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ロシアと戦争してるドイツ&アウシュビッツ解放の日

2023-01-30 01:38:14 | WW1&2
今週はドイツが80年ぶりにロシア人殺しのために戦車を送ると決意し、あわせて、ドイツの外務大臣が「我々はロシアと戦争している」と発言し、さらに、その後1月27日にアウシュビッツ解放の日が来るという、ドイツにとってはまったく災難であろう(と私は信じるが喜んでる人もいる?)1週間だったと言えるでしょう。

外相の発言について日本語になってる記事あるのかしらと思って軽く検索したけど見当たらなかった。

問題となったのはこの動画。 



1月24日、フランスのストラスブールで開催された欧州評議会の議会総会で、
ドイツのベアボック外相が、

私たちはロシアと戦ってるんだから、(欧州内で)互いに争うべきじゃないのよ、と言ってる。

We are fighting a war against Russia

って、これはつまりドイツ政府が正式にドイツはロシアと戦闘状態にあると認めたということだろうというネット上で騒ぎとなった。 

さらに、その「we」って誰だよ、というのも問題で、EU全体が交戦状態なの?いいのそれ、という騒ぎにもなる。


ぶっちゃけ、これだけ軍備を用意してウクライナ人を戦争用に鍛えて、その間、西側全体であたかもロシアとは普通の関係にあるかのような素振りを作っていたことを鑑みれば、実際には、そうですNATO/EU/USAはロシアと交戦状態にあるというのは間違ってなどいない。

ベアボック外相は率直な空気の読めない性質だったというだけかもしれない。

今後どうなるのか知らないですが、ウクライナにレオパルド2を供給することにしたので、名実共に、80年ぶりに再びドイツ人がロシア人を殺しに出てきたというのはますます動かしがたいものとなり、ロシア国内ではますます、ナチはナチだなという認識が固まったことでしょう(実際、ロシアのテレビの人気番組の動画を見たけど、がっちりそうだった)。

ロシアからは、一般人、公人を問わず、がっちり、がっかりだぜお前といった趣の声明が投げられるに決まってる。

駐ドイツのロシア大使のコメントなどは、控えめに語ってるが、出てくる歴史的事象が事象だけに、全身で非難しておるなという感じがした。(機械翻訳にちょっと手直し)

ベルリンは、数十万人のソビエト市民が死亡したレニングラード封鎖解除から80周年のこの時に、この決定を採択しました。それは相互信頼の残骸を破壊し、ロシアとドイツの関係のすでに嘆かわしい状態に取り返しのつかない損害を引き起こし、予見可能な将来におけるそれらの正常化の可能性に疑問を投げかけます。


どの時期でも良くないけど、レニングラード解放があって、アウシュビッツ解放がある1月とバルバロッサ開始の6月は特に多数のロシア人が過去を思い出す大きなイベントのある時だから、余計に良くないと思う。

思い出すに、2015年、国論を揺らした安保法制を9月18日に通そうとした人たちもいましたね。9月18日は柳条湖事件のあった日。中国人が屈辱だと考えている日にわざわざ何でそんなことをするんだと気がついた人がいて、演説を続けて9月19日成立にした。


■ 反応

ベアボックがドイツ国内でどう処遇されるのかはともかく、ネット上では、お前んところのじいちゃんたちが前にもやっただろ、それ、とか、またベルリンまで行くのかよ、といった反応が見られ、私としては、ロシア人じゃなくても結構な人がWWIIのドイツとロシアの帰結を覚えているんだなとある種の手ごたえを感じ、よかったよかったと思った。(レベルが低いわけですが)


さらに、こういうまとめも。

ドイツが2つの世界大戦後に翼を切られたのには理由がある。(それが)ドイツの武装解除を経て、ベルリンがロシアよりも軍事費を支出し、ロシアに対して再びドイツの戦車をウクライナに送るようになったというのはどういうことなんだ。私たちの祖父母がこのたわごとを聞いてるところを想像してみて


実際問題、今のドイツは、外相だけでなく、首相もまた、ロシアを勝たせるわけにはいかないのだ、といった調子をあくまで貫いており、もはや本家ナチは帰ってきたのだなと思わないわけにはいかない趣はある。一体どうしてこうなったんだろうかとポカンとする人も多いと思う。


■ アウシュビッツ解放

その最中の1月27日は、1945年1月27日にソ連軍第60軍がポーランド南部解放中にアウシュビッツの収容所を発見して残されていた囚人たちを解放した日。

 

