さわやか易

人生も歴史もドラマとして描いております。易の法則とともに考えると現代がかかえる難問題の解決法が見えてきます。(猶興)

インドの宗教(3)~大乗仏教

2023-01-24 | 浮生は夢

ナーガールジュナ(竜樹)

親分、仏教のお経というのは何百とあると聞いたんですが、どうしてそんなにあるのですか?それほど複雑なんでしょうか?

釈迦が各地を行脚して説法して歩いている時、多種多様な人たちに、相手に応じて解るように話していたんだよ。だから、相手によって受け取り方が違うんだよ。なにしろ、目には見えない仏の世界を説明するんだから、解るように説明するのは大変だっただろうな。その説法を弟子たちが聞いて、書き残したのが仏典のもとになっているんだ。

お釈迦様が書き残したものはないのですか?

ないんだよ。イエス・キリストも、中国の孔子も本人の書き残したものはないんだ。みんな弟子たちが弟子たちに伝えてたものだから、釈迦が死んで100年位たつと、解釈も随分違ってきたんだ。解釈の違いで教団も内部分裂していく。戒律も厳しく守る派と、緩やかな派に別れ、長老たちのグループを「上座部」、革新派を「大衆部」と呼ばれ、分裂している。紀元前の3世紀にインド初の統一王朝マウリア朝が出来るんだが、そのアショーカ王が仏教を保護して「上座部仏教」のダルマ(法)による統治をしたんだ。

それでは、「大衆部」は消滅したんですか?

ところがな、紀元後のクシャーナ朝時代になってナーガールジュナという大物が出現するんだ。このナーガールジュナによって、仏教は新しくなり、「大乗仏教」となったんだ。大乗仏教は中国そして、朝鮮、日本にまで普及する大仏教になっていくんだよ。

ナーガールジュナですか?始めて聞きました。大乗仏教とはどういう意味なんですか?

大乗とは大きく乗せると書くよな。それまでの仏教は自分が修行して安心立命を得るというのが目的だったんだ。でも、それはあくまで個人的修行で個人の安心立命だよね。でも、本当は社会全体が平和にならなければ、本当の安心は得られないだろう。そこで、修行僧だけではなく、一般の人々もお経を読み、念じることによって安心が得られると説いたのさ。社会全体が平和になるよう祈願しなくてはいけないと唱えたのさ。それが、大きく乗せる仏教だと言ったのさ。

確かにそうですね。そうすると、「上座部仏教」は小乗仏教というのですか?

そういうことになるのだが、そうは言わずに「上座部仏教」と呼んでいるようだな。ナーガールジュナは中国名では「龍樹」と呼ばれて、もとはバラモン教の祭司だったらしいよ。とにかく天才的な頭脳をもっていたというんだ。でも、詳しいことは今でも謎らしい。しかし、この人が善悪も貧富も移ろい変化するもので、全ての世界は「空」であると、「色即是空」を解釈したというのだ。釈迦と同じレベルの所まで到達した人じゃないかと思っているんだよ。釈迦が始めた仏教を一回りも二回りも大きくしたんだ。この人がすべての大乗仏教の祖とも呼ばれいる。

凄い人がいたんですね。もう少し、どんな人か解らないんですか?

史学的には全く不詳なんだが、中国に仏教を訳して伝えたという鳩摩羅什(くまらじゅう)による「竜樹菩薩伝」というのがあるんだが、それを紹介しようか。面白いけど、伝説だからな。

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