見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

2022年8月関西旅行:京博、神戸市博

2022-08-18 22:16:04 | 行ったもの(美術館・見仏)

 お盆旅行は関西へ。だいぶ前からそう決めていたのだが、先月末から新型コロナの感染者数が急激に増大し、ちょっと悩んだ。しかし例によって、ひとりで展覧会・神社仏閣めぐりが主なので、気をつけていれば大丈夫だろうと思って出かけた。出発日の13日(土)は、東海地方の台風接近に伴う大雨で新幹線ダイヤが乱れていたが、大きな影響なく京都に到着。

京都国立博物館 特別展『河内長野の霊地 観心寺と金剛寺-真言密教と南朝の遺産-』(2022年7月30日~9月11日)

 平成28年度(2016)から令和元年度(2019)にかけて実施された、観心寺と金剛寺の文化財悉皆調査に基づき、従来知られた名品に加え、調査によってみいだされた中近世の文化財を紹介する。3階の2室のみが常設展で、2階と1階が特別展に当てられていた。まずは、両寺が真言密教の大寺院であったことを示す、弘法大師像や各種曼荼羅図、密教法具など。大好きな『日月四季山水図屏風』も来ていた。面白かったのは『清水寺仮名縁起絵』(鎌倉時代、金剛寺)。聖教の紙背に書写された、京都・清水寺の縁起の草稿で、漢文縁起を和文に改めようとしたものだという。文章のあとに、ざっくり山や舟や人物が墨でスケッチされており、マンガの「ネーム」を思わせた。

 1階の大展示室、階段下に囲いがされていたので、特別な仏像が来ているのかと思ったら、鉄製の燈籠(鎌倉時代、観心寺)だった。近年まで金堂の前に置かれていたが、現在は複製に置き換えられているとのこと。私が観心寺に行ったのは2005年なので、屋外で見ているかもしれない。仏像は、観心寺の地蔵菩薩立像が私の好きなタイプ。平安初期の仏像らしい、堂々としたボリューム感。観心寺宝物殿の大日如来坐像(平安~鎌倉時代)は、奈良で活躍した慶派仏師の系統の作だというが、慶派にしてはおとなしめで、貴族的な印象。

 あれ?と思ったのは、参考展示されていた、京都・善願寺の僧形坐像2躯(中国・唐時代)。同系統の作が、国内外の寺院・博物館に分蔵されている。観心寺の聖僧坐像は、これら僧形坐像と「一具であったとする見解も根強い」というが、素人目には、だいぶ顔立ちが違う。以下、観心寺の仏像を続ける。伝・仏眼仏母坐像(宝冠釈迦、南北朝時代)は、宋風の見事な宝冠。秘仏・如意輪観音坐像はさすがにおいでになっていなかったが、その模刻像(京博所蔵)が展示されていた。

 このほか、南北朝ゆかりの天皇の宸翰、古文書など。金剛寺所蔵の腹巻20領と膝鎧1双、観心寺所蔵の腹巻1領を並べた展示室は、なかなかの壮観だった。よく見比べると、少しずつ造りが異なっている。しかし、むかしの武士は小柄だったんだなあと思った。

 最後に3階に戻って、名品ギャラリーの『日本と東洋のやきもの』と特別公開『熊本・宮崎の古墳文化-石人と貝輪-』(2022年7月30日~9月11日)を見ていく。京博、施設の制約があるのは分かるのだが、もっと常設展に力を入れてほしい。

 そして新快速で神戸へ。

神戸市立博物館 特別展『スコットランド国立美術館 THE GREATS 美の巨匠たち』(2022年7月16日~9月25日)

 約2年間の改修工事を終えた神戸市博がリニューアルオープンしたのは2019年11月のことだが、コロナ禍で全く訪問できていなかった。この展覧会は、今年4月から7月初めまで東京都美術館で開催されていたものだが、見逃してしまったので、関西で見るのも悪くないかと思った。16:30の入場を予約していたが、早めに着いてしまったので、常設展が見られるか聞いてみたら、先に特別展を見ることを勧められた。柔軟に対応してくれて、ありがたかった。

 本展は、古都エディンバラに位置するスコットランド国立美術館が所蔵する、ルネサンス期から19世紀後半までの西洋絵画史を彩る巨匠たちの作品から87件89点を展示。ラファエロ、エル・グレコ、ベラスケス、レンブラント、ルーベンスなど、名前を言えば「教科書どおり」の巨匠たちなのだが、収蔵作品にはどことなく共通の趣味が感じられて、個人コレクションを楽しむ趣きがあった。

 見ることができてよかった!と心から思ったのは、ベラスケスの『卵を料理する老婆』。画家が10代の頃の作品だという。アンドレア・デル・ヴェロッキオの『幼児キリストを礼拝する聖母』や、パリス・ボルドーネ『化粧をするヴェネツィア女性たち』など、女性を描いた作品も好き。岩山の上に聳えるエディンバラ城を描いた風景画も魅力的で、行ってみたくなった。

 続いて、常設展エリアも一回り。1階の神戸の歴史展示室は無料で、2階のコレクション展示室は特別展チケットで割引になる。コレクション展示室の環境がよくなったのは、資料保存の観点から嬉しいが、展示件数は減ってしまったような気がする。今後は特別展に力を入れていくのかな。とりあえず、秋の特別展『よみがえる川崎美術館』は必ず見に来ようと思っている。ミュージアムカフェは、以前より格段に高級そうで、敷居が高くなっていた。

 おまけ:昼食は「一天一麺」の蘭州ラーメン。2019年に食べにきたのと同じ名前のお店だが、場所は移動して、駅前のセンタープラザの地下1階にあった。以前より入りやすくなったと言えるかもしれない。麺は固め。スープは美味しかった。


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