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トルコ・シリア大地震、NS2はアメリカの爆破、実存的危機

2023-02-11 21:27:36 | WW1&2
今週は、なんといってもトルコ、シリアで起きた巨大地震に驚かされた。いや、地震地帯だから驚きではないんだけど、でもこのスケールの地震は100年に1回じゃなくて何百年に1回なんじゃないのか、など思った。






そして、マグニチュードで比べることの限界をこれから人類社会は共有していかないとならないでしょう、とも思った。地震地帯で暮らしていれば誰でも知っている通り、たとえM7.8でも水平にも垂直にも離れていればそれほどの被害にならないが、たとえM6.5だろうが7だろうが震源の浅い地震はその上の陸地に大きな被害をもたらす。また、どんな地面なのかによっても揺れは異なるし、断層の長さは重大。

だから、マグニチュード大きいです、大変です、といのはある程度はいいけど、それに大きな重みづけをして被害を語るのは間違ってると思う。



■ 非人道的なアメリカ覇権

そして、今更言うまでもないが、この「アメリカ覇権」なる代物は一刻も早く無効化していくことが望まれると、再度、再々再度思わされた。

シリアのアサド政権を打倒するといって騒いだ一件は、解決していない。

ロシアが介入してテロリストたちの乱痴気騒ぎはおさまり、アサド大統領が率いるシリアは現存しているが、西側は今もアサド政権を倒してシリアを好きなような国にするという考えを捨てていない。

したがって、制裁を課し続けている。医療品などにも制裁がかかっているので、これはもうサダム・フセイン時代のイラクと同じ状況。そして、今回の人道上の危機にあってもシリアに入った国は実に限られている。

これは、アメリカが課した様々な「ルール」が、全体で、シリアとかロシア、北朝鮮に関係すると、テロリスト支援国家とされ、お前は制裁の対象だ、みたいになっているから。これでは多くの国、企業が動けない。お金の送金も難しい。

よくぞここまで不実で不愉快なモンスターになりおおせたものだと呆れる。

マデリン・オルブライトが体現するような考えはヒトラーのナチの産業的大規模殺人と同様、私たちは決して受け入れるべきではないのだ、というのをコンセンサスにしなかったことが現在の惨劇を招いたのだな、などと言ってみたいとも思う。

ついでにいえば、ISを使ったオバマ政権の蛮行が終わったのに、それを継続させたのはシオニストの希望の星の大統領のトランプさんであることを忘れないでおきましょう。

あの人は、シリアでアルカイダと組んで負けるという、評判的に危機的だったアメリカを救うかのようなふりをして出て来て、実は軍に無意味なミサイル発射を許し、石油泥棒を継続し、シリア制裁を強化し、この侵略プランを継続させて、しまいにアメリカはISと戦ったとかいうホラを吹き、最後にISとの戦いに功のあったイランのスレイマーニさんを暗殺という暴挙に打って出た人。その意味で見事に、「アルカイダと共に歩む21世紀のアメリカ」派だった。

と、今、シリアで探したらこんな記事が。アサド大統領が支援が少ないと怒ってる、みたいな読ませ方で来てる。

シリア大統領、欧米の制裁や支援不足を非難 大地震で

そもそもこんなに各国の交易に壁を立て、自由な考えや交流を阻害しているからこんなことになる。

アメリカは、勝手にシリアの石油地帯に米軍を居座らせて、がんがん石油を組み上げ、勝手に輸出しているという、れっきとした「ドロボー」であることを忘れるわけにはいかない。そして、泥棒がその地の政府が気に入らないといって制裁を課し、嘆かわしいことに多数の国がそれに従っている。まったく世も末。

良いニュースは、ロシアとイランの多くの銀行が繋がってきたので、この2国がアメリカ覇権の制裁網から外れている。そうするとそれなりの人口のシリアへのアクセスが確保されているであろう、と思われる。そうはいっても、シリアの経済活動が妨害され、無法者に資源をドロボーされている状況なので苦境は続く。
The Big Stiff: Russia-Iran dump the dollar and bust US sanctions 


■ セイモア・ハーシュ登場

そんな中、2月8日には、アメリカの著名なジャーナリスト、セイモア・ハーシュが、ロシアからドイツへ天然ガスを運ぶために建設された大きなパイプライン、ノード・ストリーム1と2が去年9月に爆破された事件について、この工作を実行したのはアメリカ海軍のダイバーだという記事を発表した。

