竹取翁と万葉集のお勉強

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後撰和歌集 巻16 歌番号1175から1179まで

2024年04月24日 | 後撰和歌集 現代語訳 巻16
歌番号一一七五
原文 也末左止尓者部利个留尓武可之安比之礼留飛止乃
以川与利己々尓者寸武曽止々飛个礼八
読下 山里に侍りけるに、昔あひ知れる人の、
いつよりここには住むぞ、と問ひければ

原文 可武為无
読下 閑院

原文 者留也己之安幾也由幾个无於本川可奈加个乃久知幾止与遠寸久寸三八
和歌 はるやこし あきやゆきけむ おほつかな かけのくちきと よをすくすみは
読下 春や来し秋や行きけんおぼつかな蔭の朽木と世を過ぐす身は
解釈 ここに移り住み、それから、春が来たのか、秋が過ぎ行ったのか、はっきりはしません、木々の蔭の朽木のように世に隠れて過ごしている私にとっては。

歌番号一一七六
原文 堂以之良寸
読下 題知らす

原文 従良由幾
読下 つらゆき(紀貫之)

原文 与乃奈可者宇幾毛乃奈礼也飛止己止乃止尓毛加久尓毛幾己衣久留之幾
和歌 よのなかは うきものなれや ひとことの とにもかくにも きこえくるしき
読下 世の中は憂きものなれや人言のとにもかくにも聞こえ苦しき
解釈 男女の関係は辛いものがあります、世の人達がああだこうだと言う、とかく噂となって聞こえて来ることに辛いものがあります。

歌番号一一七七
原文 堂以之良寸
読下 題知らす

原文 与美飛止之良寸
読下 詠み人知らす

原文 武差之乃者曽天比川者可利和个之可止和可武良左幾八多川根和比尓起
和歌 むさしのは そてひつはかり わけしかと わかむらさきは たつねわひにき
読下 武蔵野は袖ひつばかり分けしかと若紫は尋ねわびにき
解釈 きっとあると言うので、その武蔵野は露に袖が濡れるほどに草を分けて探しました、それでも若紫は探し求めることが出来ない。
注意 伊勢物語の初段「春日野の若紫」を引用し、紫草の産地である武蔵野に変えたもの。

歌番号一一七八
原文 以止万尓天己毛利為天者部利个留己呂飛止乃止八寸者部利个礼者
読下 暇にてこもりゐて侍りけるころ、人の訪はず侍りければ

原文 美不乃多々三祢
読下 壬生忠岑

原文 於保安良幾乃毛利乃久左止也奈利尓个无加利尓多尓幾天止不飛止乃奈幾
和歌 おほあらきの もりのくさとや なりにけむ かりにたにきて とふひとのなき
読下 大荒木の森の草とやなりにけん刈りにだに来て訪ふ人のなき
解釈 あの歌ではないが、私は大荒木の森の草となってしまったのだろうか、草を食む駒でさえ嫌がるような草とばかりに刈りに来る人が居ないように、私の許を訪ね来る人もいません。
注意 古今和歌集「大荒木の森の下草老ひねれば駒もすさめず刈る人もなし」を引用する。

歌番号一一七九
原文 安留止己呂尓美也川可部之者部利个留於无奈乃安多奈多知个留加毛止与利
遠乃礼可宇部八曽己尓奈无久知乃者尓可个天以者留奈留止
宇良美天者部利个礼八
読下 ある所に宮仕へし侍りける女の、あだ名立ちけるがもとより、
己れが上は、そこになん口の端にかけて言はるなる、と
恨みて侍りければ

原文 与美飛止之良寸
読下 詠み人知らす

原文 安者礼天不己止己曽川根乃久知乃波尓加々留也飛止遠於毛不奈留良无
和歌 あはれてふ ことこそつねの くちのはに かかるやひとを おもふなるらむ
読下 あはれてふ事こそ常の口の端にかかるや人を思ふなるらん
解釈 噂話に「あの人は」と言われていることこそは、常に人々の気を引いて会話の折に出て来る人のことだと思いますが、(人には、貴女が気にかかる存在なのですよ。)

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