いいえ、頂いたことないわね」
瑠香 「食べてみて下さいよ、絶品ですよ」
由紀 「じゃ、頂こう」


健三 「由紀さん、お注ぎします」
由紀 「あら、アリガトウ」
由紀 「それじゃ」


まだ三澤達は到着していません。

大輔 「どうだった」
誠 「いや、やっぱり駄目ですね。まだ圏外」
大輔 「どうしたのかな」
誠 「それにしても遅いですよね。あの、三澤さんの車ってどんなんでした」
大輔 「確か、白のベンツだな」
誠 「白のベンツですね」


凛子達の心配を他所に花火大会が挙行された喜びに、希望にあふれた若い衆は気持ちは三澤が企画したフェスティバルい向かっております。

新司 「ねえ、瀬村の親分」
健三 「なんだ」
新司 「十月のイベントに俺らも連れてって貰えんすか」
健三 「ああ、当然だ。しっかり働いて貰うから覚悟しとけ」


大はしゃぎの新司と金吾でした。

その光景をよそに凛子達の心配は膨らんで行きました。

大輔 「無邪気にはしゃいでやがるな」
凛子 「交通事故?」
大輔 「おい、縁起でもねえ、よせよ」」
誠 「今、会社に掛けて、警察に当たって貰ったんだけど、それらしい車の事故は報告されてないね」
凛子 「ああ、良かった」
大輔 「どうしちゃったんだろうな」
綾子 「ねえ、あんた。怒らないで聞いてよ」
大輔 「なんだ」
綾子 「今度の仕事でさ、三澤さんとお金が絡んでいる事はないよね」
大輔 「ああ、ねえよ。なあ」
凛子 「エッ・・・・」
大輔 「なあ、ねえだろう・・・」
凛子 「それは・・・」
大輔 「あるのか」
凛子 「それがどうしたの」
綾子 「いや、別に三澤さんがそうだって言ってるわけじゃないんだよ、最近詐欺の手口が巧妙になってるってテレビの番組で見たばかりなのさ。だから気になっちゃって」
凛子 「三澤さんがそうだって言うの」
綾子 「そう言う訳じゃないんだけど・・・」
大輔 「なあ、凛子。三澤さんと金が絡んでるのか」
凛子 「それは・・」
大輔 「俺は知らねえぞ、どういう事だ」


幾久 「なんだい」
凛子 「あの・・・いや、大さんがね、三澤さんと金の絡みがあるのかって」
大輔 「カアサン、あるのかい」
幾久 「なんでさ」
大輔 「いや、こいつがなんだか変なこと言うからさ」
綾子 「あたしはただ大丈夫なのかなと思っただけよ」
幾久 「なにがさ」
綾子 「だから、もし三澤さんとお金が絡んでるんだとしたらいやだなって思っただけよ。テレビでね、さんざ信用さしてさ、いろんな所から金集めてとんずらした話をみたもんだから。それがこの状態と同じ様な話なのよ。それで」


一時はインターネットで三澤の事務所のホームページを確認し安心させた誠がよくよく確認すると・・

幾久 「ねえ、あんたの取り越し苦労さ」
誠 「そうですよ。こうやってウエブサイトでも三澤さんの会社見れるんですから、ほら」
大輔 「ああ、そうだな」
幾久 「その筈さ」
誠 「・・・あれ!」
大輔「なに、どうしたの」
誠 「ジュン三澤音楽事務所のウエブサイトが二年前から更新されてない」
凛子 「えっ、どういう事」
誠 「だから、事務所は活動してないってことだよ」
幾久 「アラ!」
大輔 「おいおいおいおい」
綾子 「ほらほらほら、だからあたしゃ言ってんだよ」


という事でみんなの中で詐欺という文字が大きく浮かび上がり健三に報告ということになった刹那。

大輔 「親分、お話があるんですが」
健三 「なんでえ」
大輔 「実は・・・」
健三 「やあ、どうも」

     ン?と後ろを向く一同。
     純一と景子が小走りに来る。
     驚く幾久・凛子・大輔・綾子・誠。


純一 「いやいや、遅くなってすいません!」
景子 「ごめんなさい」
健三 「どうしたんですか」
純一 「いや、ご心配かけてすいません。こんな事があるんですね、一度にいろんなアクシデントに見舞われましてね。車はパンクはするわ、携帯の電池が切れるわで連絡ができませんでした」
景子 「私の携帯は洗面所で誤って水浸しになっちゃって、すいません」


純一 「それでと言っちゃなんですが、皆さんに報告があります。フェスティバルへ出店する露天商組合が全部揃いましたんで開催は決定です」
健三 「決定なんですか」
純一 「昨日、実行委員会に確認したところ、国の方も感染者の数に関わらず普通の生活に戻す方針だそうです。ですから開催という事が決定しました」


そこに仁が総一から祝儀として借用書を幾久に渡すように言い使って現れます。
帰ろうとする仁に。

大輔 「オウ、仁さんじゃねえか。仁さん来いよ」
新司 「(走って来る)ハイ、仁さんビール」
誠 「ほら、乾杯するよ」
仁 「いや、わたしは・・・」
幾久 「いいから一杯やっていきな。ねえいいよね」
健三 「ああ、乾杯だ。いいだろう」
大輔 「ほら、来いよ」


健三 「それじゃ、ご一統さん。改めまして、乾杯!」
一同 「乾杯」





長らくのご鑑賞ありがとうございました。



撮影鈴木淳


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