How America Took Out The Nord Stream Pipeline


去年9月に書いた記事はこれ。

ノードストリーム爆破:ヨーロッパを破壊するアメリカ
2022-09-29 12:21:44 | WW1&2




9月に記事を書いた時、私は、アメリカがヨーロッパを破壊したと書いているわけだけど、その時に既に、これはもうアメリカからロシアとドイツに対する戦争行為そのものみたいなものなんだから、こんなデカいことをするのは、たとえ実行犯がイギリス海軍だったとしてもアメリカがOKしてなきゃあり得ない、というのが大まかなコンセンサスだったと言っていいかと思う。

そして、実際、バイデンは「もしロシアが侵略したら、ノードストリーム2はなくなるであろう。我々はこれを終りにする。 」と言ってたわけだから、そういうつもりで現実に実行されたのだろうという推測もまったく無理がなかった。

また、2014年にコンドリサ・ライスが、ヨーロッパはロシアからエネルギーを買うんじゃなくて、北米のエネルギーを買うようにすると「推奨」してた動画も出て来ていた。

その後も、ヌーランドもブリンケンもアメリカの要人の中では、誰一人、このパイプラインが破壊されたことを残念に思ったり、このような不要なact of warはよくないことだと表明した人はいない。


で、今回のハーシュの記事では、このアメリカ海軍の工作がどのように行われたかが書かれているのだが、その中で、工作の丁稚というかパートナーは、ノルウェー人たちだったという点が、それなりに興味を引いている。

昨年秋には、これはイギリスが首班じゃないか、みたいなことが言われていた。そして、リズ・トラスというさっさと止めてしまったイギリスの首相が、「It's done」とブリンケンにメールしたとかなんとかいう未確認情報も流れていた。

ハーシュの話にはこれらは一切出てこない。これは一体どういうことなのか、というのは今後の興味の焦点の1つかもしれない。

しかし、それ以上に、実行犯の構成がどうあれ、アメリカ合衆国海軍は他国であるロシアと同盟国である欧州諸国、なかんずくドイツの資産であるパイプラインを爆破し、同盟国の経済に大きな打撃を与えたというのは事実。

どうしてこれですむのよ、と多くの人が思うが、さてどうなることでしょう。

アメリカの現在は確信犯的テロリストの振る舞いを常としているので、そんなことは知らねーよ、で突っ切るんでしょうか。

そして、ドイツ人はどうしてこれでいいの?と外の人は思っているわけだが、ドイツ国内ではあまり取り上げられていない模様。

ぶっちゃけ、だからこそ「反ロシア」というエモーショナルになるテーマが盛んにぶら下げられているんだろうな、など思う。そして、仕方ないのよ、こんな時代なんだからとみんなが思いはじめるという仕様。まるでまったく30年代。


■ 退却できない

ロシアの方は、ますます集団としてのthe Westが信用ならないものとなり、現状の実存的危機を打破するには自分たちが頑張るしかないという態度で団結していってる。




西側の多くの脳みその無い識者が、戦争を終わらせるべきだ、みたいなことをあちらこちらで言い出しているけど、これは、様々なレトリックを取り払えば、結局のところNATOがロシアに襲い掛かってる図を容認し、見逃している論でしかない。ロシアは退却できない。

そういう話しは2008年以前にすべきだった。今となってはもう絶望的にそれでは足らない。なぜなら、既にNATOはウクライナを傀儡政権化しているから(これを退けない限り、ウクライナ人のリーダーが誰になろうが同じこと)




ノードストリームの爆破事件も、バルト海はNATOの海であるという意思表示という面もあると思う。NATOの海なのにロシアとドイツが経済協力するなどというのはあり得ない、と。

そして、黒海をゲットしようとしたのが2014年のクーデターで、それに失敗したことをNATO各国はどうしても認めらなかった

であればこそ、2021年12月、2022年2月のロシアによる特別軍事作戦開始の前に、ロシア政府が正式に出したある種の「最後通牒」にも応じられなかった。要するに、ロシアにも安全保障の懸念はあるという事実を認めて、NATOがロシアの周辺に設置している軍事施設を取っ払って、後ろに下がれというのが趣旨だから。

この時NATO側が応じていれば、まだドンバスはウクライナのままだし、失うものはクリミアだけだった。もちろん、15万とも20万とも言われるウクライナ人の死もなかった。ミンスク合意は時間稼ぎとかいって、ドイツとフランスの悪質さが暴露されることもなかった。

スローモーションのバルバロッサが失敗したわけだが
https://blog.goo.ne.jp/deeplyjapan/e/7127b20dfe0d670efdc814078cd1dda3

