見もの・読みもの日記

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常楽寺の聖観音立像(東京長浜観音堂)を見る

2022-05-26 00:37:15 | 行ったもの(美術館・見仏)

東京長浜観音堂 『聖観音立像(長浜市湖北町山本・常楽寺蔵)』(2022年5月12日~2022年6月12日)

 昨年度末、いったん閉館した東京長浜観音堂が、うれしいことに同じ場所で再オープンした。今年度は、1か月間ずつ4躯の仏さまにお出ましいただくとのこと。7月から2か月間ずつ4件の展示だった昨年度に比べると、やや規模縮小だが、それでも事業を継続してくれるのはありがたい。

 今年度初のお出ましは、常楽寺の聖観音立像。平安時代後期(12世紀)の作。簡素だが優美で、力みはないのに力強い。一見、ストンとまっすぐ立っているようだが、かすかに腰をひねっている。茎の長い金色の蓮華は、後補と思われるが、よく合っている。とても好きなタイプの観音さま。

 常楽寺は、長浜市湖北町山本の山本山(やまもとやま)の中腹にあり、地元では山寺(やまでら)と呼ばれているそうだ。山本山城の城主だったのが、近江源氏の山本義経。河内源氏の源九郎義経と同じ時代の人物である。Wikiによれば、治承4年、山本義経は近江源氏とともに挙兵し、平氏軍と交戦するも、山本山城を平知盛・資盛に攻められて落城。山本義経は逃れて、鎌倉で頼朝に拝謁。その後、頼朝のもとを離れて義仲に従うが、寿永3年、義仲が源範頼・義経軍に敗れて以降の消息は分からない。

 思わず横道に逸れてしまったが、そんな血なまぐさい戦乱の時代をくぐってきたとは思えない、おだやかな表情の観音さまである。

 先日は、受付に女性スタッフの方が複数いらしたが、展示の観音さまについて、特に説明はなかった。昨年度は、長浜市の博物館が改修休館中だったため、学芸員の方が交代で東京に出張して常駐してくれていたのだが、今年は、その体制はないそうである。ただ、単発で学芸員によるギャラリートークなどのイベントは開催されるようなので、注意しておきたい。

 この施設を紹介した朝日新聞の記事によれば、長浜市に本社を置く「近交運輸グループ」の東京支社(中央区日本橋2丁目、八重洲セントラルビル4階)の一角を借りて運営されているそうだ。うわー、ありがとうございます。

東京長浜観音堂、今年度も開設 出陳第1弾は常楽寺蔵の聖観音立像(朝日新聞デジタル 2022/5/4)

 5~6月は「観音の里をめぐるバス」も出るのだな。ぜひ、久しぶりに現地にも行ってみたい。


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