偶然見つけた写真だけど、これを掲載しているアカウントには、左翼イデオロギーに傾きのあるプラットフォームです、とあった。日本にはレフトはほぼ存在していないが、世界的にはオールド・レフトはいるので、その彼らからすると、ソ連のレッド・アーミーの活躍はとりわけ誇らしいものなんだな、とふとこの写真を見て思い、ソ連赤軍がファシスト・ナチを破ったことを誇りに思わない人はレフトではないよな、などとも思った。


それはそうと、前から何度も書いてますが、ドイツ軍がまだ諦めていない東部戦線において、ソ連赤軍が都市を1つずつナチの占領から解放していっている動きの中で、その一群がポーランド南部でオシフィエンチム(アウシュビッツ)に到達した。ソ連軍はそこに兵舎があることは知っていたが、中が何なのかよくわからずに小さな戦闘を繰り返しながら(付近の解放時に200人ぐらいが亡くなっているようだ)、キャンプの中に入って行った。すると中にいるのは兵舎にいるような人ではなかった。

作戦中だから、元気な兵隊の姿が残った。



前にも何度も書きましたが、「ホロコースト」がもう二度と起こしてはならない悲劇であるのなら、解放した人に感謝を向けないストーリーはおかしい。そこから、現在まで西側主導で伝えられた「ホロコースト」物語は、ソ連を抜いて、「連合国」が解放したストーリーへと書き替えられた、少なくともそう読ませる傾向を多大に有していたのだ、と私は考えているわけです。

1945年1月27日:ソ連赤軍アウシュビッツ解放


今年、ロシア外務省のtwitterの1つには、上の写真の連続と見られる写真があった。オリジナルなのか、それとも最近のデジタルなんちゃら処理なのかは不明。




 


今年は、スコット・リッターがこの際の軍の動きについて詳しい一文を寄稿していた。

Never Forget the Soviet Heroes Who Liberated Auschwitz

ソビエトの兵士たちはこの中に誰がいるのかわからないから、警戒しながら近づき、囚人の方も警戒する。しかし、囚人の方がこれは警戒すべき人たちじゃないと気づき歓迎し始める。中にロシア人の囚人がいて話が通じていって、ここは何だ、ここはキャンプで、といったやり取りに繋がっていって、ソビエトの兵士やら医療の人たちが入って行って、親切にというか人間らしい対応が開始される。囚人にとっては、それが本当にうれしく、サバイバーの人は「私たちは食べ物に飢えていただけではなく、人間の優しさに飢えていたのです」という。

スコットのこの寄稿は、こうして異常な状態がまさに解放され、人間の時が刻まれ始めるのだなと読み手が思いを馳せることができる名文だと思う。

そして、誰かが戦ってくれなければ解放はないのだという当たり前の事実が無視されてきたこの何十年かを残念に思う。


■ 産業的大規模殺人

他方、まだこれらの強制収容および大規模殺人のネットワークにいちゃもんを付けて、そんなのはユダヤ人の嘘だみたいな人がいるわけですが、確信犯的にそう思ってる人はもはや処置なしなので、勝手にそのように惨い人になりおおせてもらうとして、そうでもない人は、ナチの収容所送り問題は、ちょっと邪魔な人を退けておく、といった、小さな、局地的問題ではなく、産業レベルの大規模殺人体制のようなものだったことをもう少し知るべきだと思う。

ドイツ、ソ連軍捕虜の記録をロシアに渡す&産業的大規模殺人


アウシュビッツが最初に(実は2番目だが)解放されたこともあってとても有名だけど、ドイツ内のダッハウ、ザクセンハウゼンとかオーストリアのマウトハウゼンといった、スラブ系対象ではないところの様子なども知ったらいいんじゃないかと思う。

ナチのヨーロッパ支配がただごとでないのがただわかる。

もちろん、ドイツ人が「東方諸民族」と呼びならわし、そのように遇していたポーランド、チェコあたりの人たちが、ドイツ人中心の「第四帝国」(EU)をありがたがって、ロシア人は敵だ~と騒いでいるのは、今もって謎でしかないが。

この問題についてはいろいろ書いてきましたが、80年代後半あたりから組まれたと思しき相当へんなナラティブは、近年のロシア政府およびその国民による修正への抵抗によって大分ストップがかかったような気はする。少なくとも、西側にも正気な人がまだ多数残っていて、その人たちが気づいたといった感じがする。