81年目の6月22日 & 無自覚ナチは健在


この紛争を終わらせるためには、NATO東方拡大を止めろ、あるいはNATOは犯罪集団だ、もう解体しろ、といった線で抗議するのが本筋。それ以外にはない。

でも、そうさせると西側の存立問題になるのでそうはさせたくない。だから、無駄に、プーチンが悪者、ロシア兵は犬食ってる、ロシアのミサイルはもう枯渇だのへちまだのと、嘘に継ぐ嘘を語って情報空間を埋めているのだと思う。

そのためにヨーロッパ人が産業競争力を失おうが、アメリカのホームレス増加問題がどうなろうが、そんなことは西側エリート集団にとっては知ったことではない。

西側の各国民は、このままではいけないのと思うのなら、それこそ自分のところの政府をどうにかしないと終わらないわけだけど、どこの国でもそういう動きが大きくなる気配はない。これもまた、情報コントロールによって上手く裁かれていると思う。ビック・ピクチャーを見せず、目先の正邪とか真偽とかにフォーカスをあてて無駄に騒がせるという手法が顕著

というわけで、全体としては、集団的西側の中はますます抑圧的になり、それ以外のところは、ロシアを筆頭にこのモンスターから離れて、国内政治をかき混ぜられないようなんとか頑張ろう、みたいな感じで動いていくことでしょう。困ったもんだ。


■ オマケ

戦後とは「ナチその2」の時代だったとは何度も書いたことだけど、その2はその1の失敗を踏まえたのか、騙しがとても上手かった。

軍事同盟が東進しているというのに、西側の国民は全然危機感を持たなかった。危機感を持ったのはユーゴ解体のあたりで気がついたごくごく一握りの人たちだけ。これはスゴイこと。工作が上手かったのか、西側の国民が昔より馬鹿になったのかは議論の分かれるところだが。



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トーダイのセンセイってこんなものなのでしょうか (石井)
2023-02-12 20:37:51
https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/features/z0405_00001.html
このトーダイの先生のロシア観に強い違和感を持つので少し書きたいと思います。小生、凡そ学問とは縁遠い田舎者でして、ロシアにはソ連時代に暫く滞在した経験があるくらいでその後はテレビ、ネットを通じて観察をするのを趣味にしている者です。ですから、あまり説得力のある反論ができる能はありませんが、この学者先生の答え方には陰湿さ狡猾さを感じます。

まず、今回の戦争の原因をプーチンの「トラウマ的な危機感」に求めていますが、全く同意出来ません。他の学者先生にもプーチンの精神構造が引き起こした戦争する人がいましたが、2014年以降の経緯を追えばそんな出鱈目は通用しません。単純にウクライナNATO側からの挑発に応えざるを得なかっただけです。僕は、ロシア人は戦争をよく知っているがために、最も戦争嫌いな人たちだと思っています。これはウクライナの人もそうであり、2014年春、ドンバス攻撃(戦争)に対してはキエフ政権ですら躊躇があったのを覚えています。それをIMF融資で脅し戦争に踏み込ませたのがバイデンでありCIAでした。ロシア人とウクライナ人は「かなりの部分」で重なり合う人々であり、ロシア側としては可能な限り民間犠牲者を出さないように工夫しようとしたと思います。(その為にロシア軍に犠牲が出た訳ですが)昨年2月末の段階でロシア側が無策であれば、ドンバス虐殺クリミア侵入を許していたはずです。これはロシアとしては絶対に看過できないことでした。ですから、戦争の原因はプーチンの精神構造ではなく、単純な国際政治というか西側の侵略性だと僕は考えています。

もう一点、ソ連崩壊後の多民族国家の一体性の部分ですが、翻って何処の国で異民族ましてや多民族の国で何の問題も無く上手くやれている所があるでしょうか。何処でも何時でもそれなりの問題はあると思います。ロシアは上手くやっている方ではないでしょうか。僕が知る範囲では、ロシア人は他民族を「あまり」下には見ないで同等に扱う人々です。アングロサクソンは、人種を階層で見て自分たちが一番上だと思っているようですが、ロシア人はそれが全くない。むしろ、自分たちは遅れているというコンプレックスがあるくらいです。ソ連時代は「諸民族友好」というスローガンがあり、建前にしても人種偏見が禁止されてきた影響が今でも残っているのかも知れません。僕はロシアのテレビを衛星放送で見ているのですが、去年の「制裁」の影響で全国放送が見えなくなり(代わりにIPTVで見ています)、偶に地方の放送を見ています。全部で6つの放送が視聴可能でその内2つはロシア語以外でも放送しています。ウファの放送はバシキール語、シンフェローポリはクリミアタタール人向けのタタール語です。勿論、ロシア語の放送時間もあります。日本の地方では、地元放送局作成の番組は殆ど無いと思うのですが、ロシアではそれぞれの放送局の独自番組が半分以上はあります。(予算の掛からない番組ですが)その中でもその地方の実情に応じてロシア語以外の番組も盛んに作られています。学校の授業も然りです。日本よりよほど地方が大切にされ他民族も尊重されていると思います。重要なことはロシア人自身が、自民族が上だとは見ないことです。建前でも各民族同等だという意識があり、経済的にまずまずの状態であれば今のロシアで民族問題は深刻にはならないと思っています。

