さわやか易

人生も歴史もドラマとして描いております。易の法則とともに考えると現代がかかえる難問題の解決法が見えてきます。(猶興)

インドの宗教(4)~ヒンドゥー教

2023-01-25 | 浮生は夢

 

親分、お釈迦様よりナーガールジュナの方が大きな存在ですよね。

会社でもそうだろうけど、創業者がいて、後からその会社を大きく発展させる人が出てくる。どちらが偉いということではないと思うよ。仏教が日本にまで盛んになったのは、その後色んな人が係わっているんだ。でも、創業者というのは、やはり特別な存在だろうよ。

そうですね。とろで、ナーガールジュナについて、どんな話が伝わっているんですか?

ナーガールジュナは長いので竜樹と呼ぼう。こんな話だ。バラモンの家系に生まれた竜樹は同じくバラモンを目指す仲間と学んでいた。中でも優秀な4人組の1人だった。ある時、竜樹は仲間に言った。「俺たちは学問は卒業した。ここらで、はめを外して遊びまくろうや。」4人は街に出て女遊びを始めた。「どうせなら、もっといい女と遊ぼうじゃないか。」4人は宮廷の美人たちと遊ぼうと、隠身の術を使って、宮中に忍び込む。100日間、宮廷の美人たちと愛欲の限りを尽くした。美人たちは皆妊娠してしまい、王臣たちは驚愕し、対策を立てる。白砂を門に蒔き、足跡を追った衛士たちにより3人の友人は切り殺される。とっさに王の影に身を寄せた竜樹だけは、からくも難を逃れた。

凄い話ですね。竜樹ってとんでもないやんちゃ坊主ですね。

流石の竜樹も猛烈に反省し、出家する。山に入り、仏典を読破した上、さらにヒマラヤ山中の比丘を訪ねる。ある老比丘から大乗仏典を授けられた。さらに学んで、「空」に関しては一学派を築くほどになり、後に「中論」を著す。山を降りるとインド中を遍歴し、各種の宗教家と対論して論破する。

お釈迦様に匹敵するほどの学識を身につけたんですね。

そうだな、その後の話は伝説なんだが、その龍樹をマハーナーガ(大龍菩薩)が海底の竜宮へ連れて行き、さらに諸々の大乗仏典を授けたというのだ。その後、龍によって南インドの王のために将軍になり、瞬く間に軍隊を整備したそうだ。王は驚いて、「一体お前は何者なのか」と尋ねると、龍樹は「自分は全知者である。」と答え、様々な神通力を王に示し証明した。王を始め、宮廷のバラモン達は全て仏教に帰依したというんだ。

なんだか、神がかった話ですね。その後はどうなったんですか?

うん、その後も龍樹に挑んでくるバラモンや上座部仏教者もいたんだが、ことごとく退けるんだ。しかし、その後何日も顔を見せないので、弟子の一人が龍樹の部屋に行くと謎の死を遂げていたというのさ。

龍樹は実在の人物なんですか?

それは、実在だよ。「中論」を始め、いくつかの著作が残されており、それが現在の大乗仏教のもとになっているんだからな。特に、「色即是空」の「空」は龍樹の説明が無ければ、解らないほど、奥深い理論なんだそうだ。

大乗仏教はバラモン教に代わって国民に浸透したのですか?

ところがな、大乗仏教は中国や朝鮮、日本に伝達していったんだが、インドではそれ程根付かなかったんだよ。バラモンに代わって、王たちは保護したんだが、民衆には解りにくかったのかなあ。「世の中を離れて修行し、悟りを開く」というのは民衆からは敬遠されたんだ。バラモン教が修正されたような、ヒンドゥー教が次第に定着するようになったのさ。バラモン教がルーツだから、輪廻転生とかカースト制度は残るんだが、これもインドの国民性には合っていたんだろう。

そう言えば、インドのマハトマと言われたガンディーもヒンドゥー教の指導者ですよね。成程、インドは人口が多いんで、カースト制度も必要だったのかも知れませんね。輪廻転生も一般人には説得力がありますからね。仏教と言えども、インド人の国民性を変えることは出来なかったんですね。

ところがな、ヒンドゥー教もビックリするような、宗教がその後入って来るんだな。それは次に話そうか。

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