見もの・読みもの日記

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色とかたちの取合せ/柚木沙弥郎展(日本民藝館)

2023-01-27 23:20:05 | 行ったもの(美術館・見仏)

日本民藝館 特別展『生誕100年 柚木沙弥郎展』(2023年1月13日~4月2日)

 柚木沙弥郎(ゆのきさみろう、1922-)氏は、柳宗悦の「民藝」と芹沢銈介のカレンダーとの出会いから染色の道に進んだとも言われており(柚木沙弥郎公式サイト)、日本民藝館とは関係が深い。2018年にも特別展『柚木沙弥郎の染色 もようと色彩』が開催されており、友人から「ぜひ行くべき」という強いおすすめを貰った。しかし、このときは見逃してしまったので、今回は早めに決断して見に行った。

 館内に入ると、大階段を取りまく壁も左右の展示ケースも、柚木さんのカラフルな染色作品で埋まっていて、なんだか別世界に来たみたいだったが、まずは2階の大展示室へ急ぐ。ここも壁や展示ケースを表情豊かな型染めの布が彩る。おもしろかったのは、布の間に配置された、世界各地の「民藝」の数々。アフリカの壺や仮面、インドの車形の玩具(木製)、ヨーロッパの鳥形の木の実割り(金属製)など、ふだんあまり見る機会のない作品が多くて興奮した。中には、2メートル位あるツノ(?)の生えた巨大な仮面(アフリカ・マリ共和国)もあって、民藝館でなく民博に来ているような感じがした。と思えば、スリップウェアの鳥や、ブタならぬネコ形の蚊遣り(日本・大正時代)などもあった。この取り合わせを考えるのは、楽しかったに違いない。また、船木研児作という陶器皿が複数出ていて、柚木さんの作風とよく合っていた。どこかで見た名前だと思ったら、2021年の『近代工芸の巨匠たち』で覚えた名前だった。

 柚木さんの染色作品は、幾何学的な文様が多かった(民藝館の好みかもしれない)。ただ、冷たい幾何学文様ではなくて、生き生きした温かみを感じる幾何学文様である。そして、まれに具象的な鳥や動物の姿を写した作品もある。今回、展覧会のポスターに使われている『犬』は『猫』と一組で、2階展示室の奥の壁に掛かっている。この、尻尾だか後ろ足だかがぐるぐる内巻きになっている『猫』かわいいなあ。あと、1階の展示室で見た、赤地に白抜きの牛の繰り返し文様も好きで、夏のワンピースにして着たいと思った。印象鮮烈な作品ばかりでなく、日本旅館の量産型の浴衣になりそうな、白地に紺の竹文の布などもデザインしているのは、新しい発見だった。

 併設展では「春を祝う工芸-遊戯具・人形を中心に」が楽しかった。いかにも使い込まれた羽子板や手毬、三春人形、鴻巣人形など。『蹴鞠作法之事』という図巻(桃山時代)には「枝に鞠を付る事」と題して、柳や桜の枝に鞠を一つないし二つ以上、挟む作法が図解されていた。


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