それにしても、今の日本のセンモンカの先生達の惨状は何なんでしょうか。大学なり研究所に所属するセンセイで、今回の紛争の件で西側の非を認める発言はあったでしょうか。西側NATOの関与は一切触れず、「一方的でいわれのない侵攻」ということに終始していないでしょうか。それが学者の態度でしょうか。恥ずかしくないのでしょうか。ロシアを批判するのがいけないと言っているのではありません。批判は大いに結構です。日本ではロシアでのプーチン批判は御法度みたいなことを言う人がいるようですが、記者会見でも見れば批判に対しプーチンは「正論」で返しているのが分かると思います。プーチンの権力の源泉は暴力ではなく言葉の力です。

組織に所属すると「長いものに巻かれろ」となるのでしょうか。一旦繁栄を謳歌した世の中が、そういうことで「嘘」だらけの社会になり、腐敗、混乱、没落する例は多くあると思います。その中で組織人ではない伊藤貫さんの説明には少し救われます。
https://www.youtube.com/watch?v=vd1jg5gcE3s&list=PLMDQWLoaJzxOSBIGEiDR7Qotu-5s51fAd&index=5
ノルドストリーム (kiyo)
2023-02-13 13:49:08
石井様の投稿にすごく同感します。
他者、他民族を下に見るという態度の究極の表現がナチズムだとも思います。一言で言えば「悪意」かもしれません。しかし悪意は、そこに刺激する何かが無ければ増大しません。悪意を育て煽っているのが現代社会のあらゆるシステムを動員する支配層だと言えると思います。ですから、ナチズムとは、人間誰しもがどこかで抱いている「悪意の結晶」と言えるかもしれません。
シーモア・ハーシュの記事ですが、イギリスとMI6の関与については触れられていません。これは、mpr21の「バルト海でのテロ攻撃: 誰もが知っていたが黙っていた」という記事が簡潔にまとめているように「ノルウェーの場合を除いて、誰もが攻撃の作成者が誰であるかを事前に知っていました。Hersh が貢献したのは、誰が貢献したかではなく、どのように実行されたかです」だと思います。
難しい話より、リアルな記事の方が訴える力がありますし。批判能力を失った現代人にはぴったりだと思います。
https://mpr21.info/atentado-terrorista-en-el-mar-baltico-todos-lo-sabian-pero-siguen-callados/
ハーシュの暴露記事は全訳して記事にアップしました。推理小説を読んでいるように面白かったです。
プーチン (金 国鎮)
2023-02-13 14:24:34
最近のウラジオストックの東方経済フォーラムの
プーチンの講演会の内容は圧巻だった。
アメリカとNATOの政治家にこの種の話はできない。
プーチンは政治家より思想家だね、それが今回の軍事作戦で表面化してきた。ロシア軍参謀本部に任しておけばいいのに初期の作戦では自分がすべての指揮を取ったようだ。

ドニエプル川からのロシア軍の撤退後はロシア軍参謀本部が指揮を取っているようだ。
戦局がじりじりと変化しつつある。
もうロシア軍が後退することはないだろうが、停戦に行くまでにはむ少し時間が必要だろう。
Unknown (ruzy_001)
2023-02-16 21:40:12
こんばんは。先程AndroidのYouTubeアプリでダメ元で「RT」を検索したところ、「RT news」なるチャンネルにたどり着きました。内容も公式のものみたいです。You Tubeから視聴不可能にされてきたはずなのに、どういうことなのでしょう?
ニュースサイトはあります (ブログ主)
2023-02-17 04:03:25
RTのニュースサイトはinternet上から消えたことはないです。
各国で視聴制限があるだけ。
日本では多分一度も視聴不可になってません(日本語版がないからだと思います。)

youtube上に様々な動画があがったRTのサイトがありましたが、ここはキャンセルされ多数の動画が消されました。それまでyoutube有数の視聴者を持つニュースサイトだった。

rumbleというアメリカのサイトでほそぼそと再度動画サイトを構築してますね。

https://rumble.com/c/RTNews

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