ポータル的にはこのエントリーが便利かと思われます。いろんなリンクが入ってるので。

2020年:the Westのナラティブ管理崩壊年


■ 問題

とはいえ、問題は残るわけです。かなりぽっかりと。

アウシュビッツでの式典にロシアを招待しない、かたくななポーランドは一体何者なのか。

解放者ロシア招待されず ホロコースト式典―ポーランド

(驚くことに、時事の記事がこうしたタイトルを付けていた。正しいことに驚く)

そして、そのポーランドをどうしてユダヤ人集団は説得できないのか。

そうして解放された集団であるらしいユダヤ人はウクライナのバンデラ主義者をどう思ってるのか。

さらに、メインストリームはまったく無視していますが、フサイニー問題はどう嵌るの?というのもある。

エルサレムの宗教的な権威であり地主一族のフサイニー という男が、ユダヤ人殺しに情熱を傾け、現在でいうパレスチナの地で騒動を起こし、欧州に乗り込んでいってヒトラー、ヒムラーに会ってさらに反ユダヤ、反イギリスを鼓舞するといった経緯が、WWIIの東部戦線の重要エピソードとして取り上げられていなかったことは、実にまったく、歴史家たちの怠慢だった。

枢軸国と英仏のアラブの取り合い

1941年11月28日:ヒトラー・フサイニー会談
https://blog.goo.ne.jp/deeplyjapan/e/8e365bd5cdca98bd1103f07a0d1a1d8e

ネタニヤフ退陣か & アインザッツグルッペン


そしてユダヤ機関問題。

日本語のwikiにはないけど、「コトバンク」にあったのでリンク

1929年から存在する、パレスチナにユダヤ人の本拠を設けるというシオニストの計画の対外機関として発足してその後も続いている。

去年2022年7月に、Jewish Agency(ユダヤ機関)のロシア国内での活動が問題となった。ロシア政府が機関を清算しろといったという報道があり(イスラエルから出たと思う)、その後ロシア司法省が問題にしていることが明らかになり、イスラエル政府が清算は両国にとってためにならないと取り成し?に動き、クレムリンは、どういう事情なのか司法判断に口は挟めません、とか言ってた(ここ)。その後、8月にプーチンとイスラエルのヘルツォグ大統領が電話会談し、連絡を取り合います、で終わってる。

決着はついていないのだろうと思われる。


何がキーなのかよくわからないが、冷静に考えればイスラエルという国が出来たらもういらねーだろ、それ以上は余分だという解釈も成り立つ機関かもしれない。外の力を利用して、国家権力の枠外に置かれるような特権的な位置取りをしようとしている、といった感じもあるかもしれない。

また、多分、これはユダヤというよりむしろもっと大きなシオニスト問題のようにも思う。前にこんなことを書いた。

よくよく考えれば、ユダヤ人のシオニストはクリスチャン・シオニストの動きの中で出て来たもので、人数的に考えればクリスチャン集団の方が大きいし、アメリカで暮らしてりゃ、彼らがものすごく活動をしているのも見える。本とかテレビ説教とか集会とか。

にもかかわらず、そこに目を向けようとしない、それは「elephant in the room」ではないか、と指摘したのは、誰あろうアングリカンチャーチ(英国国教会)の牧師Stephen Sizerさん。

実際深掘りされてないエリアだと思う。

ロシアとのからみでは、ソ連時代中盤と終盤にイスラエルに移民させるにあたって活躍していたのがアメリカのクリスチャン・シオニスト集団だと言われている。そしてその集団が過激なシオニストだとも聞く。

まとまりませんが、シオニスト問題は世界的な問題だと思うし、1800年代後半のイギリスの影響の残滓のようにも思うし、各種の新興宗教的変容のオリジンはここらへんなのではなかろうかとも思う。この件は引き続き注視しつつ、問題の枠組みを整えないとならないなとも思う。バラバラだわ、これでは。




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2 コメント

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Unknown (ローレライ)
2023-02-04 06:15:08
スラブ人ホロコーストのナチスが帰って来た!
スラブ人ホロコーストの一部がユダヤ人ホロコーストなのにドイツ人のスラブ迫害祭り志向は反省されたことがない!
終わらない西側十字軍運動 (ローレライ)
2023-02-04 10:07:21
西側陣営の世界征服十字軍運動は,シオニストやナチス統一教アルカイダとお面を替えて継続している!
日本やウクライナみたいにして文明開化と誤解されて受け入れる国もある。

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