竹取翁と万葉集のお勉強

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万葉集 集歌4082から集歌4086まで

2023年01月24日 | 新訓 万葉集
越中守大伴宿祢家持報謌、并所心。三首
標訓 越中守大伴宿祢家持の報へたる謌、并せて所心(しょしん)。三首
集歌4082 安万射可流 比奈能都夜故尓 安米比度之 可久古非須良波 伊家流思留事安里
訓読 天離る鄙の外(とや)子に天人(あまひと)しかく恋すらば生ける験(しるし)あり
私訳 都から離れた鄙にいる家から離れた子に、都にいる天女のような美しい人が、これほどに慕っていただければ、生きている甲斐があります。
注意 原文の「比奈能都夜故尓」の「都夜」は、近世では原文意味不詳として「夜都」の誤記とし「比奈能夜都故尓」と記して「鄙の奴に」と訓みます。

集歌4083 都祢能孤悲 伊麻太夜麻奴尓 美夜古欲利 宇麻尓古非許婆 尓奈比安倍牟可母
訓読 常の恋いまだやまぬに京(みやこ)より馬に恋来ば荷(にな)ひ堪(あ)へむかも
私訳 常、日頃、貴女に気遣って頂いているのに、都から馬に載せて、さらにたくさんの御気遣いが遣って来ましたら、私はそれを全て受け止められるでしょうか。

別所心一首
標訓 別(べち)に所心(しょしん)一首
集歌4084 安可登吉尓 名能里奈久奈流 保登等藝須 伊夜米豆良之久 於毛保由流香母
訓読 暁(あかとき)に名告り鳴くなる霍公鳥(ほととぎす)いやめづらしく思ほゆるかも
私訳 暁に自分から名告り出るように鳴き出すホトトギス、一層、新鮮に感じられます。
右、四日附使贈上京師
注訓 右は、四日に使(つかひ)に附けて京師(みやこ)に贈り上(のぼら)せたり

天平感寶元年五月五日、饗東大寺之占墾地使僧平榮等。于守大伴宿祢家持送酒僧謌一首
標訓 天平感寶元年五月五日に、東大寺の占墾地使(せんこんちし)の僧(ほふし)平榮等を饗(あへ)す。時に、守大伴宿祢家持の酒を僧に送れる謌一首
集歌4085 夜伎多知乎 刀奈美能勢伎尓 安須欲里波 毛利敝夜里蘇倍 伎美乎登等米牟
訓読 焼太刀(やきたち)を砺波(となみ)の関に明日よりは守部(もりへ)遣(や)り添へ君を留めむ
私訳 焼太刀を研ぐ、その言葉のひびきのような、砺波の関に明日からは番人を派遣して増やし、貴方が都へ帰るのを留めましょう。

同月九日、諸僚會少目秦伊美吉石竹之舘飲宴。於時主人造白合花縵三枚、疊置豆器、捧贈賓客。各賦此縵作三首
標訓 同月九日に、諸僚、少目(せうさくわん)秦伊美吉石竹の舘に會(つど)ひて飲宴(うたげ)す。その時に、主人(あるじ)の白合(ゆり)の花縵(はなかづら)三枚を造り、豆器(づき)に疊(かさ)ね置きて、賓客に捧げ贈る。各、此の縵を賦(ふ)して作れる三首
集歌4086 安夫良火能 比可里尓見由流 和我可豆良 佐由利能波奈能 恵麻波之伎香母
訓読 油火(あぶらひ)の光りに見ゆる吾(わ)が蘰(かづら)さ百合の花の笑(ゑ)まはしきかも
私訳 燭灯の光の中に見える私の蘰の美しい百合の花は、咲きいとおしいことです。
右一首、守大伴宿祢家持
注訓 右の一首は、守大伴宿祢家持
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